テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
シュネー雪林道 西部
カオス「ごめん言い過ぎたよ………。」
ダイン「ううん……、
うちも言葉足らずで……。」
ヒートアップし過ぎて段々と熱が上がってきたため一旦話を区切ってクールダウンをする。
カオス「……バルツィエにも何かやらないといけないことがあるんだな?」
ダイン「……そう、
うちもよくは聞かされてないけどフェデール達は……、
何か“大きな敵”と戦うために動いている……。」
カオス「大きな敵……?
ギガントモンスターみたいな?」
ダイン「言葉通りの意味じゃないよ……。
でもその敵が持つ力は多分ギガントモンスターなんかよりももっと大きい力……。
カオス達は前にあった街で大魔導士軍団を名乗ってたみたいだけどフェデール達が戦いたい敵は多分その元々の大魔導士軍団のことだと思う……。」
カオス「大魔導士軍団が……バルツィエ達の敵?
でも大魔導士軍団が噂され始めたのってこのダレイオスのゲダイアンって都市が破壊されてからなんじゃないのか?
それまでバルツィエは百年前からずっと酷かったって聞いてるけど………。」
ダイン「フェデールの様子を伺ってたらフェデールとアレックスは本当は大魔導士軍団のことをもっと前から知ってたと思う……。
だけどそれをうちらに話すことはしない……。
うちらに話せばラーゲッツやユーラス辺りが無謀に挑もうとするから……。
そうさせないためにフェデールとアレックスはうちらに詳しい話はしない……。
けど二人が深刻そうな顔で“大魔導士”って言葉を出しながら話し合ってたのは聞いたことがある……。
それもそのゲダイアンとか言う街が爆発する前から…。」
カオス「……そんな前から………。」
ダイン「レサリナスで噂されてからは軍団が名前に追加されたけどもしかしたら大魔導士軍団は大魔導士軍団じゃなくて………、
大魔導士っていうたった一人のことを差しているかもしれない……。」
カオス「大魔導士軍団が一人のことを……?
何で一人なんだ……?」
ダイン「うちも大魔導士軍団は大魔導士軍団だと最近までは思ってたけど……、
カオスが現れたからそう思うようになった……。」
カオス「俺が現れたから?」
ダイン「だって……カオスの力は本気を出せば街や国を一瞬で消し去るくらい強い……。
カオスという例がいるなら大魔導士軍団がたった一人の力による破壊を持っていたとしても不思議はない……。」
ダインはカオスが何故これほどまでに強大な力を持っているかは知らない。先日話したのはカオスが魔術を使ってトラウマガ出来たことだけだ。カオスの中に眠る精霊については何も………。
………精霊………、
アローネはゲダイアンを消滅させたのは精霊の眷属だと推理していた。ゲダイアンを消滅させたのはバルツィエではない。このダインの発言からもバルツィエが関わっていないことは分かっている。それはランドールからも察せたが改めてこのダレイオスには謎の大魔術を駆使するのかしたのか分からない本当の大魔導士軍団もしくは大魔導士の話が出てくる。その存在が何を目的にしているのか、何故ゲダイアンを消滅させたのか、
彼等は………、
アローネが言う精霊のことなのか………、
………それかカオスと同じ様な精霊が宿る人物なのか………、
バルツィエでさえ恐れる彼等は今どこにいるのか………。
ゲダイアンと共に消失してしまったのだろうか……?
………カオスは今の情報だけでは完全には纏めきることが出来ない。
もっと………大魔導士軍団のことを知る者に聞かねばならない。
そのためには………、
ダインが言うアレックスとフェデールの両名のどちらかに聞き出さないとこの謎が永遠に解けることはないのだと感じた………。
――数時間後――
カオス「ハァハァ………」
ダイン「カオス………、
やっぱりまだ………。」
カオス「……大丈夫だから……、
俺はまだ……これくらいで諦めたりはしないから……。」
ダイン「………」
ダインとこのシュネー雪林道に戻って来てからモンスターを見つけては魔術を発動しようとする。
しかし数時間前までのように人に対して魔術を発動することは出来るようにはなってもモンスターにだけは放つことが出来ないままでいた。カオスの幼き頃の心象風景は今もカオスの記憶の中に燻り続けている。その記憶が邪魔してカオスはモンスターを目前にして魔術を発動しようと素手を前に付だしてそこから先に進めず棒立ちを繰り返している。
着実に前へと進んでいたと感じた午前中までの進歩はここで一気にブレーキを踏んでしまった。また一昨日までの停滞した一ヶ月間のような時間に突入してしまうのかとさえカオスは思った。
だがもう残された時間は殆ど残っていない。ダインが付き合ってくれる期間は明日までだった。ダインの教練はカオスの事情を踏まえた上で考えられる最善の教練方法だ。そこまで尽くして考案された教練を受けておきながら自分がそれを乗り越えられないのは自分がまだどこかで甘えているせいだ。誰かと一緒にいたからカオスは魔術を使わずに旅してこれた。仲間達を頼りにしていたせいで大事な時に魔術が発動できるのに当てられないという失態をさらしてしまったせいでこんな世界が終わる寸でのところでこんな無駄な時間を割くことになった。
それならもう明日までに………今日までに完成させなくてはならない。この一ヶ月と十日前後の修行を実のあるものとして追い込まなければならない。
そうしないと………アローネ達に顔向け出来ない………。
十年の孤独を耐え続けてきた後に自分の側にいてくれたら仲間達に………、
仲間達の信頼に応えるためにも………、
今日のうちに魔術を使い物に出来るところまで………、
ダイン「………今日はここまで………。」
カオス「………………え?」
ダイン「戻ろっか………。
あの雪山まで……。」
カオス「なっ、何で………!?
だってまだモンスターに数回くらいしか遭遇してない……!?」
これからやってやると意気込んだというのに水をぶっかけられたような気分になる。どうして今日はこんなに早く終わりにしようとするんだ?
ダイン「…そんな状態のカオスに魔術は使わせられない……。
魔術を使う際のマナは心の奥底から来るエネルギーを使う………。
それが不安定まま魔術を発動させればどんな危ないことになるか………。」
カオス「だけど……!」
今日は午前中で共鳴が習得出来た。なら午後の残りの時間でモンスターに魔術を発動出来る糸口を掴むところまで行きたかった。それにはモンスターが生息しているこの辺りから離れる訳にはいかない。カオスはなんとかダインにまだ修行を続けるようにお願いしようとするが、
ダイン「焦らないでカオス……。
カオスは今日だけでも十分先に進んだよ……。」
カオス「そんなことはない…!
俺はまだ全然人よりも大分遅れて後ろの方にいるんだ!
だから早く皆に追い付かないと……!」
ダイン「カオス…!」
修行を続行しようとお願いしようとしたらダインが少し強い口調でカオスの名前を呼ぶ。………またヒートアップしてきた。本当に今日はここらで修行を終わりにしなければならないのだろうか………?
ダイン「………カオス、
カオスが何で魔術をモンスターに当てないといけないのかを思い出して………。
焦って修行を積んだところでその修行は絶対に力にはならない……。
カオスは何でモンスターに魔術を使わないといけないの……?」
ダインがカオスに諭すようにカオスの修行が始まった理由を思い出すように促してくる。そんなもの………忘れるわけがない………。
それはカオスが………、
カオス「………それは俺がモンスターに魔術を使うことさえ出来ればモンスターと皆が戦わずに済んで皆が傷つかずに済むから………。」
ダイン「……その前提は違うんじゃない……?」
カオス「違う……?」
違うとは何が違うのだ?カオスが魔術の練習をしているのは皆を守りたいからであって………、
………皆を守りたいからであって………、
ダイン「カオスが魔術を人並みに使えるようになりたいのはモンスターを魔術を使うことさえ出来れば………、
じゃなくて……、
皆を守りたいから……。
カオスが大切に感じている人達を傷つけたくないからって言うのが第一前提でしょ……?
そんな魔術を使うことさえ出来れば皆が楽できるからみたいな理由じゃない……。
カオスが第一に願っていたことは敵を倒すことじゃなかった筈………。
そんな気持ちで魔術の修行をしてもカオスのトラウマガが治ることはないよ……。」
カオス「………」
………どうしてダインはこの短期間でここまでカオスのことを理解して正解を導けるのだろうか………。カオスが魔術を使いたい本当の理由は全て誰も傷つけたくないことが由来している。
いつの間にかカオスは魔術を使えることが出来れば皆が効率的に戦闘を行えるものだと思い込んでいた。
しかしこの修行はいつしかカオスの中では魔術を使用することが第一の目標になっていた。仲間のことを度外視した全く別の修行に………。これでは仲間のことを全く意識していない一人よがりの修行になっていた………。
これではいつまで経ってもトラウマを克服することは出来ないだろう。カオスは自分のトラウマのことが頭から抜け落ちてどうしたらフラッシュバックが起きないように魔術を使うことが出来るのだろうかばかり考えていた。それは一切のトラウマに向き合うことを放棄した修行だ。
………今一度カオスは自らのトラウマがどういうったものなのかを見つめ直すべくダインの指示に従い今日のところはダインとウィンドブリズ山へと戻ることにした。