テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
王都へ向かう途中トーディア山脈でヴェノムに感染したダイナソーに襲われ撃退するもその間に別のヴェノムがタレスを襲いタレスは感染してしまった。
トーディア山脈 岬
「アローネ……どうすればいい?」
「マナを掌に集めてタレスに送り込むのです。ファーストエイドは使えますか?」
「習ったことはあったけど僕は……使ったことがない。」
「ではマナを集めることだけに集中してください。やり方は私が見せます。癒しの力よ、ファーストエイド!」パァァ
アローネが掌にマナを集めて僕にかけて見本を見せてくれる。
この感覚は………ミシガンが昔かけてくれたものを思い出す。
懐かしい……ミシガンもこうやってかけてくれたっけ。
「アローネ…有り難う、なんとか分かったよ。やってみる。」
掌にマナを………なんだなマナの扱いがさっきの戦闘から、いやあの街の封魔石に触れてからしっくりくる。
あれで僕の中の何かが解放されたようなそんな感覚を覚える。
「出来たよ!これをタレスに!?」
「はい!なるべくタレスに直接流し込むようにしてください!癒しの力は魔術と違ってただ放てばいいのではありません!直接かけなければ拡散して効力が薄れていきます。タレスに触れて体内に送り込むのです。」
「こんなふうかな?」
タレスに触れてマナを掛けようとする。
『ここまでヴェノムが寄ってきたか。』
「!アローネ!何か言った!?」
「いえ、私は何も言ってませんよ。それよりも術に集中を。」
「う、うん。」
今ハッキリ聞こえた。
あの夢の声だ。
アローネの声じゃない。
嗄れたお爺さんのような声だった。
とうとう夢の中だけじゃなく現実でも聞こえ始めた。
ゴォォォォォオォォォォオォォォ!!!!!
「!カオス、マナを抑えてください!そのマナからは破壊滴な力を感じます!」
「ア、アローネ!まただ、またマナが熱くなってきた!」
「コントロールに集中してください!タレスごと辺り一面吹き飛びますよ!」
「やってる……やろうとしてるんだけど力が大きすぎて…………!!」
「カオス!」
アローネが僕の手を上から握る。
「大丈夫です、落ち着いてください。私がついています。」
「アローネ。」
『シ………フ、そなたか。』
!
マナが収縮していく。
アローネが触れたらまたマナが…。
「アローネ!なんとか収まったよ!このままやろう!」
「はい、このまま握っているのでカオスはタレスに!」
凄い。
こんな大きなマナなのに今では体の一部かのように操れる。
これなら……
目の前で意識を失ったタレス……。
失敗したらタレスは…。
果たして本当に僕に出来るのだろうか。
マナを操りやすくなったとはいえ人を治すなんて初めてだ。
一歩踏み外したらタレスだけじゃなくアローネも。
「カオスは何も心配することはないんですよ。」
「……。」
「貴方がいなければなかった命、ここで失ってもそれは貴方のせいではありません。
貴方のおかげでここまで長らえたのです。
カオスはカオスのやりたいようにやればいいんです。」
アローネ、
僕の負担を無くそうとしてくれてるのは分かる。
けどその言い方だとどうなっても言いように聞こえるぞ。
信じてくれてるって言ったじゃないか!
だったら必ず成功しますって言ってくれよ。
そんなふうにせっかく助かった命を僕の匙加減で拾ったり捨てたりするみたいに言われちゃ……
絶対に死なせるわけにはいかないじゃないか!!!
「ファーストエイドォォォォォォォォッッ!!」パァァァァァァァァ!!
「………う、うぅん?」
「タレス!」
「気が付いたのですね!タレス!」
「ここは……?……!ボクはヴェノムに……?」
「助かったんですよタレス!カオスがタレスを治してくれたんです!」
「カオスさんが……?」
「どこか体の痛いところとかない?初めての治療魔術だから上手く作用したか……。」
「………どこにも異常は感じられません。それどころか声まで出るようになってさっきまでの疲労もなくなっています。」
「やりましたねカオス!」
「あぁ!タレスが無事で本当に善かったよ!」
「何があったのですか?ボクはヴェノムに感染して死んだ筈では?」
「カオスの殺生石の力を使ってタレスに治療魔術を施したんです!そのおかげでタレスのヴェノムは消え去ったんですよ!」
「治療魔術で?」
「うん!アローネがミストの人達のことを思い出してそこからタレスに…!」
「?」
「要するにですね……。」
「ヴェノムに村ごと抗体を持った人達が……。」
「そうなんだよ!アローネがいなかったら考えもつかなかったよ!アローネのおかげだな。」
「何を言ってるんですか。カオスがこの力を持ってたからこそタレスを救えたんですよ!カオスの功績です。」
「そんなことないさ!アローネがいなかったら僕はまた暴走してたし、この方法だって行きつかなかったよ!」
「カオスがいたことこそがこの結果に繋がるのですよ。」
「いやアローネが!」
「カオスが!」
「アローネ!」
「カオス!」
「お二人がボクを救ってくれたんですね。」
「……そうなるのかな。」
「そういうことにしときましょう。」
「拾っていただいただけではなく命も救っていただいて何をお返しすればいいのか……。」
「そんな深く考えるようなことではないさ。」
「そうですタレスはそのままのタレスでいいんです。
こうして喉までも治ったのですから。」
「タレスってそんな声してたんだね。」
「お恥ずかしながらこの年になって声変わりもまだなのであまりお聞きにならないでください。」
「なんだよ、せっかく喉が治ったのにあんまり嬉しそうじゃあないなぁ。」
「まだどこか悪いところでもあります?それなら治療を試みてみますが?」
「助かったことは嬉しいんです。
嬉しいんですが理解が追い付かないんです。
今なんともなく生きているのが不思議で喉の方も。」
「どうして?」
「ヴェノムは触れたら感染率、致死率百%のウイルスです。感染したらまず諦めろというのがヴェノムの常識でした。万が一腕や足に負傷して感染したら即切り落とすのが唯一助かる道と言われるほどに。」
「そうでしたね私もそう聞いていました。」
「お二人がヴェノムに抗体を持つと言われたとき半信半疑だったんです。前に話になったワクチンかそれに類する何かを使っているだけかとそう思っていました。」
「僕達はとくにそういったものは使ってないよ?」
「それが有り得ないんです。お二人はヴェノムに触っても感染しないどころかヴェノムを殺すことが可能でなおかつボクのような感染者を治療…、いえ感染だけではありませんね。
さっきボクは死んでいたのですから。」
「けどこうして生きているじゃないか。」
「カオスさん達は死者を蘇らせることが出来るということになります。これがどれほど不可能なことか……。」
「それは……。」
「スミマセン、せっかく助けていただいたのに問い詰めるようなことを。
本当は嬉しいんです。
感染したというのに死なずに済んで声まで取り戻して……人の扱いを受けて………けどボクはこの気持ちを素直に表現することが出来ないようです。」
「タレスは正の感情を失っているようですね。」
「正の感情?」
「嬉しいや楽しいといった明るい感情のことです。
タレスは長い間酷い扱いを受けてそういった正の感情を表現出来なくなっているのです。」
「スミマセン、今は言葉でお礼を言うだけしか出来ません。
カオスさん達に会ってから急にいろんなことが起こりすぎて。
久しぶりに喋るので気持ちを上手く伝えられません。」
「タレス…。」
「…」
【いまはかんがえがまとまらないのでもうすこしおじかんをください。
そしたらちゃんとおふたりにはかんしゃのきもちをすなおにつたえられるとおもいます。】
「なんで手帳に戻ったの?」
【こっちのほうになれてしまって。】
「タレスがそうしたいと言うならいいですけど。」
【かんじょうをうまくひょうげんできるようになるまではこれでいきたいとおもいます。】
「……声が出せるようになったんなら前進したってことでいいんだよね。」
「はい、後はタレスの心のケアでどうになかなりますよ。」
【いったんこしをすえられるばしょについてからまたおはなししてもいいですか?】
「いいよ、じゃあタレスも助かったことだしこのまま一気に山を降りよう!」
トーディア山脈 岬 カオス達から少し離れた上空
「いつの間にマテオは一般人がヴェノムを撃退できるようになったの?」