テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ウィンドブリズ跡地 ダインとの修練最終日 上空
ダイン「アイシクル!!」
グリフォン「クォァァァァァァァァァァッ!!」
カオス「………」
グリフォンとカオス・ダインの二人が遭遇してから四十分が経過する。早々に二人にはグリフォンを倒す術が無いのだと悟りダインはカオスを連れてレアバードで空に逃げそれを追ってグリフォンもその翼で飛びあがり追跡してくる。そこから戦闘行為よりも長い鬼ごっこが始まり三十分にも渡ってグリフォンを撒こうとひたすら飛び回るが一光にグリフォンの追跡を撒くことが出来ないでいる。
グリフォンは飛行型の生物なだけあって空中での方向転換が巧みだ。こちらがフェイントを挟んで撒こうとしてもそのフェイントが逆に距離を縮める結果となる。
対してダインとカオスが乗るレアバードは直進での飛行はグリフォンよりも早いが多少距離を引き離して身を潜めたところでグリフォンの千里眼のような目は直ぐに二人を見付けて再度空での逃亡を余儀無くされる。レアバードは火の魔術が発動する術式でも積んでいるのか後ろから炎が上がりそれの勢いで空を飛ぶ。これだとグリフォンのように方向転換をしようとするときは微妙に操作に工夫が必要なのかどうしても大回りで旋回することになる。そのことも含めてグリフォンとの距離が離れたり近付いたりを繰り返している。
故にダインは飛行の合間に魔術で迎撃してグリフォンを撒こうとするのだが、
カオス「ダイン!
どうしてこの辺りから離れないんだ!?
この辺りから離れればどこかの森とかで隠れられるんじゃないか!?」
ダイン「………」
ダインがレアバードを何故かこの寒冷地帯の上空でしか飛ばさない。直進での速度ならこちらが勝っているのなら直進してグリフォンから見えない距離まで引き離し後はグリフォンが見失ってくれるくらいの視界を阻めるようなポイントを探した方が堅実的である。
しかしダインは、
ダイン「今うちの魔術がグリフォンを本の少し時間を稼げているのはこの寒さでうちの魔術が増幅されてるから……。
この近辺から離れればうちの魔術はあのグリフォンに効かなくなる……。
だから……、
この辺りから離れることが出来ない……。」
カオス「!」
今この状態が維持されているのは地形がカオス達に味方をしているからだ。この地を離れるということは地の利を自ら捨てるということ。もしここのような寒冷地帯から離れてグリフォンに見つかるようなことがあればダインの魔術は威力を大きく落とす。この地の利を利用して勝てない相手にそんな場所で戦闘になればいくらダインでもグリフォンに勝つことは難しくなるだろう。
かと言ってこの地にあるのは超低気温で枯れた木々や氷の凹凸くらいなものである。こんな場所であの目がいいグリフォンを撒くことは困難だと思われるが、
カオス「なんとかしてあのグリフォンを飛べなくするしかないか……。
でもアイツが飛ぶのを止めるとしたら俺達が地上に降りた時だけだし……。」
地上での駆け合いならカオスもダインもグリフォンを引き離せる。だがそれをして距離を稼ぐとグリフォンはまた空からカオス達を追ってくる。先程から何度も試みているがグリフォンから逃げ切ることは出来なかった。
そしてもう一つ気掛かりなことがある。
カオス「……ダイン、
何でさっきから単発的な弱い魔術と魔技でしか迎撃しないんだ……?
ダインなら二日前に見せたようなあの……、
追撃とか強い魔術があるじゃないか……?」
上空でのグリフォンの迎撃にダインはアイスニードルとアイシクルの単撃でしか応戦していない。ダインの持つ攻撃手段には追撃の他にももう一つバルツィエ達と戦う度に見せるあの収束した強い魔術があった筈だが、
ダイン「……インブレイスエンドはこのレアバードで乗りながらは撃てない……。」
カオス「何でだ?
セレンシーアインじゃランドールが普通に撃ってきたけど……。」
ダイン「あの時はランドールは操縦者じゃなかった……。
このレアバードは操縦者のマナで浮いている……。
うちのマナは迎撃とこれを飛行させてるのにも使ってるの……。
もしうちの“バーストアーツ”なんか使ったらレアバードを浮かせてられるマナが一気に無くなっちゃう……。」
カオス「………」
バルツィエが使っているあの追撃を一点に集中する技はバーストアーツと言うのか……。
しかしマナの消費を気にしてこの膠着が続いているのならカオスがマナを補えばいい。他人にマナを譲渡する術はアローネ達との旅で習得した。確かチャージとかいう魔術の一種らしいが……、
だがダインにマナを送り込むだけではこの追跡が無駄に長引くだけだ。だったらダインが迎撃に集中できて尚且つマナを気にしないで済む方法、それは……、
カオス「ダイン!
一旦地上へと降りよう!」
ダイン「?
どうするの……?」
カオス「地上に降りる前に今から俺がダインにマナを送り込めるだけ送り込む!
それから……!!
俺がレアバードを運転する!!」
カオスは無謀な賭けを提案する。
ダイン「カオスが……?
でも運転したこと無いでしょ……?」
カオス「運転したことは無いけど……!
ダインにここだ会ってから何時間もダインの操縦するところは見てきた!
俺のマナなら底無しだからいくら飛んでも飛び続けられるしダインもアイツに集中して攻撃できるしあのインブレイスエンドも使い放題だ!
それならなんとかあのグリフォンを撒くことも出来る筈だ!!」
ダイン「………」
理屈の上ではこれが最善の逃避方法だろう。ダインがレアバードに乗りながら全てを賄うよりかはカオスと各々が役割を分担してグリフォンと対峙するのが懸命である。ダインが操縦してカオスが後ろに捕まっているだけではダインの負担が大きすぎる。だからカオスは魔術を使えない分ダインの負担を和らげてあげようと必死だった。
ダイン「………………、
分かった……。
じゃあ一分後に交替する……。」
カオス「あぁ!!」
ダインはカオスの提案に乗ることにする。ダインが物分かりがいい性格で良かったと切に思う。これでこの状況を切り抜けられる糸口が見えた。カオスはそう思った。
惜しむらくはカオスが機転を利かせて思い付いたこの最善と思われた計画に分かっていた筈の落とし穴があることに気付きさえすれば………、
ダイン「後十秒……、
それで一秒でカオスにハンドルを渡す……。
用意はいい……?」
カオス「あぁ!
いつでも大丈夫だ!!」
ダインはカオスと操縦席を交替するためにレアバードを急降下させる。そしてカオスもレアバードが着地次第どういう運転でまたグリフォンの追跡になるかをイメージした。頭の中にあるイメージでは交代後に素早くまた上空へと戻ることがこの作戦の重要なポイントだと思う。
着陸したら全力でまた飛び上がらねば……、
そしてレアバードが着陸した瞬間、
ダイン「カオス!!」
カオス「分かってる!!
一気に………!!!?」
ダイン「キャッ!!?」
カオスはレアバードから空かさずダインと位置を交換してダインが操縦していたようにハンドルを握り急発進をする。ダインが操縦していた様子を見る限りだとレサリナスからダレイオスに渡るときに体験した乗馬に比べて簡単そうだと思っていた。馬のように意思を持たずマナを込めて自らが操作するだけならカオスでも操縦出来ると錯覚していた。
だがダインが操縦していたレアバードは単純にマナを送り込めば進むのだがカオスが急いで込めたマナはダインの数十倍から数百倍以上。そんな多量のマナを込めてレアバードを運転しようものならレアバードは………、
爆発的に加速してしまい瞬間的に発生した空気の壁に二人は衝突してレアバードから振り落とされる。レアバードを操縦するにしても感覚だけは掴んでおくべきだったかもしれない。
ダインの操縦を見ていただけではレアバードが操縦しやすい乗り物だと思ってしまうのも無理はない。カオスはダインが運転するのに慣れていて二人乗りをしていてもレアバードがあまり揺れるようなことが無かったため自分でも操縦出来る代物なのだと見謝った。
ここで漸くダインのレアバードの操縦スキルが高いのだということと自分が乗り物に関して相性が極端に悪かったことを思い出すカオスであった………。