テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ミストの森 十年前事件当時
カオス「………」
………何で僕は村長から村を追い出されたんだろう……?
僕が何をしたって言うんだ………?
僕は………あのスライム達が村を襲いに来て………、
いち早く村の人達の救助活動に貢献していたんだぞ………?
それなのに何で………?
どうしていきなりおじいちゃんを失なっただけでなく僕の居場所すら無くなってしまうんだ………?
あのヴェノムとかいうスライムが襲ってきてから分からないことだらけだ………。
おじいちゃんはおじいちゃんで素性を偽っていたしそれを説明しないまま死体ごと何処かへ消えちゃうし………。
あの突然の光が光ってから訳が分からないこと続きだ。
もう僕はどうしたらいいんだ……?
このまま当てもなくこの森をさ迷うしか無いのか……?
村長に出ていけと言われて放心したまま出てきちゃったけど出ていくにしても家で何の準備もしないまま出ていくのは不味かったな。この先どうやって食べていけば……… 。
………きっと皆何か勘違いしてるんだろう。僕が原因であのスライム達が襲ってきただとか殺生石の力を僕が盗んだだとか言ってたが僕は何か特別な力を得たような感覚はない。むしろ殺生石の力を奪うどころか奪われたとまで言える。そんな僕が何であんなに痛め付けられなければならないんだ。僕にそんな力があったんならもっと早くにその力を操ってザック達をコテンパンにしていたことだろう。それが出来なかったと言うことは僕にはそんな特別な力なんて無いと断言できる。僕を痛め付けてきた大人達も後で間違っていたことに気付いて謝ってくることだろう。その時はどうしてやろうか?かなり痛いものを貰っちゃったからなぁ………。なん十倍にもして返してやらないと気が済まないが………、
一先ずは家に戻りたいな………。
おじいちゃんと僕だけの家に………。
放心していたところにあの罵声や暴力が飛んできたものでおじいちゃんのことを忘れていた。
おじいちゃんは………、
『お前が殺したんだろう!!?』
カオス「………」
そんな馬鹿なことあるわけないじゃないか。僕がおじいちゃんや村の消えた人達を殺しただなんて………。自慢にもならないが僕は村でも最弱………に近い程度の能力しかない。ザックとかその辺りになら工夫すれば勝てるくらいなものだ。そんな僕がどうやっておじいちゃん達を………、
おじいちゃん達を………、
ここでやっとおじいちゃんが本当に死んだのだと思い出した。ショックなが続いておじいちゃんのことが頭の中からスッポリ抜け落ちていた。おじいちゃんが死んでまだ一日も経っていないというのに………。
それでも不思議とおじいちゃんが死んだということに実感が持てない。おじいちゃんは凄く苦しそうにしてはいたがあの光がおじいちゃんをどこかへと消し去ってしまった。
もしかしたら………あの光の正体を掴めたらおじいちゃんにもう一度会えるのではないか?
そんか希望的観測におじいちゃんの生存を願っていると木陰から何かが飛び出してきた。
カオス「…誰!?」
ウルフ「グルル………!」
木陰から現れたのは野生のウルフだった。このミストの森には普通に見掛けるモンスターでボアなどを狩って食料にしているモンスターで当然エルフ等の子供でさえも、
ウルフ「ガァッ!!」
捕食対象だった。
カオス「うわっ!?」
ウルフ「ガブ!!」
ウルフはカオスに噛み付いてくる。ウルフの牙は鋭くエルフの子供の体などあっという間にパンを食いむしるように千切りとられてしまうだろう。カオスもその獰猛そうな口から覗く犬歯に驚き咄嗟に上へ逃れようと間近にあった木に飛びつき上に登った。こういう時魔術を使えずに育ったカオスはこうした木登りくらいしか遊びが思い付かなかった自分の特技にもしこの場にいたのが他の子供達だったら今の瞬間にウルフに殺られていただろうなと自分の特技で助かったことに少し優越感を感じた。
それでも他の子供達であったのならこのようなモンスターの森に放り出されることなど無いのだが……、
カオス「へっ、………へへへ!!
こっ、ここまで登って来れるもんなら登って来てみやがれ!!」
木の下の様子を伺ってウルフが木に登ってこれないことが分かるとカオスは調子に乗ってウルフを挑発する。野生のウルフに人の言葉は理解できない。森の中でウルフに遭遇した場合下手したらそのウルフは群れで行動している時が多いのだがこのウルフはどういう訳だか単独でカオスを襲ってきた。村を理不尽に追い出されたことの怒りと理不尽に襲ってきたウルフと対峙して安全圏を取れたことでカオスの気が大きくなっていた。だから安易にこのような挑発もしてしまったのだろう。ウルフはカオスの挑発に吠えて返すようなことはしなかった………。
その代わりに突然下からカオスを見上げていたウルフの体が溶け出す。
カオス「………!?」
ヴェノム「シュゥゥゥゥゥ……!!!」
突如襲い掛かってきたウルフは先日から先程まで村を襲ってきたスライムの化け物の一匹であった。
そのスライムの化け物はカオスを捕食しようとカオスの登った木に触れて、
木を腐蝕させながらカオスの元へと登って来ようとする。
カオス「うっ、うわ、こっち来るな!?」
そんな言葉が通じる筈もなくスライムは徐々に木を登ってくる。犬型のウルフの時には登ってこれなかったようだがスライムの形態になったらみるみる内にカオスのいる木の上方へと迫ってくる。カオスはそれを見て逃げることしか出来なかった。無論カオスがいるのは木の上で逃げるとしたらより高い位置にだ。
だが木の上に逃げた所で木の高さは無限に上へと伸びている訳ではなく限界の高さにまで逃げた所でカオスは自らの失敗に気付いた。
カオス「(どっ、どこにも逃げ場がない!?)」
先日から顔を合わせている相手にも関わらずこのスライムの化け物について分かっていることは“出会ったら逃げろ、それか消滅するまで時間を稼げ”ということしか判明しておらず魔術を使えないカオスはこのスライムから逃げることだけを考えていた。だからこそ瞬間的に体がスライムのいる木の下の方向とは真逆の木の上に向かって逃げてしまったためカオスは自ら自分の退路を絶ってしまった。よく冷静になって考えられていたらスライムに変身したところでスライムと木を挟んだ逆の方向の地上に飛び降りて逃げられたかもしれないが時既に遅くカオスもスライムももう木の半分以上上へと登って来てしまった。後に想像できるのはカオスがこのまま木の頂上でスライムの化け物に捕らえられてしまうことだけだが………、
ミシミシッ………!
そんな音がカオスのいる木の頂上付近からスライムの奥の木の下の方から聞こえてきた。よく見たらスライムが木を腐蝕させて登って来たため木の根元の部分が今にも崩れそうな具合に………、
いや…………、
今、崩れた。
カオス「へっ!?
………わっ、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
スライムの化け物が木を腐蝕させて登って来たせいでカオスとスライムが登って来た木は直立に支える力を失いそのままカオスとスライムは地面へと木ごと倒れ込んだ。