テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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目覚めた力

ミストの森 十年前事件当時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドシーン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな大きな音を建ててカオスとスライムの登っていた木は倒れた。カオスはスライムから逃げるために意図せずして念願の地上へと辿り着くことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし幸運と不幸は同時に起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 倒れた木の………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 下敷きになって身動きが取れなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「はっ、!………ぅぁ………!!?」

 

 

 木が倒れる際、木に生えていた葉がクッションになって落下の衝撃が和らいだため大した負傷にはならなかったがその代わりに体重三十キロ前後の少年の上にはその何倍にも重量のある木が重くのし掛かる。少年の腕力だけではこれを退けるには力が足りなかった。

 

 

 何か超常的な力でも無い限りは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュゥゥゥゥゥ……!!」

 

 

 

カオス「!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェノム「シュゥゥゥゥゥ!!!!」

 

 

 カオスと共に木の上から地面に叩き付けられたスライムの化け物はこの落下の衝撃の影響を何事も無かったかのようにまたカオスへと迫ってくる。スライムが木の下敷きになったであろう場所はまたスライムが木を腐蝕させて這い出てきた跡があった。なんという便利な体だ。この衝撃に怪我も無くまた貪欲に獲物に向かって突き進んでくるとは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、感心している場合ではない。スライムの化け物は今この瞬間にカオスとの距離が詰められていっている。どうにかしてカオスはこの体にのし掛かっている木を退けようと力を入れて押し退けようとするが………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木は完全にカオスの体に張り付くかのように動こうとはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェノム「ジュゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 

カオス「うあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!」

 

 

 スライムの化け物がとうとうカオスの体に食い付いた。触れた部分からカオスの体は酷い痛みを感じていく。まるで火に焼かれているような痛みだった。こんな痛みはザック達の苛めでも味わったことがない激痛だった。カオスは無我夢中で誰かにこの声が届くように叫んだ。もしこの声が届いたのならきっと誰かが助けに来てくれる筈。自分はあれだけ奔走してミストの村の者達を助けに入っていたのだ。ならば自分は誰かに救われなければならない。そんなことを思って自分なら誰かに助けてもらえると信じて痛みに耐えながらも必死に声を張り上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかしいくら叫んでもそのカオスの救いを求める声に応じる者は誰もいなかった。

 

 

 カオスは忘れていた。自分が今まで助けてと訴えても誰にも助けてもらえなかったことと自分が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追放された身であったことを。

 

 

 ここにはカオスとカオスを貪ろうとしてくるヴェノムしかいない。いるとしたら他のモンスターかヴェノムのみ。ここでどんなに叫んだところで寄ってくるのはカオスに害なす者達ばかり………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスは叫ぶのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうせ叫んでも無駄なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 助けを求めたところでこの世界には自分を助けてくれる者なんていやしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どんなに手を差し伸べたところで自分の手を握ってくれる者などいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の手は他のミストの者達のような普通の手ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 他所から来た余所者の血が混じった汚ならしい手なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騎士の血をひく自分は騎士にはなれなかったがそれでも他の子供達のように夢見る少年であったつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分は生まれが少し他の者達とは違うだけで何一つ変わらない普通の子供だった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 騎士の血を引いておきながら事故で他の子供達にも劣る半端者というだけで自分は何も差別される謂われなどない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それだというのに回りの者達は皆自分のことを疎ましく思っていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祖父のようにミストの守りに貢献出来ていたらもっと優遇された扱いは受けられただろうが自分はまだ子供でいきったところで何かが出来るわけではない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分には人よりも年月も力も何もかもが必要だった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただそれが足りなかっただけで自分はこの瞬間この時に全ての終わりを垣間見ることになってしまったのだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………はぁ………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故自分はもっとこう………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普通の子供のような生き方が出来なかったのだろうか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分は人並みに生きていたかっただけなのに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこの世界はこんなにも生きにくいのだろうか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 他の者達が持つようなマナを最低限持っていないと言うだけでここまでこの世界は自分にとって生きにくくなるものなのだろうか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………どうせこの化け物に喰われて死ぬのなら最後に一花咲かせていこうか………。

 

 

 このスライムの化け物に触られただけでもう助からないと言うことは知っている。

 

 

 それなら最後に自由に使ってみたかった魔術を今ここで使いきってしまってもいいだろう………。

 

 

 この力を使い果たして自分が死んでしまってももうそれを悲しんでくれる人はこの世には………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『また…ワシが屠らねばならぬのか。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………誰かの声が聞こえた気がした………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声はとても哀愁に満ちた声で何か辛いことでもあったかのようなそんな声だった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声が聞こえた瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体の中から何かが解放されたような感覚が身体中を駆け巡った………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………………………………………………?」

 

 

 ふと目を開けると目映い光が自らの手から発せられていることに気付く。自分に覆い被さっていたスライムの化け物はその光を受けてゆっくりと消えていく。カオスにのし掛かっていた大木も同様に消滅していく。そしてスライムの化け物が覆い被さって火傷した自分の皮膚はその光で浄化されるかのごとく癒えていく。

 

 

 この光がおじいちゃん自分を救ったのか………?

 

 

 この光は一体………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然自分の手から放たれた光はカオスが願った通りのことが起こった。

 

 

 邪魔な木をどかしてほしかったこととスライムの化け物をどうにかしてほしかったということ、それとスライムの化け物によって負った怪我の痛みも無くしてくれた。

 

 

 カオスにはこの光が何なのかは分からなかったが一先ず立ち上がって回りの景色を眺めてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで見たものはスライムの化け物が通ったであろう道が全て自分が放つ光にまみれていたという光景だった………。

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