テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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自覚

ミストの森 十年前事件当時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「アクアエッジ!」

 

 

ウルフ「ギャンッ!?」

 

 

カオス「ウインドカッター!!」

 

 

マイコニド「ポル…!」

 

 

カオス「ストーンブラスト!!」

 

 

ボア「ゴコォッ……!?」

 

 

カオス「アイシクル!!」

 

 

ベア「グォ……、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「ライトニング!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モンスターの群れ「ギャンッ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「ハハハハ!!

 アハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

 

 この言い知れぬ万能感は何だ!?この今まで感じたことのない優越感は……!!

 

 

 これが強者になると言うことなのか!?

 

 

 魔術を使えるようになっただけで俺はどこまでも突き進んでいける気になってくる!!

 

 

 この力があればあのミストの豚共に負けることなんてない!!俺には奴等にはない剣術と奴等と同じ魔術がある!!その魔術も大人達が使っていたようなもの比較してみても俺の魔力の方が上!!数では圧倒的に負けてはいるがアイツ等は所詮村に引きこもることだけしか出来ない軟弱なモヤシ共だ!村の外から火を放ってやればそれだけで俺の勝利は確定的だ!村という拠点があるからこそ奴等はあの村から出ていこうとしない!完全に俺の一方的な攻撃だけであの村を破壊し尽くせる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……ノリに乗ってきたな………。

 やっぱり今日中にあのミストに攻め込んで………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………!?」

 

 

 不意に体の力が抜けていくのを感じる。それは突然来てカオスはその場に座り込んでしまった。そこからはいくら足に力を入れても立ち上がることは出来なかった。

 

 

 ………これは、

 

 

カオス「あぁ………、

 これがマナの消費による枯渇か………。

 こんなに力が出なくなるもんなんだな………。」

 

 

 調子に乗りすぎて森の中でモンスターに魔術を使いすぎた。今日はもう魔術を使用するのは控えて休んだ方がいいのだろう。

 

 

カオス「………攻め込むのはいつだって出来る……。

 なんなら明日にでも体の不調が治り次第攻め込むことだって出来るんだ………。

 

 

 ………明日になったら覚悟しておけよ豚共………。」

 

 

 カオスはミストに復讐するのを明日に延期して今日は安全そうな場所を見つけてそこで休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミストの森 夜 十年前事件当時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………静かな夜だ。回りにはモンスターの気配すら感じられない。昼間にこの辺りで暴れまわったせいでモンスターが危険を察して離れて行ったのだろう。

 

 

 なんとものどかな時間が流れる………。今にして思えばこんなにゆっくり出来るのは久しぶりだ。昨日まではあのミストでスライムの化け物相手に緊張の途切れが許されない緊迫した状況にあった。スライムが襲ってくるまでは村にあった自分の家で祖父と穏やかに過ごせていたがそれももう祖父の死を迎えたことで二度と戻ってくることはない日常になってしまったんだなと今更ながらに実感する。

 

 

 ………色々と実感が後から後からやって来るんだな………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「おじいちゃん………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスは祖父から昔から聞かされてきた騎士の話が好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………と言うよりも騎士の話をする時の祖父の楽しそうな姿が好きだった。

 

 

 祖父は何よりも騎士時代の思い出に思いを馳せており自分がその話を聞きたいと言うと嬉しそうに話してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分はある時騎士になりたいと祖父に話した。

 

 

 それを聞いた祖父は始めは複雑そうな表情を浮かべたがどこか自分の発言に否定しきれない………寧ろ好意的な感情が窺えた。

 

 

 祖父は自分が騎士になるということに現実的に無理でも気持ち的には賛同的だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから自分は騎士になると言ったのだ。

 

 

 そう祖父に言えば祖父が喜んでくれるから………。

 

 

 そう言えば祖父が喜んでくれると分かっていたから………。

 

 

 

 

 

 

 祖父の喜ぶ顔が見たかったから………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………その祖父はもういない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今のカオスに残ったのはこの甦った自身のマナと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祖父との騎士について語り合った思い出と………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長年憎悪を抱き続けてきたあの村の住人達への復讐心のみ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう我慢することはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう我慢しなくてもそれを止めてくれる祖父はいないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 祖父がいないあの村に何を遠慮することがある………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの村は自分を捨てたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 捨てられたのであればそれ相応にこれまでの御礼をお返ししなければならない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その御礼を受けなければならないのはあの村の者達にとっては至極当たり前のこと………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 理不尽にもあの村を救おうと奔走した自分に勘違いでふざけた仕打ちをしたあの村の住人はこの手で抹殺して………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………抹殺して………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前が殺したんだろ!?』『お前が殺生石から、村を守っていた力を盗んだのか!』『間違いなくあの力は殺生石が持っていた力だ!!』『全部お前のせいだ!!』『返せ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………いやいやいや何を心配になってるんだ俺は………。

 

 

 この力は俺の本来のマナが戻っただけだろ?

 

 

 殺生石から力を盗むなんてそんなこと五、六才くらいの子供に出来る筈ないだろ。

 

 

 第一俺はそんなもの盗んだ記憶もないし逆にマナを盗まれた経験しかない。

 

 

 ………このマナはきっとおじいちゃんが最後に俺のために奇跡的な力で元通りの普通の子供に戻してくれたお陰で………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………おじいちゃんのお陰………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………………………………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………おじいちゃんのお陰だったのなら………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おじいちゃんもあのスライムを消す力があった筈だよな………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………けどおじいちゃんはあのスライムと対峙してからそんな力を使ったところは無かった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おじいちゃんにもあのスライムを消し去るような力は無かったんだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………だとしたら………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この力の出所は一体………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………本当に俺が殺生石から力を奪ったのか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………だったら………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………だったら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何だって言うんだよ………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が殺生石から力を盗んだからってそれが何だって言うんだ?元はこのミストの村付近で見付けた特別そうな石を勝手にアイツラが自分達の物かのように言ってるだけじゃないか。元はあの岩は誰の物でもなかった。あの岩の回りに勝手に村を作って勝手に住み着いただけの自分勝手な言い分しか言わないアイツラに気を使って何になるっていうんだ?始めに国の税をむしりとられるのが嫌でその義務を放棄したアイツラが悪いんじゃないか。俺はアイツラの村に生まれただけで本当だったら王国のもっと大きな街で過ごしていたかもしれない。

 

 

 ………そう考えたら何だかまた無性にアイツラに対して腹が立ってきたな………。

 

 

 早く明日になってアイツラの村に火を放ちに行き………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………どうしてこんなことになっているんだ………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おじいちゃんが死んであの村から追い出されて………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの村の連中は俺が殺生石の力を奪ったのだと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを確かめる術はないが恐らくその通りなんだろう………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………と言うことは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの村にスライムが襲ってきたのは俺のせいだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………じゃあ…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………スライムに襲われておじいちゃんが死んだのは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………俺のせい………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が殺生石の力を奪ったから………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おじいちゃんが死んだ………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………俺がおじいちゃんを………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………殺した………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………俺が大好きなおじいちゃんを………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………殺してしまった………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………全て俺が切っ掛けで………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おじいちゃんを死に追いやってしまった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………俺が………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺がおじいちゃんを殺したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「…………………うっ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当は分かっていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの光が何なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの光が殺生石の力によるものだと言うことも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気付かないフリをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしなければ自分を保っていられなかったから………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが何度思考を重ねても最後に辿り着く答えは全て自分が始まり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして全て自分で終わる………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 認めたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰かに責任を擦り付けたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 八つ当たりしたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分は悪くないのだと思い込みたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもいくら他人の責を探しても行き着く先は己の罪。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いくら思考を重ねても自分がどうしようもない責任転嫁をしようとしていることに気付いてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後のことはよく覚えていない………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと意識が戻るとどのように持ってきたのかは覚えてはいないがミストの家に置いてあった筈の木刀と祖父の書物の一部が手元にあった。よく見れば少しだけ焦げた跡などがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それらを見てカオスは祖父が自分の代わりにミストをモンスターやスライムの化け物達から守ってほしいと自分にそうお願いしているように思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人の記憶は時間と共に曖昧に薄れていく………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度の事件でカオスは完全に自分に非があるのだと自覚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにより事件の最後の方は放心していて定かではないが自分が祖父を死に至らしめた原因を作ってしまったことは理解している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後にこの記憶からカオスは“自らの魔術で祖父を消し去った”と思うようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これがカオスが魔術を生物に対して放つことが出来なくなった根幹である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスは攻撃性のある魔術を視界に生物がいる状態で発動させようとするとその生物が“祖父アルバート”の影と重なって見えるようになってしまったのだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い返される祖父の亡骸を消した瞬間の記憶。

 

 

 祖父の遺骸を消し去る瞬間には祖父は絶命していたがその直後に村の者達からの糾弾が記憶を連結し自分が誰かを攻撃しようとすると忌まわしい記憶がカオスの精神を激しく揺さぶるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴェノムがミストを襲いカオスはミストを全滅の危機から救った。

 

 

 しかしその仮定は自分がその事件を招き寄せた原因なのだ。

 

 

 それが祖父を失うと言う悲劇を呼び寄せた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分が何をどう頑張ったからと言って事件の根源を司るのは自分が殺生石の力を奪ってしまったことにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオスは自身の精神的外傷の他にも自分がこの殺生石の力を乱用してはならない、この力は自分の力ではない、他人の力だ。この力を使えばまた自分にとって大事な人を失う危険がある。

 

 

 

 

 

 

 絶対にこの殺生石の力を何かに対して攻撃するようなことがあってはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時からカオスはそう自分に戒めを課した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現時点でカオスがこの戒めを解き放つのは相当に難しい………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分で封印した力はこの旅路で綻びが生じ徐々に解け始めてはいたがどうしても最後の一手に結び付かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………どこかでカオスが自分が魔術を使ってもよかったのだと思わせるような事柄でもあったのならその最後の一手になり得ただろうに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………ありがとう………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの悲劇の事件の直後実はカオスに対してそんなことを言う者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがカオスはそんな言葉よりも自分を責める言葉に呑まれてその御礼の言葉を聞くことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉がカオスに届いていたらカオスの心の氷はここまで分厚くカオスの心を覆うことは無かったであろうに………。

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