テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カオスの弾劾空間
『盗人めが!!』『この人殺し!!』『才能無し!!』『落ちこぼれ!!』『汚ならしい騎士の血筋!!』『お前なんかさっさとここでくたばっちまえよ!!』
カオス「………」
アルバ『どうした?
あんな雑音無視するかさっきみたいに言い返してみたらどうだ?
お前だってあんな連中のことなんか気にも止めてないんだろ?
だったらお前のしたいようにやりゃいいさ。
お前が手に入れた力なんだからな。
人を守るでも殺すでも自由さ。』
出来る訳ないだろうが………。
この力はアイツらの言う通り人殺しの道具なんかにしていい物じゃない………。
それにこの力を使うということは………、
もう一度アンタを殺すって言うことなんだぞ………。
アンタを殺してしまった力に頼ってまたアンタを殺すことなんて………、
俺に出来る訳がない………。
この力を使ってアンタを殺すことなんて………、
俺に赦される筈がないんだ………。
アンタは国の英雄と言われた男なんだ………。
アンタの帰りを待っていた人達も沢山いたんだ………。
そのアンタを殺したのは俺だ………。
沢山の人達が待っていた救世主はアンタだったんだ………。
俺じゃない………。
そんな俺に………、
英雄のアンタを殺せって言うのか………。
また俺に………、
嫌な思い出を植え付けるのか………。
俺はどうしたら…………、
アルバ『………下らないことばっか悩みやがって馬鹿孫が………。』
カオス「………」
アルバ『そうやって自分を責める気持ちと自分を責める言葉に耳を傾けているからお前はずっといつまで経ってもミストのしがらみから抜けることが出来ないんだろうが………。』
カオス「当たり前だろ………。
俺はあの村で育ってあの村に災厄をもたらしたんだ………。
俺の人生からあのミストを切り離すことなんて出来ない………。」
アルバ『……お前はあのミストにいるのが嫌でこんな辺境まで歩いて来たんだろ?
なのにお前の心の中の景色はずっとこのミストを見続けている………。
なぁ?
一度本気で外に出てみようと思わないか?』
カオス『………どうやってだよ………?
俺にはミストの外以外に居場所なんて………。』
アルバ『人の居場所なんて物理的な話じゃねぇよ………。
お前がいたい場所に出てみようって言ってるんだ。
お前ならどこでだってやっていけるだろうが。』
カオス「そんな場所なんてどこにもなかった……、
俺が行った先は全部アンタの影がちらつくようなそんな場所ばかりだった………。
あの国マテオでは………、
アンタが有名人だから………。」
アルバ『俺が有名人なのとお前が外に出られないのに何の関係があるんだよ?』
カオス「俺は皆の英雄を殺した男だぞ………。
そんな奴がアンタのことをよく知ってる人達がいるような街で暮らしていける訳ないだろ………。」
アルバ『気にしすぎだろオメェ………。
俺が死んだのは十年前だがもっと昔の百年前から俺はマテオのどこにも「俺は!!!」』
カオス「アンタのことを皆の心の中からも殺したくなかったんだよ!!
俺がアンタのことを知ってる人達の近くにいればきっとどこかでその人達はアンタが死んだってことを意識する!!
それが嫌なんだ!!
アンタは俺さえいなければ今でも皆の心の中に残り続けられるんだ………!!
英雄アルバートが皆の中で生き続けられるんだ……!!!
………レサリナスじゃ変な誤報が流れて結局アンタが死んだってことは伝えちゃったけど俺は………、
アンタを過去の偉人になんかしたくない………。」
アルバ『だったら何でレサリナスでお前は馬鹿正直に俺が死んだなんて街の連中に話したんだよ?
お前が本当のことを言わなければお前の思い通りになってただろうよ?』
カオス「あの時は………!?
………あの時はフェデールが嘘の情報を皆に伝えたから咄嗟に本当の真実を伝えなきゃって思ったんだ………。
レイディーにも真実を語ってやれって言われてそこまで頭がまわらなかった………。
それのアンタのことでこれ以上罪を重ねたくはない………。
俺がアンタのことで嘘をつくことなんてしたくなかった………。
アンタのことで嘘をつくのは俺がアンタを殺した罪から逃げてるみたいで嫌だったんだ………。」
俺はずっとアンタの死にどうやって償えばいいのか探してた………。
アンタがいなくなったことでミストの守りは殺生石を失ったこと以上にモンスターからの襲撃被害が多くなった。
だから俺はアンタの代わりにミストを守ろうと思った。
そうすることでアンタの死に報いたかった………。
アンタの代わりに俺がミストを影ながら守っていけばまるでアンタが実はまだ生きているんじゃないかって思いたかった………。
………結局ミストが王国の騎士団に頼ることを止めることは出来なかったけど………。
アンタのことを真の意味で殺すようなことにはしたくなかったんだ………。
アルバ『我が孫ながら難儀な性格をしてやがるなぁ………。
そう叩き込んだのは俺なんだがなぁ………。
………しょうがねぇかぁ………。
ここは親代わりを務めていた身としていっちょ一肌脱いでやるぜ………。
………カオス!』
カオス「……何だよ………。」
アルバ『………お前、
何を思い違いをしてるんだ。』
カオス「………思い………違い………?」
アルバ『この俺がお前ごときに殺される訳がないだろうが。
俺を殺したのはヴェノムだ。
お前じゃねぇよ。』
カオス「………そのヴェノムがミストを襲った切っ掛けを作ったのは『お前は関係ない。』!」
アルバ『何を勝手に自分一人で背負いこんでるんだよ。
お前一人に全ての責任があるとでも思ってるのか?
お前はいつからそんなに責任を背負える程偉くなったんだよ?
あぁ?
あんな事故はなぁ………、
小まめに殺生石の不具合を確かめなかった村の連中らにも非がある。
そう考えたら一番悪いのは村長の野郎だな!
今度会ったらあの村長の顔面に一発ぶちかましたれや!』
カオス「ぶちかますって………、
俺はもうミストに帰ることは………。」
アルバ『俺がお前を悪くないと言ってるんだ。
だったらそれでいいじゃねぇか。
あんな十年も前の事故のことをいつまでも抱えてんじゃねぇよ。
正直もう疲れてきたんじゃねぇか?
あんな連中のために心を痛め続けるのはよ………。』
カオス「そんな簡単に割り切れる問題じゃないだろ………!!
俺の弱い心が作り出した幻影のくせして分かったようなこと言うな………!」
アルバ『………そうだな………、
確かに俺はお前の記憶を借りて作られた幻想だ。
本当のアルバート=ディラン・バルツィエはもうとっくの昔にこの世からオサラバしている………。
………それなら………、
このお前が作り出した幻影をお前の魔術で消し飛ばしてみろよ。』