テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
新ウィンドブリズ山 麓
カオス「………」
ダインが操縦するレアバードから飛び下りて俺は、
目の前で行われている戦いのことよりも、
今浮飛んでいる空を眺めていた。
俺が下や後ろにばかり気を取られている間にも、
空はこんなに、
大きくて青かったんだな………。
こんな大きな空の下に広がるこのデリス=カーラーンで、
俺はどれだけの存在なんだろう。
人より名は知れた存在だとは思う。
それでも俺は俺の世界がこの世界と比べてみてちっぽけな大きさしか持たなかったことを知った。
俺の世界の大半はおじいちゃんがいた世界だった。
そのおじいちゃんが死んで俺の世界は壊れてしまったのだと思い込んでいた。
俺の世界にとっておじいちゃんはかけがえのない存在だった。
そのおじいちゃんがいなくなる切っ掛けを作ったのは俺だ。
そこだけはどうしても揺るがない事実として俺の記憶に深く刻み込まれている。
だけど今は俺の世界はおじいちゃんだけじゃないことを思い出した。
俺の世界にはウインドラとミシガンの二人がいた。
俺の世界の大部分を形成するおじいちゃんがいなくなったことで俺は俺を形作る世界が完全に失われたのだと思い込んでしまっていた。
二人は俺にとっておじいちゃんがいなくなった後の世界に生きる同じくかけがえのない人達だ。
その俺の世界の住人に俺はずっと支えられて生きてきたんだ。
もう俺は二人の負担になってはいけない。
支えてもらった分今度は俺が二人を支えなくちゃいけないんだ。
二人だって俺と同じく大切な誰かを失う経験をしたんだ。
俺だけが傷付いてた訳じゃない。
俺の他にも傷付いた人は沢山いる。
その他大勢のことはどうでもよくても俺は二人がいるこの世界を守りたい。
………二人だけじゃないな。
タレスやレイディーさん、オサムロウさん、
そしてアローネ達だって今は俺の世界にいるんだ。
俺はそんな俺を支えてくれる人達がいるこの世界を守りたいんだ。
くよくよして自分の過去の鏡を見ている場合ではない。
俺が二人を守りたいのは世界中の人達じゃない。
世界中の人達の中でこんな俺を探しだして見付けてくれたアローネ達を守りたいんだ。
自分の殻に閉じ籠っている暇などない。
こんな殻は、
思いっきり突き破ってやればいいんだ。
こんな風に、
カオス「フレアボム!!!」
カイメラジャバウォック「ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!?」
ミシガン・ウインドラ・オサムロウ「!!?」
アローネ「カオス…!?」
ダイン「………フフ………」
俺のフレアボムがカイメラに炸裂する。カイメラは俺の技を食らい爆炎の中に飲み込まれた。そして俺はカイメラの正面に着地しウインドラ達と合流を果たす。
カオス「皆大丈夫!?
今どういう………、
………!?」
俺は仲間達の傷付き消耗している姿に絶句してしまう。
ウインドラ「カオス………!
お前………。」
ミシガン「お帰りカオス!!
やっと帰ってこれたんだね!?」
オサムロウ「随分と長くかかったようだな……。
修行の程は上々と言ったところか……。」
カオス「………」
口々に俺の帰還を喜んでくれる仲間達。こんなに長く空けていた俺に対して文句の一つでも飛んでくるかと思っていたが彼等は俺の帰還を祝福してくれた。
………だがそんなことよりも………、
ウインドラ「?
どうしたんだ……?」
ミシガン「ごめんねカオス……。
カオスが修行中だってのにこんなところまでカイメラを連れてきちゃって………。」
オサムロウ「ソナタの修行するこの地にグリフォンが飛来するのが見えてな。
皆でソナタに危険を報せようと向かったところをあのカイメラに目撃されていたのだ。
不甲斐ないことに我等はこの四十日でカイメラの突破口すら掴めぬまま時を過ごした。
しかしソナタが戻ってきたということはこれでカイメラといよいよ決着をつけることが出来るという訳だな。
四十日足留めできた甲斐があったと言うものだ。」
………そんなことはどうだっていいだろうが………。
俺がだらしないせいでそんなに傷付いて………、
タレス「………ッ…!」
タレスに至っては意識すらないのかよ………。
俺が皆を待たせていたからこんなことに………。
俺がノロマだから………、
俺が皆を傷付けさせたんだ………。
俺が皆をこんな姿にしてしまった………。
俺が自分にばかり拘っていたから………、
でももう俺は誓った。
皆を守るって………、
皆に迷惑をかけちゃいけないんだって誓った………。
皆が傷付くところを見たくないくせに皆を盾にして自分は安全なところにばかり避難していたからこんなことになった………。
………今度は………、
俺が皆の盾になる番だ!!
カオス「グレイブ!!バニッシュボルト!!スプラッシュ!!ファーストエイド!!」
俺はタレス、ウインドラ、ミシガンに対応した属性の魔技とオサムロウに治癒術を付加する。
ミシガン・ウインドラ・オサムロウ「!!」
タレス「………!!」
カオス「………よし。」
ダイン「………うん………。」
アローネ「カオスが皆に……!?」
俺の技を受け四人はみるみる傷が癒えていく。あの空間に入る徴候もなかった。あの空間に俺が囚われてしまうことはもうないのだろう。何故ならあの空間は俺とおじいちゃんがそれぞれ自分のいる世界の側から鍵をかけた。故にもう俺が魔術を使う際にあの空間に逃げることは出来なくなった。
これからは………、
この世界が俺がいる世界なんだから………。
ウインドラ「カオス……!
お前俺達に……?」
ミシガン「すっ、凄い………!
さっきまで疲れてクラクラしてたのに……!?」
オサムロウ「……完全に峠を越えたのだな………。」
タレス「………カオスさん………?」
カオス「皆体の方はどう?
どこかおかしなところはない?」
ウインドラ「……おかしなところなどある筈がない。
それどころか今までで一番気合いのは入るコンディションだ!」
ミシガン「カオスのおかげでギリギリだったマナも回復したよ!」
オサムロウ「よもや我までも治療されてしまうとはな。」
タレス「いつのまにカオスさんが戻ってきてのかは知りませんがこれでまたボクも戦えます。」
カオス「……そうか……、
ただいま皆………。
ゴメン、
こんなに長くかかっちゃって………。
でもこれからは俺が「ボォォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」!」
カイメラジャバウォック「フスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!!!!」
炎の中からカイメラが出てきて遠吠えを上げて体を溶かしていく。やはりヴェノムの王と称されるだけあってグリフォンと違いあの一撃で終わってはくれないようだ。
オサムロウ「カオス、
分かっているな……?」
ミシガン「ここでもう終わりにしよう?
カオスがいればあいつだってもう怖くなんてないよ!」
タレス「ボク達全員が揃ったのならあのカイメラですら相手になりませんよ。」
ウインドラ「謀らずして奴がこの地方に戻ってきたな。
元々あのカイメラはこの地方の主だ。
奴の墓場には相応しい場所だ。
行くぞカオス!」
カオス「あぁ!
もうこいつで足留めを食らうのは終わりだ!!
俺達で……!!
こいつを絶対に倒すんだ!!」