テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしている。

 調子の悪いアローネの様子を気にかけるカオスだったが原因がよく分からずそのまま進み三人はようやく次の街へとたどり着くのだった。


バルツィエ家

王都 とある貴族邸

 

 

 

「みんな集まってっか?

 いねぇのもいるな。

 今朝方面白そうな二人組が全国氏名手配されていたぞ?」

 

「面白そうなヤツ?」

 

「先日遠方に出ていたブラムがマテオに逆らうダレイオスの手先が見つかりましたって届け出があったらしくてな。」

 

「何故その場で捕まえないんだアイツは。」

 

「何でも返り討ちにされたんだとさ。」

 

「二人がかりでか?何人か部下もいたんだろ?」

 

「いや片方に部下もろともやられたって。」

 

「ダッセーヤツだなアイツも。」

 

「うちがせっかくみてやったのに…」

 

「アイツもその辺の石ころ程度だったと言うわけか。」

 

「んなもん最初から分かりきってたことだろ?

 下げてやんなよ。」

 

「フェデール、貴様が一番蔑んでると思うが。」

 

「所詮ヤツは四天王でも……最弱だっけ?」

 

「二番手か三番手じゃなかったっけ?」

 

「ってか残ってる他の隊長は何人いるんだ?」

 

「半数減った辺りまでは数えてたんだけどなぁ。残りは………四天王でいいんじゃね?」

 

「誰か覚えてるヤツいないのかよ?」

 

「………十年前にクレベストンが死んで三人になった。」

 

「じゃあ三天王だね。

 やはり最弱か!

 面汚しめ。」

 

「全然見ないと思ったらいなかったんだなクレベストンのヤツ。」

 

「もともとよくどっか出掛けてたヤツだからなぁ。」

 

「アルバートの伯父さん探しに行ってたんだとよ。」

 

「は?とっくに死んでたろ!

 未練ったらしいヤツだなぁ。

 死んだヤツなんか追いかけて。」

 

「クレベストンの補充は出来てんのか?

 いずれは騎士団を掌握するにしても遠方までまわるのめんどくせぇだろ。

 そこら辺の雑草にでも行かせとけよ。」

 

「そう言うわけにはいかん。

 反乱分子は早めに粛清しておかねばならんのだ。

 補充は我等の傘下から出しておいただろう。」

 

「そういや俺の配下から出したな。

 前任者とか興味なかった。」

 

「あんたの大好きだった兄貴を探していたヤツの穴だぜ?

 なんとも思わねぇのか?」

 

「いないものを追い続ける程私も暇ではない。

 クレベストンには私も世話にはなったがそれだけだ。」

 

「冷たいねぇご当主様は。」

 

「この家に暖かさなどあったか?」

 

「ねぇな。

 あるわけねぇ。」

 

「本当だったら今頃その席にはアルバート=ディランが座ってたんだろうになぁ。」

 

「口を慎め。

 私に対する無礼は許さんぞ。」

 

「堅苦しいこと言うなよ。

 そんなもん外面だけ整えときゃいいだろ。」

 

「図に乗るなと私は言ってるんだが。」

 

「アレックス様よぉ、ちょいとばっかしハメ外してもいいだろう?」

 

「………どうやらこの中に粛清しなければならない者がいるようだな。」カチャン

 

「おっとよせよせ悪かったよ。

 つい退屈で調子にのっちまったぜ。」

 

「アレックス怒らせると止まらねぇぞ。」

 

「俺達でも命拾いすることがあるんだな。」

 

「貴様等も私に剣を握らせることのないようにしておけ。」

 

「ハーイ」

 

「返事もろくに出来ない駄目な大人がいるとはな。

 えぇ?貴様達?」

 

「はいはい肝に命じておきますよ。

 ご当主様。

 ったくラーゲッツのせいで下げたくねぇ頭下げちまったじゃねぇか。」

 

「お前も下げてねぇだろ!」

 

「うち関係ねえし。」

 

「……で?話が逸れたがその手配書の奴等がどうしたんだ?

 石ころがやられた程度の話なのか?」

 

「見れば分かるさ。

 コイツらだよ。」ピラッ

 

「……アローネ=リム・クラウディア。

 …………美人だなぁ。」

 

「かなりレベル高くね?

 いけるっしょ?」

 

「氏名手配犯だぜ?」

 

「知るか!

 犯罪者なら何しても構わねぇだろ!?

 俺が拾ってもいいよな!?な!?」

 

「何でもいいのかよお前。」

 

「犯罪者にしておくには勿体ねぇよ。

 俺がもらうぜ。

 エコ精神だよ。」

 

「俗物が。」

 

「何かあんのか?ダイン。

 国が入らねぇもん貰って誰が困るんだよ?」

 

「家名に泥を塗るような真似は止めとけよ。」

 

「今更綺麗さを取り繕ったところで格が落ちるような家じゃねぇだろ。

 多少の汚れなんざどこの家にだってある。

 文句言われるんなら握り潰しちまえよ。

 そんくらいできんだろ。」

 

「お前のケツを何回拭けばいいんだよ。」

 

「常習犯のくせにウゼー。」

 

「ケツの汚ねぇ野郎だな。

 拭き方教えてやろうか?」

 

「んだと!ゴラァッ!!」バンッ!

 

 

 

「お前らそっちの女に注目しすぎだろ。

 注目してほしいのはこっちだって!」

 

「コイツがうちのブラムを……!」

 

「男になんか興味ねぇよ。

 女捕まえたらソイツは殺すだけだ。」

 

「どれどれ……カオス?カッコつけたつもりの名前…………これは!?」

 

「ご当主。」

 

「……」

 

「コイツらがブラムをやったのは丁度アルバート=ディランがいなくなったあの辺りの村だそうだ。

 死んだと思ってたが生きていた。

 生きて子供がいた、もしくは本人か。

 そういうことだろ?」

 

「同姓なだけか、それか俺達の威光にすがろうとそう名乗っただけの可能性は?」

 

「それで氏名手配されてちゃ馬鹿だろ。

 おかしなヤツだぜこいつは。」

 

「この村は数年前まで存在が知られていなかった村だ。

 生計も作物を育ててたてていたような。

 そんな村にいた奴が威光にすがるとして何になる?

 俺達を知っていて家名を名乗るのならもっと大きな都市でやる筈だ。

 これは間違いなく本名ととっていいだろう。」

 

「俺達の家名を名乗った奴なら前にもいたぞ。

 即刻捕らえて薬の被験体にしたがな。」

 

「アルバート=ディランの死んだと思われていた地点、その付近で見つかったコイツ。

 十中八九アルバート=ディランの血筋だぞコイツは。」

 

「その村にいるんじゃねぇかアルバート=ディラン。」

 

「そんな報告は受けてないが…。」

 

「受けてたら俺達の耳に届くだろ。」

 

「……さらにもう一つこの手配書には嬉しい話がある。」

 

「嬉しい話?なんだよそれ。」

 

「手配書をよ~く見てみろ。」

 

「何があるってんだ………一千万ガルドの生け捕りか。

 ダレイオスの手先って書いてるしまぁまぁの額だな。」

 

「手配書の裏を読めよ。」

 

「裏?」

 

「何も書いてねぇぞ?」

 

「かぁ~……、お前達に読解力があることを期待した俺が浅はかだったぜ。

 これが分からないとかどんだけ計算狂わせてくれるんだよ。

 戦闘と家の名前しか取り柄のねぇバカばっかだもんなお前等。」

 

「それは俺達に宣戦布告ととっていいんだよな。フェデール。」

 

「ラーゲッツの悪口はいいが俺の悪口は許さん。」

 

「俗物のラーゲッツと調子乗りのユーラスはディスってもうちをディスるのは許さん。」

 

「コイツらと同じ括りとかマジ許さん。」

 

「お前ら皆俺の敵なんだな!」

 

 

 

「貴様等のその暑苦しいところはどうにかならんのか。

 いい加減この手が握りどころを探しているのだが…?」

 

「「「「スミマセンでした!!」」」」

 

「フンッ………してフェデールよ。

 お前はこう言いたいんだな?

 この手配書は我々への果たし状であると。」

 

「どこに書いてある?」

 

「駄目だ見つからねぇ!」

 

「流石アレックス!

 こんな廃れ脳筋どもとは出来が違うねぇ!

 そう!そう言いたかったんだよ!」

 

「つまりこのカオスが俺達にケンカ売ってやがんだな?

 買うぜ!」

 

「廃れ脳筋黙って聞いてろ。

 それかどっか行け。」

 

「何でだよ!?」

 

「うちがブラムの仇を…!」

 

「ダイン、話が続けられない。

 それとこの果たし状はそのブラムからだぞ。」

 

「ハァァ?ブラムからだと?

 傘下とはいえねぇがこっちよりだろアイツ。」

 

「何でブラムが…?」

 

「賊の名前。

 記載事項にダレイオス。

 額の割には生け捕りのみ。

 この三つだけでもこの家に対していい攻撃材料だ。」

 

「言われてみれば…?」

 

「本当に理解してんのか?」

 

「この手配書を作る前に我々に報告を入れていない。

 それが疑わしいというのだろう。」

 

「その通り。

 例えコイツがアルバート=ディランとは無関係だったとしても賊が俺達と同じ名を名乗ること。

 それがどういう影響を受けるか天才的でカリスマ性を感じないこともなくはない凄まじくごくごく並の知能を持つお前ら程のもの達なら分かるだろ?」

 

「お、おう?」

 

「今誉められてた?」

 

「誉めてるに決まってんだろ? 天才的だぜ?お前ら。」

 

「フフン、ようやくお前にも分かってきたようだな俺達の偉大さが!」

 

「本当に天才的だぜ。」

 

「二つ目までは分かるがよ。

 三つ目が何で攻撃材料になるんだ?」

 

「その点は天才的な俺達でも分からなかったぜ。」

 

「天才には凡人の考えが理解出来ないようだな。

 いいだろうこの俺様が天才様に教えてやる。

 生け捕り………騎士隊をまとめて倒すような奴にそこらの雑草に出来ると思うか?

 生け捕りってのは殺すことよりも難しいってのはよく聞く話だぜ。」

 

「あぁ~」

 

「生け捕り難しいよなぁ。

 俺も何度失敗して殺しちまったか。」

 

「手を抜いて戦うってのはどうにもなぁ。」

 

「うち手加減出来んくて前にいた弟子達も…」

 

「お前がブラム気に入ってるのってそういうことなのか?」

 

「天才様と一緒にすんじゃねぇよ。

 借りにも騎士だぜ?

 玩具つけてた奴に勝ったってこたぁこのカオスって奴も玩具持ってるに決まってんだろ。

 そこらの雑草に敵うわけがねぇ。」

 

「集団でかかれば行けんじゃねぇのか?」

 

「並がいくら揃えられたところで警戒させちまう。

 そうなりゃ逃げられんのが関の山だ。

 捕まらねぇ前提の手配書なんだよこれは。」

 

「考えすぎじゃねぇか?」

 

「そうでもねぇさ。

 コイツとブラムは恐らくグルだな。

 未だに俺達の所にブラムから報告がねぇのは不自然だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンッ

 

「入れ!」

 

「失礼いたします。」

 

「!…ブラム。」

 

「噂をすればだな。

 ようやく来やがったか。」

 

「ほらやっぱりブラムはうちらの味方じゃん。」

 

「はて?私目について議論がなされていたご様子ですが何か?」

 

「……御苦労だったなブラム。

 何用で参った?」

 

「はい、先日このようなものの手配書をお作りしましたので皆様に御報告致したく参上いたしました。」

 

「丁度その話で盛り上がってたとこさ。

 派手にやられたようだなブラム。」

 

「流石でございますねフェデール様。

 お耳にするのが早いようで。

 いやはやお恥ずかしい。

 私がついておきながら賊をとらえられぬなど皆様になんと申し開きをしたらいいのやと。」

 

「壊れてないならいいよブラム。」

 

「私目へのご配慮の言葉有り難き幸せでございますダイン様。」

 

「アンタはうちのお気にだからね。」

 

「……で本当のところはどうなんだ?」

 

「と申されますと?」

 

「これを手配する前に俺達に知らせるのが先じゃねえか?

 下手したらこの家に泥を塗っちまうかもしれねぇ。

 危うくお前の背信行為とコイツらが受けとっちまうところだったんだぜ?

 俺が庇っといたがな。」

 

「は?フェデールしかそんな「どうなんだブラム?」」

 

「それは私の考えが及びませんでした。

 一刻も早く皆様の名を騙る賊を捕らえようと急ぎ手配したのですがそのような不敬なことはありえませんよ。」

 

「ほらこう言ってんだろフェデールは疑り過ぎなんだよ。」

 

「本日は皆様にこの一報をお伝えする為参りましたので私目はこれにて失礼させていただきます。」

 

「おう、また今度な。」

 

「次はうちと遊んでね。」

 

「……その際はよろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて今のをどう捉えたらいい?」

 

「白だろ?」

 

「黒だな。」

 

「黒。」

 

「うちのブラムが……黒。」

 

「あんな用意しといたようなこと吐いて白なわけがねぇだろ。」

 

「ブラムは裏切ったか。」

 

「最近研究所を嗅ぎまわってるやつらもブラムと繋がってそうだ。

 ブラムは問い詰めても無駄話になるだけだな。」

 

「そうまでしてヴェノムの研究資料が欲しいかね?」

 

「それが手に入れば国を傾けられるからな。

 引っくり返るのは俺等だぜ?

 だからあそこには誰も近づけないようにしてんだろ。」

 

「ちっとぐらい侵入された方が面白そうだがな。」

 

「ラーゲッツ、

 あまり不用意なことをほざいてると八つ裂きにされんぞ。」

 

「おーこわ。」

 

 

 

「研究所のゴキブリはそのうち潰すにしてコイツはどうする?」

 

「単純なことだ。

 他の連中に捕まるよりも先に俺達で首をはねあげればいい。

 ゴキブリ共の思惑通りにさせてやるかよ。」

 

「そうだなそれでいい。

 フェデール、全国の親戚と傘下に報せろ。」

 

「生け捕りって書いてるぜ?」

 

「賞金首にそんなこと気にすんなよ。

 コイツは家族の内で片付ける必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺等バルツィエの名を騙る罪は極刑以外にあり得ねぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁアレックス。」

 

「なんだ。」

 

「アンタの兄貴なんだが……」

 

「無論だ承知している。

 アルバートは……死んだ。」

 

「やっぱ行き着いていたか。」

 

「これがブラムの作戦としてあのお人好しが他人にこのような危険な役目を許すとは思えん。

 これが通ったということは…。」

 

「そうなるな。

 後このガキについてなんだが恐らくブラムに利用されてるだけだろうな。」

 

「……」

 

「さっきはああ言ってたがこのカオスは傘下連中の方には生け捕りで伝えとくよ。

 アルバートの血筋なのは可能性が高いからな。」

 

「……スマヌ。」

 

「気にするなよ。

 俺だって色々されたがまだそのくらいの心は残ってるつもりだ。

 暴君を演じるのも楽じゃないよな。」

 

「人の世を守るためだ。

 それくらい耐えて見せる。」

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