テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
砕かれた山地
オサムロウ「カオス!!」
カオス「!!」
オサムロウがカオスの名を呼ぶ。刀を折られたことにより助太刀に入れと言ってくるのだろうか?
しかしその後の言葉にカオスは疑問の表情を浮かべた。
オサムロウ「………特別に見せてやろう。
見事試練を乗り越えたソナタとソナタ達だからこそ見せるのだ。
我の………、
真の姿………?
真の姿とは一体………?カイメラのように自分も変身することが出来るとでも言いたいのか?しかしそんなまさか………、
………まさか………、
オサムロウ「………実を言うとな………。
我は………、
ソナタ達が現れる前からヴェノムを屠る力は備わっていたのだ。」
カオス「…………………………、
………………は?」
俺達に会う前から…………、
ヴェノムを屠る力が備わっていた………?
どう言うことだ………?
オサムロウ「世界に蔓延るヴェノムがどういった生物なのか考えたことはあるか………?
奴等は何故物理的に倒すことが出来ないのか。
何故奴等は生物に感染するのか………。
何故奴等は他のマナを欲するのか………。
それは奴等ヴェノムが進化するためだからだ。」
カオス「………」
確かにそんなことをクリティア族の人達が言ってたような気がするが………それが何だと言うんだ………?
オサムロウ「奴等は感染した生物を極限にまで進化させる。
進化に適合出来なかった者は進化に失敗しスライムに似た姿に変えられてしまう。
だからこそ奴等は進化のためのマナを集めてもう一度生物としての形を取り戻すため他者のマナを追い求めるのであろうな。
丁度ここにいるカイメラがその失敗から成功に返り咲いた例なのかもしれん………。」
………だからカイメラはこんな歪な進化を遂げてしまったのか………。スライムになってから他の生物達を取り込んで漸く生物としての形を………取り戻せたかどうかは置いておいて………。
オサムロウ「………だが仮に………、
その生物を進化させるヴェノムウイルスと言うものがあったとして………、
“既にその生物にとっての進化の極限にいる者”がいたとしたらヴェノムウイルスはどう作用すると思う?」
進化の極限の果てに既に至っている者………?
オサムロウ「ヴェノムの特長を振り返ってみれば案外奴等は簡単な作りをしていたんだ………。
奴等は未発展途上の生物を進化させてその段階で屯する生物にとっては危険きわまりないウイルスではあるがその段階を越えた生物のマナに対しては打たれ弱い性質を持っている。
ソナタ等のような精霊の力を借りし者等しかり………、
そして、
我のような………、
カオス「………………、
………!?」
メキメキメキッ!!
オサムロウの体が音を立てて壊れ始めた。
いや………、
壊れて中から別の新しい体が構築されようとしていた。
これは………!?
オサムロウ?「この姿になるのは実に三百年振りか………。
カタスティア様とお会いする以前はずっと一人………、
………一匹でこのダレイオスをさ迷っていた………。
我のこの姿を目にする者は皆我のことを化け物と罵り我を迫害し捕獲しようとする者さえいた………。
我は………人の社会に埋もれすぎた………。
こうして人の社会に溶け込む前は化け物と罵られようが何も感じることは無かったのだがな………。
それも人を知ってから変わってしまった………。
この三百年で我は元の我に戻ることが出来なくなっていた。
刀を持つことになったのはカタスティア様が人の社会で生きることを選んだ我を思って我に授けてくれた武器であったが同時にこの刀が我が人の生きる社会から抜け出すことを止めるストッパーとなっていた。
それが砕けた今、
我はかつての姿をもう一度人の世に晒さなければならなくなった。
カオス、
この決意はソナタが我が課した試練を乗り越えたことへの餞別としてソナタ等に明かすのだ。」
カオス「………貴方は………貴方は一体………?」
オサムロウ?「水の進化アクアン、風のエアロス、地のアーシス、氷のフェンリル、火のラー、雷のユニコーン………様々な進化を遂げる我の種は総称してこう呼ばれていた………、
オサムロウの姿は元の面影を所々に残すもののその頭から胴にまで伸びる剛毛は馬を思わせるような見た目をしておりかといって手には蹄ではなく獣のような鋭そうな爪を生やしている。全体的にも前の人の姿よりも二回りほどは大きくなっただろうか。その大きさはちょっとした巨人のようにも見え格段に筋肉組織が膨れ上がってもいる。
そして極めつけはその顔立ちだ。人の顔だった場所には犬科の動物を彷彿とさせる口があった。目よりも飛び出た鼻と口はその顎で獲物を捕らえるためのものであろう牙や獣特有の眼光はもうとても人であったものとは思えない………。
というよりもこの姿こそが本来のオサムロウの真実の姿なのだと先程の話で聞いた。何やら隠し事をしている素振りはあったがそれはこの獣の姿が関係していたからだろう。これは………早々人に話せることではないな………。
このような化け………、
カオス「!」
………化け物………?
プロトゾーン「………この姿を見たものはソナタのように畏怖の表情を浮かべ我から去っていく。
我はそれが悲しくこの姿を封印した。
長らく自然界に生きた我は人の世に触れてから自然界にはない人のありふれた物語を知り我は人が好きになった。
そして人を守ろうとも思った。
だが我が一度この姿を見せれば我は人の社会にはいられなくなる。
我のこの姿はデリス=カーラーンに生きる全ての生物達とは違う進化を遂げた新種の種族だ。
人の姿にもなれるがそれは他者にとっては虚実と見せているのと道義………。
我には百年前のヴェノム大量発生時から既にヴェノムを駆逐する力はあった。
しかしその力を人前で使えば我の力の源はどこから来るものなのか、それを追求されるのが嫌だった………。
そんな思いをしていた時いよいよ世界がバルツィエとヴェノムの二強合戦にもつれ込み我が恩義を感じていたスラートの者達も滅びに抗えず静かに消え去ろうとしていた場に、
ソナタ等が現れた!」
オサムロウがシックスヘッドカイメラの首をその爪で切り裂いた。
シックスヘッドカイメラ「ゴアアアアアッッ!!」
カオス「………!?
傷が再生しない……!?」
プロトゾーン「申した筈だ。
我はヴェノムを屠る力があると。
我はプロトゾーンの最後の進化の果て
ここからは我がこの禍々しき力を放つ悪魔を成敗する。
………ソナタも
そんなものは外してその腕を治すのだ。
それくらいのことは出来ることも聞いているぞ。」
カオス「…!」
………そういやそうだったな………。
もうこんなものは必要なかった………。
もう魔術をコントロールする術は身に付けていたのにまだこれを装着したままだった………。
プロトゾーン………ディセンダーか………。
俺以外にも人から化け物呼ばわりされる人がいたなんて………、
………人ではないのか………?どうなんだ………?
………どっちでもいいのか………。
人としてコミニュケーションがとれればそれで人は人なんだ。
俺も自分は人だって思ってる。ならオサムロウさんだって人だ。種族が多少違ったり変な精霊が体の中に入り込んでいたって人であることに変わりはない。
………さて、
あれだけ言いたいことを言われ続ければ俺も少し腹が立ってきた………。
………俺は何を弱気になっていたんだ。
まだアローネやウインドラ達は死んだ訳じゃない。
死んではいないが皆がこのカイメラに対して絶望的な戦闘力の差の開きが大きいことは確かだ。
………だったら、
ここから先は俺が皆を守りきればいいだけの話なんだ。
俺の使える術はどれもこのカイメラにほ通用しそうにないがそれが何だって言うんだ?
………そんな絶望的な状況は………、
昔からよく体感してきた。
圧倒的強者による弱者の蹂躙、
そんなものは俺の人生の中でよくあってきたことじゃないか。
俺はいつから確実に勝てる安全な相手を想定して戦うようになっていたんだ………?
勝つかどうかなんてそのときその時になってみないと分からないじゃないか。
今の俺に必要なものは………、
強者に立ち向かう勇気を振り絞るだけだ!!