テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブロウン族の集落トロークン 翌朝 残り期日九十八日
カオス「皆準備は出来た?」
アローネ「私はもう既に終わっていますよ。」
タレス「ボクもいつでも出発出来ます。」
ミシガン「私の方も大丈夫だよ。」
ウインドラ「俺も問題ない。
出発するならすぐにでも行けるぞ。」
カイメラ討伐を終えてカオス達五人はこれからトロークン出てをフリンク族の地方目指して出発しようとしていた。
今日が始まり精霊が課した期日まで残り九十八日。後三ヶ月と少しの先がどうなっているかは誰にも分からない。世界が………人類が存続するかは彼等の肩にかかっている。ヴェノムの主を倒したのならすぐにでもまた次の主の元へと旅立たねばならない。彼等にはもう立ち止まって休む時間すら無いのだ。
カオス「よし、それなら即出発しよ「メェェェェッ」…!」
マウンテンホーンズ「メェェェェッ………。」
アローネ「………カイメラ………?」
ウインドラ「こいつは………まだ付いてきていたのか?
昨日ハンター達と話していた時にもいたが………。」
ミシガン「もうこの子はウイルスの心配もないから放っておいても大丈夫だとは思うけど………。」
タレス「……もしかしたらボク達に負けたことを根に持って仕返しに来たんじゃないですか?
あれだけの強さを持ったヴェノムの鎧を剥がされたことが悔しくて自分がもうあの姿になれないことを理解してなくてそれでボク達の隙をうかがっているとか………。」
皆が元カイメラであったマウンテンホーンズを(この場合は元マウンテンホーンズがカイメラになったのが正しい)いぶかしむ様子で見る。何故このマウンテンホーンズはウィンドブリズからカオス達の後を付けてくるのか。タレスの言うように復讐でも考えているのだろうか。
カオス「何で付いてくるんだろ?
もうウイルスは無くなったのにそれでも俺達に付いてくる理由は無いはずだけど………。」
アローネ「カイメラの言葉が分かればよいのでしょうけど流石に人でない生物の言葉を訳すことは………。」
意志疎通が出来る相手なら何を目的に自分達を追跡してくるのかを聞き出すことも出来ただろう。人であったとしても相手が素直に話してくれるかは定かではないが………。
理性ある者は皆少なからず他者に嘘を付く。嘘とは真実を覆い隠し相手に真実から遠い事象を伝えることである。嘘を付くのは人類のみとされある意味エルフは世界で唯一他者を騙す生物ともとれる。
つまりもしこのマウンテンホーンズと思考を共有出来れば何故追跡するのかを聞き出すことが出来るが………、
ミシガン「……そもそもこの子カイメラ………になるまでに完全にヴェノム化してたよね。
あんな姿になってた間はこの子の意識ってどうなってたの?」
タレス「?
普通にヴェノムに意識を乗っ取られてたんじゃないですか?」
ミシガン「でもそれだとこの子オサムロウさんの話じゃ一度何か別のモンスターに食べられちゃって死んじゃった訳じゃない?
それで色んなモンスターを取り込んでいってカイメラになって………。
それでなくても食べられた時点でこの子の意識ってどうなってたんだろ?」
何気ない話題のつもりで疑問を口にしたミシガンだったがその話を他のメンバーは重く受け止めた。
ウインドラ「……そう言われるとこいつの意識は今本当に元のマウンテンホーンズの意識に戻っているのか判断しかねるな………。
この姿の通りのマウンテンホーンズの意識なのかそれともヴェノムとして生まれ変わったあのカイメラの意識なのか………。
もしくは姿はマウンテンホーンズのままで他のビックフロスターやジャバウォックの精神が宿っていることもあり得る。」
アローネ「もしレッドドラゴンやマンティコアの精神が宿っているとしたらもっと気性の荒い性格になるのではないでしょうか?
少なくとも今このカイメラはどちらかと言えば大人しい草食動物のような感じですけど………。」
マウンテンホーンズ「メェ?」
タレス「…今は害は無さそうですがこの先こんな煩い動物に付きまとわれたら迷惑ですよ。
いつまたカイメラクラスの凶悪な生物に見付かりでもしたらこのカイメラが邪魔になる恐れがあります。
……ずっと付いてくるようならどこかで追い払わないといけませんね。」
四人ともカイメラに散々手こずってきたためにカイメラに対して警戒心を解くことが出来ないようだ。そのことについては仕方ないことなのだろう。この温厚そうな山羊相手に一ヶ月も足留めを食らったのだから。
カオス「………今は放っておいてもいいんじゃないかな。
このカイメラも元のマウンテンホーンズ?に戻って混乱してるだろうしひょっとしたらただエサになりそうな場所を探してるだけかもしれないし。」
ウインドラ「エサ?」
カオス「今北のウィンドブリズからこの地方まで草木も全然生えてないくらい環境が悪いだろ?
俺達なら保存食とか持ち歩けるけど自然界の生物はそういうの持ち歩けないじゃないか。
カイメラも北にエサになる草が生えてないからこうして南の方に向かってるんじゃないか?
それでたまたま俺達と向かっている方向が同じなだけだと思うよ。」
見る限りカイメラはカオス達に危害を加える様子はない。カオス達になんとなくではあるが興味は持っているようではあるが必要以上に近付いてはこない。
アローネ「カオスがそう仰るのであればカイメラに関しては放置していてもよさそうですね。」
ウインドラ「……今のこいつに俺達をどうこうしようと考えていても何も出来ないだろうしな。」
ミシガン「何を考えてるのかは気になるけどね。」
タレス「何かあった時はその時に対処しましょうか。
どうせ………、
ヴェノムが何を考えているかなんてボク達に
元がヴェノムに侵食され体の構造の何から何までもが変えられてしまった生物カイメラ。ヴェノムによって凶暴化した生物は例外無く危険生物とこの世界では認識されている。その理由は感染した個体は問答無用に他の生物に襲い掛かり仲間を増やすからだ。一度感染してしまったらもう彼等に理性は存在しない。それまでの記憶は無くなり他の生物に食らい付く。主であってもそれは体の形が崩れないだけで本質的な行動は他のヴェノムに感染した生物同様にゾンビのようなものだと誰もが思っていた………。
………フェニックスに出会うまでは………。