テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしている。

 カストルについた一行は酒場のギルドでクエストに挑戦しようとするが名物のクエストダッシュにあい、あえなく断念。

 他の冒険者の持っていたギルドカードを作りこの日は帰るだけとなる予定だったが…。


ヴェノムクエスト

安らぎの街カストル 酒場

 

 

 

「受付は済みましたか?」

 

「うん、何とか終わったよ。」

 

「お待たせしてスミマセン、タレス。」

 

「いえこのくらい別に。」

 

「ほらこれが僕達のギルドカード。」

 

「私のはこれです。」

 

「………サタンとアルキメデス?

 ハンドルネームで登録したんですね。」

 

「どうもアローネのお義兄さんとお姉さんの名前らしいよ。」

 

「タレスのものを見ましたら私達もハンドルネームと言うものを名乗ってみたくなりまして。」

 

「それでご兄姉のお名前を選んだんですね。」

 

「……」

 

「それでどうします?

 今日のところはクエストもないようですし……」

 

「そうだなぁ……。」

 

「では先程の商店街へ。」

 

 

 

「おや、どうしたんだいアンタ達?」

 

「あ、さっきの受付の…」

 

「今日はもう依頼はないよ。

 明日また来ておくれよ。」

 

「はい、それでは……」

 

【カオスさん、目的の一つを忘れていますよ。】

 

「あ、っと忘れてた。

 受付さんちょっと聞きたいことあるんですけど?」

 

「何だい?

 急にそっちの毒舌坊やは手帳に文字を書き出して。

 それで何を聞きたいんだい?」

 

「殺生石………封魔石についてなんですけど。」

 

「封魔石?

 街の真ん中にある王国から運ばれてきた柱のことかい?」

 

「誰か詳しい人を知りませんか?」

 

「詳しい人ぉ………

 何でそんなこと知りたがるのか気になるけど騎士団には聞いてみたのかい?」

 

「それは…」

 

「私達の住んでいた村に先日封魔石が持ち込まれたのです。

 封魔石は初めてなものでどういったものか知りたくなって調べようと騎士の方に聞いてみたのですが専門用語が多くて概要がつかめなかったのでこうして知っていそうな人に聞き回っているだけですよ。

 特に重要ということではなく只の興味本意ですよ。」

 

「あぁ、そういうことかい。

 それならそう言ってくれよ。

 と言ってもあたしらも細かいことは知らないよ。

 あれの近くにいるととヴェノムに狙われなくなるってくらいなもんだしねぇ。」

 

「そうですか…。」

 

「悪いねぇ、力になれなくて。」

 

「いいんですよ。

 焦っているようなことでもないですからね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「率直すぎますよカオスさん。

 アローネさんのフォローでなんとか空気は悪くならずに済みましたが。

 封魔石は時折外壁の小さなものが盗難にあったりするので不審な人を見かけたら即通報されたりするんですよ。」

 

「私もああいった空気を読むのは得意なのでなんとかごまかせました。」

 

「よくアローネさんあの一瞬で判断できましたね。」

 

「国の上層部の内情に関しては少々聞き知っているのですよ。

 ですから騎士団が扱っているものはあまり一般の方々に情報を公開してはならないことも。

 恐らく封魔石も世間では一般市民が深入りしてはならないことですよね。」

 

「その通りです。

 下手して封魔石が機能不全に陥ったら街が滅びますからね。

 素人には触らせてはならない、どの街でもそう通っています。」

 

「ゴメン…。

 そんなこととは知らずに。」

 

「大丈夫ですよカオス。

 もうすんだことですし。」

 

 

 

ピラッ

 

 

 

「ん?」

 

「あぁ、すまないねぇ。

 その紙返してくれるかい?」

 

「……はい。」

 

「ありがとさん。」

 

「………」

 

 

 

「カオス?」

 

「どうしたんですか?

 街を見るだけ見て回るのでは?」

 

 

 

「………受付さん。

 今の紙ってクエストですよね?」

 

「あ?あぁこれかい?」

 

「今日のクエストはもう終わったんじゃなかったんですか?」

 

「これは一般の人達の依頼じゃなくてうちが出すギルド直々の依頼だよ。」

 

「ギルド直々?」

 

「ここらへんモンスターが多いだろ?

 だからつい最近ヴェノムが出ちまったのさ。

 対応が早かったからなんとかその時いた騎士さんの連中に頼んで東の方にある洞窟まで追い込んだはいいんだけどそこで騎士さんの薬が切れちまったようでね。

 その時から洞窟の中にヴェノムが大量発生しちまってるよ。

 幸い騎士さん達のおかげで簡易版封魔石を洞窟の外に置いてるから今のところ出てくることはないんだろうけど、穴でも掘られて出てこられたら不味いから一応依頼書だけ作って置いてあるのさ。」

 

「薬があるのなら直ぐには騎士団は動けないんですか?」

 

「薬も多くある訳じゃないらしくてね。

 一度切らしたら次を発注して五日はかかるようだよ。」

 

「そんなに掛かるんですか?」

 

「薬は王都から取り寄せてるからそんな直ぐには補充できないんだよ。

 封魔石があるこの街に直接被害はないだろうが、モンスターの生息圏で利益を得ているこの街からしたらヴェノムで街の周囲を荒らされちゃ興行収入に関わるからね。

 アタシらギルドが解決するしかないんだよ。」

 

「その依頼書はあっちの掲示板には?」

 

「あれはギルドが仲介している依頼用だよ。

 でこっちは掲示板じゃなくて騎士団に提出するもんさ。

 ヴェノムの案件だからあっちに張っても誰もクリア出来ないだろうしね。」

 

「誰もクリア出来ない……」

 

「騎士団の薬が届くのを気長に「受付さん!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのクエストやらせていただけませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それでそのクエストを受けたと?」

 

「ダンジョンに巣食うヴェノム討伐ですか…

 お二人向きではありますがよく受けられましたね。」

 

「受けられた訳じゃないよ。

 受付さんもヴェノム退治なんて一般冒険者には危険だから任せられないって言ってたし。

 ヴェノムを退治出来るなんて言っても信じてくれないだろ。」

 

「?ではどうするんですか?」

 

「実績を出せばいいんじゃないかな。

 五日後に騎士団に例のワクチンってのが届くらしい。

 ならそれまでに僕達で倒しきってしまえば…。」

 

「依頼完了と?」

 

「そういうこと。」

 

「ですが退治するだけ退治して信じてもらえなければ無駄骨ですよ?」

 

「そのダンジョン、ヴェノムが大量発生する前までは普通のダンジョンだったんだけど奥の方にそのダンジョンだけでしか取れない鉱石があるんだ。

 それを大量に持って帰って見せればいいよ。」

 

「……それなら格段に退治したと言う信憑性が上がりますね。

 例え信じて貰えなくてもその鉱石を売ってお金に変えられれば……。」

 

「どっちにしてもお金は手に入りそうじゃない?

 どうせお金を稼がなきゃいけないんなら明日まで待って取れるか分からないクエストに期待するよりも今日行動して明日にはお金が手に入るようにするのが建設的だと思うんだ。」

 

「そうですねカオスの言う通りです。」

 

「ボクは構いませんがその鉱石が素人のボク達に見付けられるかどうか…。」

 

「別に見付からなくてもヴェノム退治が出来たら街の人達のためにもなるしね。」

 

「カオスは本当はそれが一番の目的なのではないですか?」

 

「カオスさんならそう言っても不思議はありませんね。」

 

「今回の件はヴェノム退治と鉱石二つ目的が重なってるし受付さんの言う通りそのヴェノムが出てきて感染が広まれば皆困るだろうからヴェノムと戦える僕達にはうってつけなんじゃないか。」

 

「昨日来たばかりですけどお金がなければ何も出来ませんものね。

 そうと決まれば向かいましょう。」

 

「さっきアイテムも補充しましたから準備は万端です。

 いつでも行けますよ。」

 

「善は急げだ!

 ならこのまま行こう!」

 

「では地図とダンジョン用の道具を貰ってきますね。」

 

「なら私はお昼用に持ち運べるバスケットでも買ってきます。」

 

「頼むよ。

 僕はその鉱石のこととどう掘り出せばいいか聞いてくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クエストも受けずにどこに行こうってんだ?」

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