テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
フリンク族の都市フリューゲル 族長邸宅前 残り期日八十八日
フラット「……して本日はいかが致しましょうか?
フェニックスもいないと告知致しましたし今日のところは皆様の装備品を手入れできる工房を紹介しましょうか?
それか我々フリンクが皆様の計画に参列しますので我々が来る日に向けて編成中の軍の様子でもご案内しましょうか?
……それか皆様が次に向かわれる地アインワルドの情報の方がよろしいですかね?
私共も人数には大分余裕がありますのでなんなら皆様をアインワルドの地まで最短ルートで辿り着ける近道を私の部下にでも案内させますが?」
タレス「そこまでしてもらえるんですか?」
アローネ「次の地までの近道を教えていただけるのは助かりますが………。」
ここに来てフェニックスがいないことが発覚してからフラットからは至れり尽くせりな提案ばかりを提唱される。カオス達にとってはこのフリンク領に来てから特にフリンク族のために何かをしたという訳ではないのにここまで尽くされるとどうにもそれを素直に受け取りづらいのだが………、
ウインドラ「…前二つはいい案ではあると思うが三つ目の案はまだ少し待ってくれないか。
俺達は昨日ここに来たばかりなんだ。
そんな直ぐに出発出来るほど俺達の疲労は回復しきっていないんだ。」
フラット「…ですがお急ぎになられなくてもよろしいので?
こうしている間にもアインワルド領では食人植物アンセスターセンチュリオンがアインワルドの者達に猛威を振るっていることでしょうし何よりミーアの遣いの者や昨日貴殿方が仰っていたバルツィエがどこかで暴れているやも知れぬのですよ?
……今は何事も起こってはおらぬようですが近い内にマテオが本腰を上げて攻めいってくる可能性も………。」
ウインドラ「その心配は杞憂だと思うぞ。
バルツィエの先見隊が始めに姿を現したのは二ヶ月くらいも前の話だ。
それでいて奴等が迂闊にもマテオが侵攻して来ないのはここにいる俺達の存在が影響して議会で揉めているらしい。
俺達を倒したという証拠でも持ち帰らない限りマテオは国を上げてこのダレイオスに攻めてはこれない。
それでなくとも奴等は
バルツィエは極秘利にこのダレイオスへと少数で足を運んでいる。
奴等も事を慎重に当たらないといけない筈だ。
俺達が生きてさえいればマテオが本腰を上げることは無いだろう。」
フラット「しかしアインワルドは今………。」
ウインドラ「どんな奴にも休暇は必要なんだ。
ずっと動き続ければそのうち体が限界を訴えてくる。
俺達はつい先日ヴェノムの主でも最強と思わしきカイメラを討伐したばかりだ。
そしてそのままこの街に来た。
………俺達が無事なら戦争はまだ起こらない。
アンセスターセンチュリオンも必ず俺達で何とかする。
…だから少しこの街で休ませてはもらえないだろうか?」
フラット「……それは構いませんが………。」
カオス「……?」
何やら話し方からしてフラットは早くカオス達にこの街を去ってほしそうな口振りである。先程の三つの選択肢は一見親切にカオス達のことを思って提案してきたものだとは思うがフラットが選んで欲しかったのはどうやら三つ目のアインワルド領へと急ぎ向かうことだったようだ。
何故そこまでカオス達の旅を急がせようとするのか………。
ウインドラ「時にフラット殿。」
フラット「……何でございましょうか?」
ウインドラ「昨日貴方から聞いたフェニックスはグリフォン立ったという話………。
間違いでは無いのだな?」
フラット「?
……えぇ、その通りで御座いますが………。」
ウインドラ「俺達はオサムロウ………サムライからフェニックスのことは聞いていた。
不死鳥の名の通り不死身の中の不死鳥と………。
考えてみれば納得する話だ。
ヴェノムの主自体が不死身の存在だと言うくらいだからな。
そう考えればどのヴェノムの主が不死身の中の不死身と称されるのも分かる話だ。
フェニックスをグリフォンと見間違える話も理解出来なくはない………。
………しかし俺達は既にグリフォンを倒した。
既に俺達はグリフォンと遭遇しているんだ………。
………それなら、
………フリンク族のヴェノムの主による
フラット「…!」
ウインドラ「グリフォンを目にして分かった。
グリフォンは空を飛行する捕食者だ。
一度あれに狙われればどこまでも追跡してくるだろう。
ここにいるカオスはそんなグリフォンを倒したみたいなんだがその過程でグリフォンは必用にカオスを追跡してきたらしい。
それも振り切るのが困難だったようだ………。
フェニックスがグリフォンだったのだとしてフリンク族はそんな奴を相手にどうやって犠牲者を一人に押さえ込んで今こうして何事もなかったかのように過ごしてこれたんだ?」
フラット「それは……!?
ふっ、古い情報でして実際には数多く被害にあわれて……!」
ウインドラ「…にしてはこの街のヴェノム対策は杜撰な気がするぞ?
ミーア族やスラート族はヴェノムに遭遇しないように地下空間やどこかの空洞に身を潜めていたりクリティア族はヴェノムが寄ってこないようマテオにあるような封魔石のようなマナを感知されにくい施しをしていた。
昨日からこの街を見ていて思ったがここはそういったヴェノム対策が
あるのは気休め程度の外の見張りくらいなものだ。
一度ヴェノムに襲われた経験をしているのならそういった何かしらの手を打たねばアイネフーレやカルト、ブロウンに続いてフリンク族も滅びてしまうぞ。
…なのにここのフリンク族はヴェノムなど始めから恐れてなどいない、ヴェノムなどこの街には絶対に来ないといったように感じるほどに対策が甘いような気がする。」
フラット「くっ…!?」
ウインドラ「………教えてくれないかフラット殿………、
何故この街はヴェノムに襲われないんだ?」
カオス・アローネ・タレス・ミシガン「………」
ウインドラの疑念は話し出してからわざわざ蒸し返すようなことでもないだろうとは思った四人だったが聞いていく内にウインドラの疑念が正統性に基づいた指摘すべき事項だと気付く。
フラットの話ではこの街の住人達はモンスターやヴェノム達から襲撃にあった際の防衛策として一ヶ所に部族を集結させたと言っていた。だがその行いは逆にヴェノムに万が一発見されて襲われでもしたら一網打尽にされてしまうのではないか?クリティア族の村なんかではそうならないためにも村の回りにマナや魔術を感知されないような術式を施工していた。人が多くなればその分ヴェノムは誰かしらのマナを感じ取り攻めてくるだろう。そして人が増えた分だけヴェノムが人を襲うチャンスは増えてくる。グリフォンなんかに襲われることがあったと言うのであれば尚更危険予知を込めて他の部族達以上にヴェノム対策は怠らない筈だ。
なのにウインドラの話ではこの街はそういった対策が一切無いのだと言う。過去カオスとミシガンとウインドラが住んでいたミストでは殺生石の力に守られてヴェノムは襲撃しては来なかったがそれでも殺生石の力が無くなったと思われる時期から時間をかけてヴェノムは襲撃してきた。その時に多大な犠牲者が出てしまったのはミストの村の住人達が元いた旧ミストに移り住んだタイミングで世界にヴェノムの大発生が起こってしまったのでミストの住人達はヴェノムに対する対策など想定しようもなかったのだ。
だがこの街は違う。この街の住人達はヴェノムという存在を知っている。知っていてなお何故かヴェノムの襲撃への備えをしていない。過去どれだけの犠牲を払ったのかは知らないがそれでも犠牲者は出ていると発言した。それなら何故この街には今もこうして、
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ………
外を闊歩している住人達はヴェノムを全く恐れず生活出来ているのだ?
ウインドラ「…どうなんだフラット殿?
昨日から何か俺達に隠していることがあるんじゃないのか?」
フラット「えっ……あっ……そんなことは………。」
狼狽えるフラット。その様子からこれはもう隠し事をしているのは明白だ。
フラット「………………………………………………………、
………はぁ………やはり皆さんの話を聞いてから瞬時に思い付いた出任せではバレバレでしたよね………。」
素直に白状するフラット。嘘を付いたことを認めたようだ。
ウインドラ「一体この街には何があるんだ?
何故この地方だけ他の地方のようにヴェノムがいないんだ?」
フラット「ヴェノムならおりますよ………。」
アローネ「ヴェノムがこの地方にもいるのですか?
しかし私達はここまで一度たりとも遭遇してはいませんが………。」
フラット「いえ、
いるにはいるのですがそれが少々複雑なヴェノムでして………。
この地方のヴェノムの主フェニックスが他の生物を襲わない特殊な個体なのですよ。」