テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 麓 夜 残り期日八十七日
ウインドラ「カオス、
今日はもう日が落ちた………。
フェニックスがいる辺りには明日向かうとしよう。」
カオス「そうだね。
今日はここらでキャンプにしようか。」
ミシガン「そうしよっか。
流石にこんな時間に山でドンパチ始めたら魔術の光で明るくなってフリューゲルの街の人達も大騒ぎになるかもしれないからね。」
カオス達五人はフェニックス討伐のためにフリンク族の族長ナトルから指示されたフェニックスがいるとされるリスベルン山の麓まで来ていた。決戦は明日以降に延びる。
タレス「……今思えばウインドラさんが訊いたと言っていたバルツィエの先見隊のことは聞けずじまいでしたね。」
アローネ「そうですね………。
それとカオスが仰有っていたここに来る途中で見かけたという女の子のことも………。」
カオス「あっ………そういえばそうだったな………。
フェニックスの話ですっかり忘れていたよ。」
ウインドラ「女の子………?
何の話だ?」
カオス「俺達がフリューゲルに来た初日の夜に俺一人で街の周りをグルッと回ってみたんだよ。
そしたら街の西側の外の方で夜に女の子がいて泣いてる女の子がいたんだ。」
タレス「泣いてる女の子が………?」
ウインドラ「その後はどうなったんだ?」
カオス「さぁ………分からない。
一緒にいた時間はほんのちょっとでお互いにすごい側まで近寄ってたことに気付けなかったみたいだしその後この山の上の方で火みたいなのが上がってそっちに目がいってから振り替えると女の子がいなくなってたんだ。」
タレス「いなくなってた?」
ウインドラ「走り去っていったということか?」
カオス「さぁそれすらも………。
走り去ったって言うんなら後ろ姿くらいは見ていると思うんだけどそれも出来なかったくらい一瞬で女の子がいなくなっちゃったんだよ……。」
ウインドラ「一応聞いておくが夢だったとかではないんだよな?」
カオス「あの日は特に何もすることも無かったしその後は普通に宿に戻ったから覚えてるよ。
………あれは夢なんかじゃなかったと思う………。」
ウインドラ「……そうか………。
ではその女の子とやらは恐らくフリンク族の娘だったんだろう。
一通り調べてみたがフリンク族はどうやら全部族の中でも相手のマナを感知する能力とフットワークに優れた部族らしい。
身軽で軽快な動きを可能とし足の早いモンスターからも容易に逃げ仰せられるそうだ。
その女の子とやらも間近にカオスが迫っていたことに驚いてカオスの内包するマナに驚いて逃げてしまったんだろうな。」
タレス「あの街のフリンクの人達は皆してボク達に対してよそよそしいと言うか少し腰が引けていた様子でしたからね。
その女の子もきっとそうだったんでしょう。」
カオス「本当にそうだったのかなぁ………。」
ウインドラ「まだ気になることがあるのか?」
カオス「……その子に気付く前に一瞬だけウィンドブリズでダインから感じたようなバルツィエの気配を感じたような気がしたんだよ………。
あいつら………っていうか俺もなんどけど飛葉翻歩使う時って足の裏にマナを集中させるようなそんな感覚があるんだけどその時俺以外の誰かが俺の近くでそれを使ったような気がして………。」
ウインドラ「……要するにお前はその女がバルツィエの先見隊かと疑っているのか?」
カオス「いやそれも違うと思う………。
その女の子の服装はあの街のフリンク族の人達と同じだったしそんなバルツィエのような凶悪そうなイメージもなかった。
ウインドラの言う通りあの女の子はフリンク族の子だと思うよ。」
ウインドラ「では何が気掛かりなのだ?」
カオス「……なんかその子普通じゃないって言うか………。
昔の俺みたいな扱いを受けているような子なんじゃないかなぁ………って………。」
ウインドラ「……差別か………。」
アローネ「……あの街では同じフリンク族でもそういった傾向にありましたからね。
その可能性は捨てきれません。」
ミシガン「あの街の雰囲気を見たらそういうのありそうだったよね………。」
タレス「フリンク族は数が多い分そういう
他の部族のようにそんな余裕があるならヴェノムやバルツィエの問題に取り組めればいいんですけどあそこはフェニックスがいるせいでそんな心配事も無いんでしょう。」
ウインドラ「平和な環境があったらあったでその環境から発生するトラブルもあるということだな。
差別は主に虐げられたり他の者に対して劣等感が募って起こるとは聞くがフリンク族は最弱を族長自らが自称していたくらいだしそういった問題が沢山ありそうだな。
………もし………、
………あの街にカーラーン教会で話したようなハーフエルフなどが生まれでもしたらどうなるんだろうか………。」
カオス「………」
タレス「このダレイオスの混血児に対する偏見は根強いですよ。
生まれながらにして接点がなかったとしてももう一方の血の部族のスパイの嫌疑をかけられたハーフエルフがいたという話を聞いたことがあります。
疑われた本人からしてみれば全く身に覚えのない容疑がかけられてしまい弁護してくれる人もいなかったようでそのハーフエルフは最終的には殺されてしまったらしいです。」
ミシガン「それっていつ頃の話のことなの?」
タレス「ボクが………まだマテオに連れ去られる前の話のことでダレイオスが大国として統一されていた時期の話みたいですよ。」
アローネ「それでは別に同国国民の間に生まれた子供ということになりませんか?
それなのにそのハーフエルフの方は殺されてしまったのですか?」
タレス「同国国民と言ってもファルバンさんやオーレッドさん達のように会話はするけど仲がいい訳ではないですよ。
マテオとバルツィエという共通の敵がいるおかげで共闘しているだけで仮にマテオやバルツィエがいなかったら国は一つにはなってなかったんですから………。」
カオス「……嫌な話だな………。
敵がいるから手を組んでそうでなかったら敵同士なんて………。」
アローネ「全くですね………。
そういった人を区別する世の中があるから差別が生まれハーフエルフという生まれだけで生きにくくなる世界は変えなくてはなりません。」
ウインドラ「人口が多いということは仲間が多いということになる。仲間が多くなればなるほど生物は気が強くなる。単純に力が強い者はそれだけで気が強い輩もいるが自らの味方が多い者達もそれに引けをとらない強さにまで気が高まる。そういった者達は大抵一人では大した力を持たぬ者達だが群れをなせば一人では出来ないことも出来るようになってくる。例えば強者に打ち勝つとか……。
それを成し遂げていっていつしか弱者であった自分達を強者と勘違いし出すようになるんだ。
一度弱者と自らを認識したことのある者は自分が強者になったと思い込むと弱者であった時に強者から受けた理不尽なことを自分達よりも更なる弱者にやりたくなる………。
………世の中の差別を完全に無くすには一度世界をリセットするしか方法は無いだろうな………。」