テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 中腹 残り期日八十六日
戦闘は思いの外苦戦を強いられていた。
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!!!
アローネ「『疾風………』また……!!」ボオオオッ!!
タレス「『地に伏す……』よっと!」ボオオオッ!!
ミシガン「『溟たる…!』もう!!」ボオオオッ!!
ウインドラ「『天光満つる……』クソッ!」ボオオオッ!!
このようにフェニックスは魔術の詠唱を始めるとそれに反応して炎を吐きかけてくる。それによって詠唱が止まり術は無駄にマナだけを消費して終わる。フェニックスがこうも詠唱を妨害してくるということはそれがフェニックスにとって危険だと察したからだろう。だからカオス以外の四人が魔術を使おうとするとそれを邪魔してくる。
そのフェニックスの行動から魔術が
その二つの過程を突破するのがかなり難しい。先ず魔術を発動すらさせてもらえないのだから………、
ウインドラ「くっ…!
魔術すら発動させてもらえないとは……!?
こうなったら全員で同時に魔技をぶつけて少しずつ弱らせるぞ!!」
詠唱込みの魔術が発動できないのでは魔術で迎撃する作戦は無意味だ。状況を見てウインドラが作戦の偏向を皆に伝える。ここからは威力が格段に下がるが速効に長けた魔技で応戦することになる。
アローネ「『ウインドランスッ!!』」ミシガン「『スプラッシュ!!』」ウインドラ「『バニッシュボルト!!』」
三人の魔技が同時に発動した。タレスの魔技グレイブは空を舞うフェニックスには届かないためタレスは一旦後方へと下がる。一人欠けた同時攻撃だが発動速度はフェニックスの妨害よりも早く無事魔技は発動できた。
ファアアアア……!!バチッ……!
しかしフェニックスを捕らえたのはウインドラのバニッシュボルトだけであった。他二人の魔技は発動こそしたもののフェニックスの高速移動によって回避されてしまう。
アローネ「……!!
これも当たらない……!!」
ミシガン「私達の攻撃じゃ全然フェニックスに追い付けないよ!!?」
詠唱込みの魔術を華麗に躱すフェニックスに対し今度は速度で優る魔技の連続攻撃をしかけるが当たるのは雷の魔技バニッシュボルトのみ。他二つの魔技はフェニックスが飛ぶ位置に届く頃にはフェニックスは遠くの空に逃げてしまう。
タレス「…このままこちらの攻撃が躱され続ければ一生フェニックスに勝つことなんてできませんよ。
何とかして奴の動きを止めなければ……。」
ウインドラ「一生か………、
………その一生とは俺達が奴に倒されることになれば存外早く来てしまうな………。」
攻撃を避けられ続けて焦りが出てくる。このまま戦闘が長引けば倒れるのはこちらの方だ。これまでのヴェノムはどれもノーガードで突っ込んでくる敵ばかりだった。だから最弱と言う噂を鵜呑みにしてろくに情報を揃えること無く戦闘を開始してしまったカオス達の落ち度によって今回のヴェノムの主戦は過去最難関の試練となっている。カイメラのように攻撃を受けて再生してしまう敵であったのならそこから攻略の糸口を掴むことはできた。カイメラはまだ無尽蔵とも思える体力を削りきることはできたのだ。
フェニックスに至っては攻撃自体が届かない。これではフェニックスを攻略どころの話ではない。一度こうして対峙してしまってはもう後には退けない。フェニックスの飛行速度はグリフォン以上。グリフォンの時ですらダインと二人でレアバードで飛びながらも巻くことはできなかった。そして今回はそのレアバードも無い上に数が五人もいる。もし逃げるとしても誰か一人は確実にフェニックスに追い付かれる。この戦闘では決して逃げ切ることはできない。どこかでこの流れを変える一手は………、
カオス「『氷雪よ!!我が手となりて………!!』」
アローネ「!カオス…!?」
フェニックス「スゥゥゥ………!!!
ゴオオオオオオオオオッッッッッ!!!」
カオス「(無駄だ!!俺にただの炎は効かない!!)」
他の四人が炎で妨害されようともカオスだけはその攻撃を受けたところで何の弊害もない。精霊王マクスウェルの加護がカオスをフェニックスの炎から守ってくれる。他の四人が魔術を使えないのならカオスが魔術を使うだけだ。
ゴオオオオオオオオオ!!!!
フェニックス「……!?」
炎を受けてもカオスの詠唱が中断されないことにフェニックスは動揺したような動きを見せる。やはりこのフェニックスは何かヴェノムらしからぬ動作をする。
それでも今はとにかくフェニックスに魔術を撃つことだけに集中しよう。
カオス「『敵を凍て尽くせ!!
アイシクル!!』」
パキイイィィィィィィィィンッ!!!!
極大の氷の塊がフェニックスに向けて放たれた。
フェニックス「バシュッ!!」
カオス「!やっぱ当たらないか………!!」
詠唱は中断されずに魔術は発動できたがそれでも氷の魔術ではフェニックスの回避行動で軽く避けられてしまう。
ウインドラ「…!
カオスそのまま連続で当たるまで畳み掛けろ!!
俺達が魔技でフェニックスの動きをコントロールする!!」
アローネ「魔術はカオスに任せます!!
私達はカオスの援護に回りましょう!!」
フェニックスに妨害されずに魔術を放てたのを見てウインドラとアローネが直ぐに次の作戦を立てた。今度は注意を引き付ける役ではなくメインで魔術を撃つ。カオスならフェニックスの攻撃で魔術を封じられることはない。それならカオスが魔術を使うべきだ。そういう作戦でいくこととなった。
が………、
カオス「『落雷よ!!我が手となりて敵を………、
………!?』」
シュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
またフェニックスの炎が赤から青……そして黒く染まりだした。まだ魔術は発動はしていないのだがカオスの魔力の桁違いな強さを警戒して先に防御の姿勢をとったのだろうか………?
………いや違った。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ…!!!!!
カオス「『撃ち………!?』」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!
カオス「うわっ……!?」
黒い毒撃の炎を纏ったフェニックスがそのままカオスに突っ込んできた。毒撃はカイメラ戦でカオスでも防げないことは熟知している。フェニックスは毒撃の突進攻撃で強引にカオスの詠唱を止めに来た。フェニックスは毒撃を守るだけでなく攻撃にも多用してきた。
それによりカオス達はこの戦いで魔技以外の全ての攻撃を完全にフェニックスの攻撃行動によって封じられた。
カオス「……っ、つっ、強すぎないか………!?」
フェニックスはカオス達の行動を見てからそれを確実に止めに来る。それも一度使った手を最善と思われる方法で。カオスが炎が効かないと見るや毒撃の突進で止めに来たのを見るとフェニックスは確かにこの戦闘中
ただ戦いの中で理知的に工夫して戦うこと。対人戦ではごく当然のことだが身体的に人よりも強いモンスターが相手となるとそれは更に高いレベルを追及される。“力”では敵わない、故に
そこにきてこのフェニックスは圧倒的な運動性能がありながらそれでいてカオス達に対しても様々な工夫を凝らして戦闘を行う………。強い力を持ちながらも相手の出方を窺い着実にこちらを追い詰めてくる戦法は………、
正に完全無欠の強者そのものであった。
純粋な強さだけじゃないその利口的に立ち回る様はカオス達五人を同時に相手取りながらも互角以上に攻め立てカオス達が付け入る隙を与えない。
………これで未だにカオス達の全員が