テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

505 / 972
ラーゲッツの娘

リスベルン山 中腹 残り期日八十六日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウインドラ「……まさかその子供と言うのが………!?」

 

 

フラット「えぇ、

 御察しの通りあの小娘()()()です。

 皆様にはフリンクで飼育していたホークと伝えましたがそれはあの小娘を皆様に心置き無く処分してもらうための方便です………。

 私達にはあの小娘を殺すだけの力が不足しているので。」

 

 

アローネ「相当彼女のことを毛嫌いしているようですね………。

 憎き敵の子供だから………。

 それでも名前があるのは………?」

 

 

フラット「…カーヤはロベリアが一人で育てると言い産んで名付けました。

 ロベリアは優しい女性でしたから例え望まぬ相手との間で妊娠した子供でもおろすことはしませんでした。

 この世に生まれ出た命なら始めはどんな血を受け継ごうとも罪は無いのだと私達に言い聞かせ本当に一人で育てるつもりのようだったみたいです。

 ………私もその言葉に感動しロベリアと一緒にカーヤを実の子と思って育てようと思いました………。

 ロベリアは私に汚されてしまった彼女のことを諦めさせる意味も込めてカーヤを産んだようでしたがそんな彼女のもどかしい優しさも含めて私はロベリアを愛していたのでそんなことは大した障害とは感じませんでした………。」

 

 

 フラットの話を聞く限りではあのカーヤという少女は最低最悪の出自のようだがそれでも母親のロベリアという女性とこのフラットの二人で育ててきたようだ。

 

 

 では何故今カーヤはフェニックスと呼ばれこのフラットからも殺すよう言われるようになってしまったのか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「………それからの日々を私はロベリアとあのカーヤとの三人でナトル族長の仕事を手伝いながらもどうにか充実した時間を過ごしてきました………。

 あのフリューゲルでは他の部族に比べて力で劣っていることもあってか劣等感や他人に対する負の感情が強い面もあってバルツィエの血を持つ娘を育てていた私とロベリアへの風当たりも相当なものでしたがロベリアがいてくれるのなら私はどんな皮肉や暴言の数々も外吹く風のように気にはなりませんでした。

 私達を罵倒嘲笑する声の中にはそんな子供捨ててこいだの殺してしまえだのという声もありましたが私はロベリアが産んだ子にそんなことはできない、この子は私の子だ、私が責任を持ってロベリアとカーヤの二人を大切に守ってこれからを生きていくんだとそんな奴等に言ってやりましたよ………。

 私はこの時まではずっとそんなふうに思って生活していた………。

 このままロベリアとカーヤの三人で生活してそのうちカーヤの弟か妹でもロベリアと一緒になって作ろうとかそんな幸せな未来のことを考えていました………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今更ながらその時の私はロベリアがいたからこそカーヤの面倒を見れていた。

 ロベリアの存在あってこそ私はカーヤの存在を赦すことができていた。

 私は………、

 

 

 

 

 ロベリアを失ってやっと自分が周りの連中と同じでカーヤを疎ましく思っていたことに気付かされたんですよ。

 やはり私はあの小娘のことを愛することなんて無理だったんだ………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「ロベリアを失って………?」

 

 

 フラットは話が進むごとにその感情を言葉に乗せて言い放つ。その感情はこれまでのどんな人々よりも他者に対する憎しみの念が込められており人はここまで誰かを憎むことができるものなのかと畏縮してしまうほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「六年前………、

 カーヤが十歳の時に悲劇は起こりました………。

 ダレイオスの東側のアイネフーレ領にバルツィエが攻め込んできたという情報が流れました。」

 

 

タレス「…!」

 

 

ミシガン「例の奇襲のことだよね………?

 それがこんな遠い場所にも関係あったの………?」

 

 

フラット「いえ、

 この時は特にマテオのバルツィエ側がこの領にまで来たという報せはありませんでした。

 ですが私達は過去ラーゲッツという災厄が来たこともあって警戒はしていたのです。

 私達フリンク族はそういったことに敏感でして………。

 私達はいつバルツィエが襲ってきても動けるようにこのリスベルン山のもう少し登った先に避難所を作っていました。

 私達フリンクは一旦安全が確認されるまでそこに向かうことにしたのですが………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこからが悪夢だったのです………。

 バルツィエを一番に警戒する余り私達はヴェノムの存在を見落としていました………。

 通常であれば例えヴェノムが現れたとしても私達が捕まるようなことはないのですが運悪く私とロベリアとカーヤの三人はヴェノムに囲まれてしまい私とロベリアは上手く隙を付いて逃げ出すことに成功はしましたがその時カーヤがヴェノムに触れてしまい感染を………。」

 

 

アローネ「あの子のウイルスはその時に………。」

 

 

ウインドラ「六年前からあの少女は感染していたんだな………。

 …しかしそうなると彼女は先程は()()を保っていたようにも思えるが………。」

 

 

フラット「えぇそうです。

 あの小娘は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 あの小娘はヴェノムに感染しても自意識をウイルスに一切侵食されません。

 あれはヴェノムウイルスを逆に支配したのですよ。」

 

 

カオス「ウイルスを支配だって………?

 人の力だけでそんなことが………?」

 

 

フラット「生物の個体はそれぞれヴェノムウイルスに対して個人差で抵抗があります。

 抵抗力の弱い者は簡単に意識を奪われますがあいつに関してはそれがヴェノムウイルスに勝っていた。

 だからウイルスを体に取り込みながらも意識の歪みが生じることなく今なお意識を保ち続けている………。

 ………だからそのせいで………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達はカーヤがウイルスに感染していないのだと思い違いをしてしまった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カーヤは………意識がヴェノムに飲み込まれない、体を変異させなかったからそれがイコール非感染………とはいかなかった………。

 ただの()()()()だったのですよ。

 彼女はちゃんとあの時ヴェノムウイルスに感染していた………。

 それによってあの小娘の一番近くにいた母親のロベリアは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛そうと懸命に努力した自分の娘によって感染してしまい亡くなってしまったのです………。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。