テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 中腹 残り期日八十六日
カオス「………もしかしてフェニックスのただ一人の犠牲者って言うのは………。」
フラット「ロベリアのことです。
彼女は生んだ我が子によってヴェノムに感染してしまい死亡した………。
自分の娘はヴェノムウイルスに対して
当たり前のことですよ。
彼女はただのフリンク族の族長の娘だっただけでヴェノムとはなんの縁もない女性だったのですから………。
それに比べて奴の……!
ラーゲッツの子種はなんと理不尽なことか…!!
ラーゲッツはあの日ロベリアを辱しめただけに飽きたらず奴の残していった種によってまたもやロベリアが悲運な末路を辿ることになってしまった!!
奴はその場にいずに時間差でロベリアを死に追いやったのですよ!!
例え奴の血を受け継いでいようとも必死に愛そうと頑張った彼女の努力は無惨にも非情な最期を遂げる結果となってしまった!!
私は後悔した!!
あの時!!
あの時彼女がラーゲッツの子供を妊娠したと分かった時に無理矢理にでも下ろさせておけば彼女はこんな惨めな最期を迎えることはなかったでしょう!!
彼女が死んでしまったのはラーゲッツとその娘が原因なのです!!
私とロベリアの父親ナトルは復讐を決意した!!
ラーゲッツには力では敵わない!会いに行ってもただ無謀に散るだけ!!ならせめて奴の何かに復讐できないかと思い探した結果私達は身近にいたカーヤに復讐の刃を向けることにした!!
私とナトルはカーヤを処断することに決めたのです!!」
ここまで感情を爆発させて喋るフラットは見たことが無かった。この話はこれまでのように虚偽は含まれていないのだろう。全てが真実のようだ。なんて惨い話か………。
しかしその決断は………、
カオス「でっ、でもカーヤが今も生きてるってことはそれは思い止まったんですよね………?
カーヤは今も生きてるし………。」
カーヤの出生はなんとも言えないほど闇にまみれている。このフラットの精神の病み具合から言ってもその先にカーヤが穏やかな日々を過ごせたとは思えない。フリューゲルの街ですら子供達の話を思い返してみればカーヤがとても平穏とは程遠い扱いを受けていることが分かるが流石に命を奪うまでは彼等も出来なか
フラット「殺そうとしましたよ………。
私とナトルは復讐の鬼に取りつかれていた。
私達を止める者は誰一人として名乗りあげてこなかった。
カーヤは当初から殺すべきだと言われていましたからね。
殺そうとする時になってやっとカーヤを殺す意見が総員満了一致しました………。
でもその時にはもう遅かったんです………。
カーヤは魔術で溺れさせようとも切り刻まれようとも焼こうとも生き埋めにしようとも凍えさせようとも雷で撃とうともその時には既にヴェノムウイルスによって死なない体になっていました………。
彼女は私達が手を下す時にはもう私達では殺せない不死の肉体を手に入れてしまっていた………。
……私達は復讐を決意するのが遅すぎたんです………。
カーヤはロベリアを殺すのと同時に殺せない存在へと変貌していた。
いくら攻撃を加えようともカーヤは即座にヴェノムウイルスの力で再生する上に次第に私達の魔術を吸収しだして遂には着ず一つ付けられない体になってしまっていた………。
私達はラーゲッツの娘にすらまともに刃が立たないちっぽけな弱小部族でしたからそれが当たり前のことだったんですね………。
ラーゲッツ一人に勝てなかった私達がバルツィエとヴェノムを併せ持つカーヤに勝てる見込みなどロベリアを失った時から失われていたことにそこで気付かされました………。
私達はそこで殺生での復讐は諦めました………。
………代わりに………、
カーヤの力を利用してこのフリンク領をヴェノムやバルツィエから守る役割を与えました。
このフリンク領がダレイオスで唯一ヴェノムに汚染されていないのはカーヤの黒い炎の力があるからです。
あの力は生命の何もかもを奪う力であれに触れればそこからマナが死んでいく………それはヴェノムも例外ではない。
ヴェノムの禍々しいマナですらあの力の前には忽ちマナが底を尽きてしまう。
なんとも凶悪な力ですよ本当に………。」
ウインドラ「その説明の仕方だとカーヤは貴方の………フリンク族の言うことは聞くと言うことなのか?」
フラット「そりゃそうですよ。
そうでなければ今頃私達はブルカーンの手に落ちている頃でしょう。
そうならないのは私が一時でもカーヤの父親を努めていたからです。
カーヤは
私がこのフリンク領を守れと言ったら素直に従いましたよ。
カーヤをこの場所に置いているのもブルカーンを近寄らせないため、
カーヤは六年前からずっとこの場所で私達を守る壁となっているのです。」
アローネ「ここで………?
あの少女が貴殿方フリンク族を守るためだけにこのような山の森の中でたった御一人で………。」
フラット「本当ならあんなウイルスに感染した小娘なんかこの領内から追い出したかったんですけどね。
ですがあの小娘は曲がりなりにも私達フリンク族の血も流れている。
そんな娘を他の地方に放てば我等フリンクが他の部族から批難の対象となりますから仕方なく私達はあの小娘を
エサは自分でそこらのモンスターでも狩らせておけば問題はありませんし。」
………惨い、惨すぎる。とても人に対する扱いではない。今まで聞いてきたどんな悪い話よりも残忍で惨たらしい話だ。彼女はヴェノムに感染していようとも人としての理性を保っている。そんな者に対してここまで非道になれるものなのか。いくら憎い相手の娘で事故によって最愛の人を失ったからと言ってもここまで人に対して悪意を向けられるのか………。
彼女はただこの世に生まれてきただけなのに………。
フラット「………さてと、
今のでお分かりいただけたと思いますが私とナトルが貴殿方に虚偽の情報をお伝えしたのはこのような他人に話して気持ちのいい話では無かったからです。
ここまでお話したのですから貴殿方にはなんとしてでも私達の敵を討ってもらいます。」
ミシガン「敵って………それは、だけど!」
フラット「拒否権はありませんよ?
私達が話すのを躊躇うようなことを強引に聞き出したのですから貴殿方にはそれをおこなう義務が発生するはずです。
ここでそれを放棄するのであれば力で全てを押し通そうとするバルツィエと同じです。」
ウインドラ「……!」
フラット「貴殿方にはこの先ブルカーンの地でイフリートなる謎の生け贄を欲する魔物を退治していただきたくはありますがその前に………、
このフリンク領にてヴェノムの主カーヤ、通称フェニックスと現在この近くで潜伏しているバルツィエの先見隊にして我が最愛の妻となる人だったロベリアの仇…!