テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
フリンク族の都市フリューゲル 残り期日八十四日
ウインドラ「あのラーゲッツをこうもあっさりと………。」
ミシガン「やっぱり強いんだねカーヤは………。」
タレス「…それよりもラーゲッツは………?」
フウウウウウウウンッ………
吹き飛ばされたラーゲッツの方を見ると炎の中からレアバードで飛び去っていくのが見える。街を襲うのは中断したようだ。
アローネ「あの炎を受けて勝てないと悟り去ったようですね。」
カオス「たった一度の炎でラーゲッツが………、
………同じバルツィエで親子でもこんなに力の差があるんだ………。」
ラーゲッツとカーヤは本人達は知らないらしいが父と娘の関係にある。その娘であるカーヤがラーゲッツを軽く一蹴しフリューゲルの街の危機を救った。これなら多少カーヤの評判が上がっても誰も文句は、
ナトル「カーヤ…!」
フェニックス「……!」
ナトル「降りてきなさい。」
フェニックス「………」
ボスッ……、
熱く燃える火が急激に勢いを落とし中からレアバードにぶら下がるカーヤが登場する。カーヤはナトルが命じたようにゆっくりと下降しやがて地面に到達しナトルの正面に立った。
そして、
ナトル「………………………………………………………、
この馬鹿者がぁっ!!」
バシンッ!!
カオス・アローネ・タレス・ミシガン・ウインドラ「「「「「!!?」」」」」
カーヤ「……ッ!!」
ナトルはあろうことかフリューゲルの危機を救ったカーヤを持っていた杖で殴り付けた。
ナトル「あれほどあの男をこの街の中に入れてはならんと言ってあっただろうが!!
見ろ!!
お前の怠慢のせいで奴が破壊した家々の数々を!!
これを直すのにどれだけの手間がかかると思っているんだ!?
少しは私達の苦労も考えろ!!
この役立たずが!!」
カーヤ「……ごめん………なさい………。」
「何でちゃんとラーゲッツを見張ってなかったんだよお前はよぉ!!」
「あいつをどうにかできるのお前しかいないんだぞ!!」
「誰がお前をここにいさせてやってると思ってるんだ!!」
「お前に仕方なく住む場所を与えてやってる俺達の良心が分からないのか!!」
「今すぐ追い出したっていいんだぞ!!?」
「しっかりしてよね!!」
「さっさとあんな奴ぶち殺しちまえよ!!」
「あいつが現れてからもう一ヶ月も経つんだぞ!!?」
「一体いつまであいつ一人を片付けるのに時間かけてんだよ!!」
「真面目にやりやがれ!!!」
なんと醜い罵声か…………。端から聞いていればとても人に対して発していいセリフの数々ではない。これがたった今瞬時にラーゲッツを追い払い街を救った者へといい放つ言葉か………?
カオス達は想像していた展開とは正反対のフリンク族達の態度に不快感を感じた。
ナトル「皆の言う通りだ。
お前は一体いつまであの男を倒すのに時間をかけているんだ?
さっきの様子を見ていればお前の力があればあんな奴は一捻りだろうが。」
カーヤ「あっ……でっ、でも………。」
ナトル「お前の意見は聞いてない。
お前は素直に私達の言うことを聞いていればいいんだ。
そうすればお前はまだここに置いといてやる。
ここから外の世界になんて行きたくないだろ?」
カーヤ「………」
コクンッ………
ナトル「だったら次は必ず仕止めろ。
お前が奴を取り逃がす限り奴は何度でもここに攻めてくる。
そうして死者が出たら全てお前の責任だ。
分かったな?」
カーヤ「………はい………。」
ナトル「………分かったのならあの男を追ってこい。
どうせもう近くにはいないだろうが万一見付けたら即座に始末しろ。
いいな?
では行け!」
「早くラーゲッツをぶっ殺して来やがれ!!」
「どうせなら一緒にくたばってもいいぜ!!」
「それがいい!!
お前もラーゲッツと一緒に死んできな!!」
「一ヶ月も始末できなかったんだ!!
そんくらいのペナルティがあってもいいよなぁ!!」
「ハハハハハ!!
ほらさっさと死んでこいよ!!」
「「「「「「「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」」」」」」」
アローネ「非情な………!」
ウインドラ「カーヤによってもたらされた天敵がいない平和な環境がここまで人としての心を歪ませるのか………。」
タレス「カーヤがいないと何もできないくせに………、
こんなのまだ悪を自覚しているバルツィエの方がマシですよ。
ここのフリンク族は自分達がどれだけ誰かに対して酷いことをしているのか分かってないんです。」
ミシガン「………ねぇ、流石にここまで言われたらカーヤ………まずいんじゃない………?」
カオス「カーヤにとって負い目を感じてるのはナトルさんだけだし他の連中はカーヤにとってはただの他人でしかないからこんなに悪く言われたらカーヤも………、
………!」
「早く行けよ!この化け物め!!」
ポイッ!
民衆がカーヤに罵声を響かせていた時一人の子供がカーヤに向かって小石を投げつける。子供の腕力で投げられたその小石は軌道も緩やかで当たったとしても大した怪我はしないだろう。それにカーヤは人の姿をしていてもヴェノムの主だ。そんな小石程度でカーヤを傷付けることは………、
ガスッ!
カーヤ「………」
「よっしゃ!!
命中!」
「ナイスコントロール!!」
カーヤに小石が当たったことで騒ぎ出す子供達。興が乗ったのか小石を投げた子供の回りにいた他の子供達もカーヤに小石を投げ始める。
ポイポイッ!スカッ…、ガスッ!
カーヤは小石が当たっても無反応だった。大人ならともかく子供の力ではどれだけ小石をぶつけてもカーヤを傷付けることは………、
ツー…………………、
カオス「(……!!)」
カーヤ「………」
「アッハハハ!!
見てみろよカーヤ泣いてるぞ!!」
「何だ?どっか痛かったか?
化け物にも痛いって感覚分かるのかよ?」
「痛いフリしてんじゃねぇよ!
どうせお前には効かないんだろ!」
カオス「(………泣いてる………あのカーヤが………。
俺達五人を相手に全く隙を見せなかったあのカーヤが子供達が投げた石で………?
………あんな子供にカーヤが泣かされてる………。)」
カオス達からはその光景はとても奇妙に見えた。反撃すればあんな連中はカーヤなら軽く黙らせられるだろう。それどころかあのような不敬な真似をするものは今後二度と出てこなくなるはずだ。
それなのにカーヤは何もしない、何もやり返さない、されるがままの無抵抗。無抵抗と言ってもカーヤを物理的に傷付けられるものはフリンク族の者達の中には誰一人としていない。カーヤとフリンク族の人々はある意味お互いに何もしていないも同然だ。
だがカーヤは今涙を流している。あの子供達から受けた小石が確実にカーヤに傷を付けたのだ。それは外傷ではなく心の傷。カーヤの心を傷付けた。
カオス「(……あんなに強いのに………何で………。
」