テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 ??? 残り期日七十五日
カーヤ「………………………………………………………
………………んっ……………?」
カオス「!」
気絶していたカーヤが目を覚ました。高所から落下して気を失いはしたが直後に負傷が回復したことから意識が覚醒するのも早いだろうとは思ったがまさかこれほどまでに短時間で回復するとは…………、
マウンテンホーンズ「ケェ………?」
カイメラがカーヤの方に向きなおしカーヤを心配そうに覗き込む。
カーヤ「……メーメーさん………!
………あの人は………?
………!」
意識を取り戻したカーヤは直ぐに状況を思い出し辺りを見渡してカオスの存在に気付き警戒してまた逃げようと、
………するかと思いきやカオスを見つめたまま硬直してしまう。
カーヤ「………何で………?」
カオス「気が付いたようだね。
よかった………。
さっきはごめんね。
夢中になってカーヤの足掴んじゃったせいで余計な怪我をさせちゃったみたいで………。
俺はただ本当に話を聞いてもらいたかっただけなんだよ。」
カーヤ「………?」
カオス「………カーヤ………?」
意識が戻ってからのカーヤの様子がおかしい。先程までは取り付く島すらなく逃げられたのに今度は逃げるどころかカオスを見つめたまま動こうとすらしない。
カーヤ「………お兄さん………何ともないの………?」
カオス「なんとも………?
別に特に俺の方は地面に落ちてもそんなに痛くはなかったしカーヤほどの怪我はしなかったよ?
そもそも俺が無理なことを強行したせいでカーヤを巻き込んじゃったわけだからカーヤが気にすることは「そうじゃなくて!」」
カーヤ「………体が熱くなったりとか
カオス「………あぁ………。」
どうやらカーヤはカオスが自分に触れたことでヴェノムに感染したかどうかを気にしている様子だった。ヴェノムウイルスは非常に感染力の強いウイルスだ。感染した人に感染していない人が触れただけで感染してしまうほどにそのウイルスの伝播率が高いのだ。カーヤはそのことを気にしているのだろう。カーヤはカオス達のことを何も知らないのでそのことを懸念するのは当然だ。カーヤは人の姿はしているがヴェノムウイルスに感染していないわけではない。これまでカーヤは自分に触れた者が悉くウイルスに侵されて異形の姿へと変わっていくのを見てきたのだろう。だから自分に触れたカオスもそれらの者達と同じように変異すると思った。
………しかしカオスには精霊王マクスウェルがその体の内に潜んでいる。どういう力なのか未だに理解できてはいないが精霊が体に宿る者やその力の恩恵を受けた者にはヴェノムウイルスの作用が働かない。精霊の力自体もヴェノムウイルスの高い再生能力を物ともしない勢いで消滅させる謎の関係性を持っている。そのことはこれまでの十年と数ヵ月の旅で学習済みだったのだが目の前にカーヤにとってはカーヤの六年の歳月の経験を覆すような出来事のようだ。
カーヤ「………たまたま感染しなかったか………まだ発作が起きてないだけかも………。
………もし感染してて発作が起きてないだけなら………、
お兄さんを殺さなくちゃいけない………。」
カーヤは立ち上がってそんな物騒なことを言い出した。今度は逃げたりせずに臨戦態勢に入るカーヤ。
カオス「!?
待って!!待ってくれ!!
俺は戦う気は無いんだ!!」
カーヤ「でもお兄さんはカーヤに………。」
カオス「俺はヴェノムには感染してない!
本当だ!
信じてくれ!
俺もカーヤと同じでウイルスに感染してもどこもおかしくなったりしないんだ!」
カーヤ「!!
………カーヤと同じ………?
嘘………。」
カオス「………本当だ。
カーヤとは違う理屈でそうなってるんだけど………。
なんなら俺の体が変異するまで見張っていてもいい。
俺が変異するようだったら………俺を殺してもいい。」
カーヤ「………」
必死の説明の甲斐あってカーヤはカオスの言葉に耳を傾けてくれた。後はカーヤが納得のいくまで待ってカーヤにウイルスに感染していないことを証明するだけだ。
その間にカーヤと話ができれば………、
カオス「………えと………カーヤ………。」
カーヤ「………」
カオス「……俺………や俺の仲間達は君に会って話をするためにここまで来たんだけど………。」
カーヤ「………」
カーヤからの相槌がない。カオスと話をするつもりがないのだろうか………?
と、雲行きが怪しくなってきたと思ったところでカーヤはカオスの話を無視していたのではなかった。
ツンツン………
カオス「なっ、何………?」
カーヤ「………」
カオスが語りかけている時にカーヤは身近にあった木の棒でカオスをつつき始めた。
カーヤ「………?」
ザクッ…!
カオス「………」
カーヤは力をこめてカオスの腕に木の棒を軽く突き刺す。少し血が流れたが途端に傷口の血が固まる。
カーヤ「………」
ザスッ…
ポタッ…
今度はカーヤが自分の腕を軽く切ってから木の棒に血を垂らす。
ブシュ!!ジュゥゥゥ………!!
カーヤの血が付着した木の棒がカーヤの血でみるみる溶けていった。ヴェノムに感染した者の体液は強い溶解力を持つ。そのせいで木の棒が溶解されてしまったのだろう。
そして木の棒は最後にはカオスの血が付着した部分を残して他の部分は全て消えてなくなった。
カーヤ「………お兄さん………も普通じゃない………。
こんな血を持つ人は見たことがない………。
カーヤの血がお兄さんの血に負けた………。
お兄さん何者なの………?」
カオス「………俺自身は普通のエルフのつもりだよ。
少し生まれが特殊なだけで普通のエルフ………。
そしてカーヤと同じ家の血を受け継いでるんだ。」
カーヤ「同じ血………?
……!!
それって………!!」
疑問の表情を浮かべていたカーヤが急に何かを感じ取ったのかカオスに詰め寄ってくる。ギリギリで体が接触しない距離だがそれでもここまで接近すると少々話がしづらい。
カオス「聞いたことあると思うけど俺はバルツィエの生まれでカーヤもバルツィエを知って………」「お兄さんが………!!
………お兄さんがカーヤのパパの………!!
カーヤを迎えに来てくれたの!!?」