テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
フリンク族の里フリューゲル 十一年前
ロベリア「カーヤ。」
カーヤ「あっ!
ママ!!」
名前を呼ばれたカーヤがロベリアに駆け寄ってくる。数日前に誕生日を迎えてカーヤは五歳になった。カーヤは学習能力が高く生まれてから普通の子供が覚えるよりも早く言葉も覚えた。運動神経もよく平均的な五歳時の能力を大きく上回っていた。あの男の娘なだけはある。
ロベリア「走ると危ないよ?」
カーヤ「えぇ?なぁに……あッ!?」
ドサッ!!!
ロベリア「カーヤ!?」
ロベリアがカーヤの怪我を心配し慌ててお越しに行く。
カーヤ「………ぅぅぁああぁっ……!!」
案の定カーヤは泣き出した。あの男の娘であっても年相応の反応はするようだ。流石に子供の内は奴等のような野心溢れる人格はまだ無いようだが………、
ナトル「怪我をしたのか?
私が治癒術をかけて治してやろうか?」
ロベリア「ん?
ん~………このくらいの怪我ならそこまですることもないかな。
治癒術使うのも疲れるでしょ?」
ナトル「それはそうだが………。」
ロベリア「あんまし楽なことさせてもこの子のためにならないでしょ。
この子には将来的にはここを守れるくらい強く育ってもらわなくちゃいけないんだから。」
ナトル「……それもそうだな。」
この頃のロベリアは本当にカーヤが生まれる前に言っていたことを実現しようとしていた。カーヤを………ラーゲッツへの復讐の道具として育てる気でいた。実の子供に殺されるラーゲッツ………。それを想像してロベリアはカーヤへの教育に熱を入れ込んでいた。それがロベリアの生きる活力となるのなら私はそれだけで満足だった………。
フリンク族の里フリューゲル 八年前
フラット「ロベリア!」
ロベリア「ん?
何?」
フラット「何って………、
どうしたんだ……!?
その
ロベリア「………これ?
そこで躓いて転んだだけだけど?」
フラット「躓いて転んだだけって………、
そんなんでこんな痣ができるわけないだろ!!
誰にやられたんだ!?」
ロベリア「えぇっと…………。」
ナトル「………」
この辺りでロベリアは里の者達とよく言い争いをしていた。原因はやはりカーヤだった。里の者達はロベリアにカーヤを他の子供達と一緒に遊ばせるな、と言い合いになって取っ組み合いになったようだった。
フラット「こんな目立つところに痣なんか作って………。
どうして治療しないんだ!?
こんなの放っておいたら後々残るぞ!?」
ナトル「私からも既にそう忠告済みだ。
しかしロベリアが「いいんだよこのままで。」」
ロベリア「…どうせまた喧嘩になるからこんなの一々気にしてたらキリがないよ。
それだったら痕が残ってた方がそこは殴られずにすみそうじゃない?」
フラット「そんな理由で治療しなかったのか!!?」
ロベリア「治癒術もそんなに便利な物じゃないしね。
一回使うだけで一日の大半の動けるエネルギー使いきりそうで。」
フラット「…!!
………あぁもう!!
だったら僕が治療してやるからこっちに来い!!」
ロベリア「あっ、ちょっと!?」
フラットが強引にロベリアを連れていく。婚約は例の都合で解消されてもフラットはロベリアを諦めきれないようであった。だからこうして彼は欠かさずロベリアの世話を焼いていた。
こうしたロベリアが怪我をする原因があったからこそフラットはカーヤを最後の最後まで赦すことができなかったのだろうな………。
かくいう私もカーヤのことは………、
カーヤ「おじいちゃん!!」
ナトル「………ん?
………なんだい?」
カーヤ「一緒に遊ぼう!!」
ナトル「………いいよ………。」
カーヤ「えっへへへへ!!
じゃあ鬼ごっこしよう!!
おじいちゃんか鬼からね!!」
タタタッ………
ナトル「………」
………カーヤは復讐の道具だ………。それ以上の感情を抱いてはいけない………。………どこかで線引きをしなければいけない時が来る。その時が来たら私は………。
フリンク族の里フリューゲル 六年前
この頃の私はロベリアに
私はロベリアに………、
カーヤを復讐の道具ではなく
ナトル「(…人の心というものは時間の流れによって変わるものだな………。
私がロベリアにこんなことを言うまいか迷っているのだから………。)」
カーヤが生まれる前の私はロベリアがそれで元気になるのならと思い荒んだ彼女の考えを否定しなかった。私はロベリアさえ立ち直るのならそれでいいと考えていた。
そしていざカーヤが生まれてその後すくすく育っていく彼女を見ていく内に私の中でカーヤへの気持ちが少しずつ変わっていくのを感じていた。
始めはロベリアが言うようにカーヤを道具として考えていた。カーヤは道具。それ以外の何者でもないただの道具。例えロベリアから生まれたのだとしてもカーヤは復讐の目的のために生まれてきただけの道具に過ぎない。そう頭に言い聞かせてカーヤと接してきた………。
…それだというのにカーヤが成長の過程で見せる無邪気な笑顔や仕草はとても愛らしく幼い時のロベリアを彷彿とさせるものがあった。カーヤは母親似だったのだ。これは大きくなったらロベリアに似てフリューゲル一の美人になる………。そしたら里の男達はカーヤを………。
………やはり私にはカーヤを最初から道具として見ることなんて無理だったのだ。どうして娘から生まれた子供を道具として見なければならないのだ。娘の子供なら私にとっては孫だ。あんな外道な男の血を引いていてもロベリアの娘であることに代わりはないのだ。
私にとってカーヤは可愛い孫、そう孫なのだ。道具でもなんでもない。カーヤは人だ。ハーフエルフだとかバルツィエの血だとかは関係ない。
………………ロベリアは今でもカーヤをラーゲッツと戦わせるために育てているのだろうか………?あれからもう十年の月日が経つ。もしまだ復讐のことを考えているならロベリアには悪いが復讐は諦めてもらってこれからはカーヤを普通の家族として見て私達三人とフラットでここでの生活を送ることにしよう。
私はロベリアを説得するべく自分の意思をロベリアに伝えて見ることにしたのだがロベリアは………、
ロベリア「復讐………?
………あぁ、それなら………、
もうとっくの昔に復讐することは止めにしたよ。
カーヤが生まれた時からね。」