テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 六年前
ナトル「(………聞かれていたのか。
あまり大事にはしたくない話なんだが………。)」
フラット「お願いします族長。
私はどうしてもカーヤをどういうつもりで族長達が育てているのか気になるのです。
………族長とロベリアのことですから何か目的があってのことなのでしょう………?」
ナトル「(………目的か………。
目的と言うのなら私はロベリアに何でもよかったから生きる希望をもってほしかっただけなんだがなぁ………。)」
先程ロベリアとカーヤについての会話をするまではロベリアはカーヤを復讐の道具に使うために育てているのだと思っていた。娘を想う父の気持ちとしてはそんな危険な未来に向かってつき走ろうとしていたロベリアを止めたい一心で遂に娘を説得して引き下がらせようと話を持ちかけたのだが………。
ロベリアは等の昔にそんな考えを捨て去っていた。ロベリアは多少特殊な出生を迎えてしまっていたがカーヤを普通の子供として育てようとしていた。そのことについて自分の中ではまだ整理はできていなかった。ロベリアの今のカーヤへの想いは歓迎するところではあったがロベリアと話をするまではロベリアはカーヤを自分の代わりに復讐させるために育てているとずっとそう思い込んでいた。
直接的な被害を被ったロベリアをそっとしておいてあげようとカーヤが生まれてからの十年間カーヤについて何も言及しなかったためにロベリアの過去と現在の考え方が変わっていたことを知らなかった。ロベリアと話をしていなかったらここは素直にカーヤをラーゲッツに当て付けるために育てていたと言ってもよかったのだがもう既にロベリアの気持ちを知ってしまった。そんな状況で復讐という言葉が何故出てきたのか説明できる自信はなかった。
ナトル「………」
ナトルはフラットに事の経緯を
その後ナトルはこの話を
…………………………………………………………………
フラット「………なるほど………、
だからロベリアはカーヤを生むことにしたのですね。
私達ではどうあってもラーゲッツには太刀打ちできませんからね。
それで敵の血を引く子供を敵に………。」
ナトル「最初はどうかと思ったのだがな………。
だがあの時はロベリアの好きにやらせるしかできなかった………。
君も覚えているだろう?
あの当時のロベリアの落ち込んだ様子を。」
フラット「………はい、
………酷い状態でしたからね………。
今でもロベリアを見るたびにあの時の彼女の姿を思い出しますよ。
目は虚ろでどこか別の世界を見ているようで独り言も多かったですし………。」
ナトル「私はどうにかロベリアに立ち直ってほしくて色々と手を尽くしたがどうにもできずに………。」
フラット「…私ですらそれで駄目でしたからね………。
結局ロベリアには婚約を無かったことにしてほしいと頼まれ私もそれに頷くことしかできませんでした………。
彼女には………あの時は立ち直るための時間が必要だと思って………。」
ナトル「………それから暫くしてロベリアがカーヤを身籠っていたことが分かって………私は下ろすべきだと忠告したんだが精神的に病んでいたロベリアはこの子を使ってラーゲッツに復讐すると言い出してきたんだ。」
フラット「それで………。
………………、
私はそれでいいと思いますよ。
ロベリアに意見に賛成です。」
フラットはロベリアが考えていたことを肯定した。
フラット「…力のない私達フリンクが敵に立ち向かうにはそうした柔軟性ある考えも必要なのかもしれませんね。
敵の子供を敵に………、
いい考えだと私も思います。
…それで族長とロベリアはカーヤを産んで育てることにしたんですね。
あの時のラーゲッツから受けた痛みを奴の娘を使って返させる。
族長達がカーヤをそんな考えで育ててたのだとしたら納得がいきます。
ロベリアに反感を持っていた者達もその作戦には大いに賛同することでしょう。
どうして今までそのことを打ち明けてくれなかったのですか?
そのことを皆が事前に知っていたらこれまでロベリアも余分な怪我を負うこともなかったでしょうに………。」
長い間フラットはカーヤの存在に疑問を抱いていたのだろう。その疑問が解消されたと思い興奮して一気に話し出す。
ナトル「(まだ話の途中なんだがな………。
ここまでは私もそういう考えがなかったわけではないが………。
………さて………ここからはどう説明したらよいものか………。)」
フラットはロベリアの過去の思惑を知りそれに共感してロベリアの皆への誤解を解くべきだと言う。ロベリアがカーヤを産み育てることで仲違いした友人も少なからずいる。フラットはそのことに心を痛めこうしてロベリアのために動こうとしてくれようとはしているのだが………、
彼のその心遣いを無下にしてしまうようで申し訳ないがロベリアの心は変わってしまった。ロベリアはもうカーヤにそのようなことは求めていない。今は一フリンク族住民として普通の生活をカーヤに送らせたいだけなのだ。そのことをフラットに話したらすっかり舞い上がってしまった彼はどういう反応をするのか………………、
………と、ナトルが言い悩んでいた時、
「たっ、大変だああああああぁッ!!!」
ナトル・フラット「「!!?」」
森の奥から辺りを警戒させていたフリューゲルの男の一人が大声を上げてこちらの方へと走ってきた。
ナトル「何事だ!?」
「ハァ!!………ッハァハァ………!!」
フラット「落ち着け。
落ち着いてゆっくり話してみろ。
何があった?」
「ハァ………!
………そっ、それが………!!
向こうの方から別の里の者達がここに避難してきてて………!!」
フラット「別の里の者達が………?
………それの何が大変なんだ………?」
フリンク族の統治するフリンク領にはいくつかに分けて村がある。その村の者達も今回のダレイオス東側のマテオの襲撃の報せを聞いて避難して来ているのだろう。このリスベルン山は非常時にの避難場所として指定されているので特にそのことに関しては不自然な点はなかったが………、
「いっ、今……!
ここにほぼフリンク領の同胞達の半数以上が集中して避難してきています!!
それを嗅ぎ付けて………、
ヴェノムもここに押し寄せてきてるんです!!!」
この世界でヴェノムは百年前からどこにでも現れる危険な生物として有名だった。有名故に出現した際の対処法はシンプルに逃亡を図るだけだと相場は決まっている。
しかし現在フリンク族の者達はバルツィエ襲撃に備えてこのリスベルン山へと避難して来ているのだ。
逃亡してきた場へ更に逃亡を図らねばならない相手が現れたらフリンク族は………、
どこへ逃げればよいのだろうか………。