テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カストルでレイディーから話を聞くうちに封魔石とバルツィエのことを知る。
それを聞いたカオスは…。
安らぎの街カストル 宿
「………」
おじいちゃんの昔のいた家が……。
王国でも名を馳せた貴族………。
そんな高い地位の家の出身だったなんて………。
おじいちゃんは大したことない騎士の家だと言っていたけどレイディーさんの話ではどう聞いても王国の一番大きな一族。
ということはバルツィエがこのマテオの騎士そのもの。
そのバルツィエがタレスの故郷を………。
それだけじゃない。
レイディーさんはバルツィエが他にも逆らう村や街を襲ったとも言っていた。
騎士は民を守る誇り高いものなんじゃないのか?
強いものから弱きものを守るのが僕の憧れた騎士道精神なんじゃないのか?
おじいちゃん。
これじゃあ、まるっきり話が逆だよ。
力に任せて弱きものを屈伏させるのが本当の騎士なの?
これじゃあ子供の苛めと変わらないよ。
どうしておじいちゃんは僕に騎士になれって言ったの?
おじいちゃんは僕にそんな弱いもの苛めのようなものになって欲しかったの………?
おじいちゃんは僕にそんな薬で弱味を握るような騎士になって欲しかったの?
おじいちゃん………。
コン、コン
「…………………」
コン、コン
「……………………はい。」ガチャッ
「カオス………」
「アローネ………。」
「どうしたの?」
「カオスこそどうなさったのですか?
自由時間で見て回りたいものがあると仰っていたのはカオスですよ?
それなのに宿にこもって………。」
「宿に忘れ物をして取りに来ただけだよ。
これから出るところ。」
「隠さなくてもいいのですよ?」
「………少し考え事をね。」
「バルツィエのことですか?」
「……………うん。」
「驚いてしまいますよね。
カオスはお祖父様から普通の騎士だとお聞きしていたのですから。」
「………そう…………だね。」
「貴方が衝撃を受けるのも無理はありません。
お聞きしていた話とまるで正反対のような家だったのですから。」
「………うん………全然違うイメージだった。」
「それにタレスのことも知らなかったとはいえ悩んでいるのではないですか?」
「………。」
「タレスを襲った襲撃主がまさか貴方のお祖父様の御家族だったとは…。」
「………アロー…ネ?」
「タレスにはなんて言えばいいのでしょうか…。
こんなことがタレスに伝わればタレスは……。」
「アローネ………もういい。」
「もしお祖父様の御家族がお祖父様がいなくなってどうなっていたか、本当はそれを知る旅でもあったのですよね?」
「!?………アローネ……止めてくれ。」
「私の為ではなくカオスはカオスの為だけに村を出た。
それはいいのです。
私も貴方に助けられて私の為に貴方を付き合わせていることが心苦しかったから。」
「もういいんだ!アローネ!もうそれ以上聞きたくない!!」
「貴方は騎士などではない。」
「辞めろって言ってるだろぉ!!!?」ズバッ!
「はッ!!?」
「……………夢?」
なんて嫌な夢だ。
こんなに苦しいのはおじいちゃんがいなくなって依頼だ。
あの後宿に戻って気分が悪くなってベッドに横になっていたらそのまま眠ってしまったのだろう。
どうしてだろう。
今まで散々嫌なことはあった。
その度に耐え続けて乗り越えてきた。
今度の件もそうだ。
いつもと同じでまた乗り越えればいい。
乗り越えればいい。
なのに。
最近涙脆いのかな。
アローネにあの村でお帰りと言われてから泣いた。
あの時は感動の涙なんてあるんだなと思った。
大人になったら悲しみの涙は枯れるって思ってた。
だから今流れているこの涙は多分感動の涙なんだろう。
おじいちゃんの家族が生きていたという感動の涙なんだろう………。
ダメだ。
こんな馬鹿な強がりが何になる。
余計惨めになるだけじゃないか。
惨めに………。
そうか。
惨めか。
こんなにも悲しくて空しい気持ちが僕の中にもあったんだな。
決してへこたれない不屈の心。
そんな訳ないじゃないか。
僕だって人だ。
心がある。
殴られたり人扱いされないと辛くて泣きそうになる。
けど絶対に泣きたくなかった。
泣けなかった。
いつも僕が泣きそうになると、
心の中にいるヒーローが僕を励ましてくれたから。
ねぇヒーロー。
僕は君みたいになりたかった。
君みたいに弱い人達を助け悪を倒し世界を救う何でも出来るヒーローに。
そんな空想のヒーローなんていない。
そんな都合のいいヒーローなんてこの世にはいない。
いたのは自分達に刃向かうものを斬り捨てる悪と
そんな悪に憧れて無情な仕打ちにも我慢してきた、
不様で滑稽な僕だけ。
ねぇヒーロー。
君は
悪者だったんだね。