テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 六年前
「もう少しでユミルの森に到着する!!
全員ちゃんとついてきているか!!?」
「問題ありません!!」
「行方不明の者がいたら速やかに報告しろ!!
その者はこちらで捜索するから足を止めずこのままユミルの森まで向かえ!!」
ロベリア「行方不明か………。
誰かいなくなったりしたら探すのも一苦労だもんね………。
………まぁ、私達は大丈夫か………。」
前の集団は全員で互い同士がいなくならないように気を付けながら進んでいる。そんな集団と離れて二人だけで歩くロベリアとカーヤは先導する男の言葉を特に気にすることもなくついていっていた。
ロベリア「(お父さん達とフラットはずっと前の方にいるだろうし私はカーヤを見張っていればいいだけだしね………。
カーヤさえ無事ならそれで………。)「ママ………。」………ん?何?」
カーヤ「カーヤ………、
おトイレ行きたい………。」
ロベリア「おトイレ………?」
カーヤ「うん………。」
ロベリア「おトイレかぁ………。
それは困ったなぁ………。」
こんな非常時に突然カーヤがトイレを催促してきた。今のところ集団からは離れてはいないがそれでロベリア達がいるのは集団の最後方だ。ここで立ち止まりようものなら集団から離れてしまう。
ロベリア「…もう少し我慢できない?
漏れそう?」
カーヤ「駄目………。
漏れちゃう………。」
ロベリア「あらら………。」
カーヤの目尻には涙が溜まっておりその様子からカーヤがここまでずっと我慢していたことが分かる。恐らく突然の避難行動で訳も分からず連れてこられてしまったために用を足す機会がなかったのだろう。普段は家などですませられるのだがここは外の森の中でトイレなどどこにもない。カーヤはずっと言い出せずにいたのだ。
ロベリア「…う~ん………、
女の子が外でなんて行儀が悪いと思うけど………
………仕方ないよね………。」
ロベリアはカーヤに用を足させることにした。
ロベリア「すみません!」
ロベリアは後従の男に話しかける。
「ん?
とうしたんだロベリア。」
ロベリア「ちょっと………、
この子がもよおしちゃって………。」
「………こんな時にか………?」
ロベリア「うん………。」
「もう少し待てないか?
もう少しでユミルの森に着くんだが………。」
ロベリア「そうなんだけど………、
この子どうしても今漏れちゃうみたいで………。」
カーヤ「………」
「………」
男は渋い顔をする。ただでさえ今は少しでも先を急がねばならないという時に子供の用で歩を止めたくないからだろう。
だが男は………、
「………そういうことなら仕方無いな。
待っててくれ。
今先の方にいる奴に事情を話して俺も一緒に行く。
こんな場所で女と子供の二人だけで離れると危ないからな。」
ロベリア「え?
いや、いいよいいよ!
カーヤは私が見ておくから貴方は皆と先に行ってて!
カーヤをトイレに行かせたら直ぐに追い付くから!」
「しかし………。」
ロベリア「もう!
いいって言ってるのに………。
………そんなに女の子がおトイレしてるところに立ち会いたいの?」
「!?
なっ………!?そんなことあるはすがないだろう!!
俺は安全のためにと忠言しようとしただけで………!」
ロベリア「そうなの?」
「それ以外あり得ないだろうが………!
こんな時だというのに人をからかうんじゃない!!」
ロベリア「フフ……、
ごめんごめん………。
………でも有り難う。
本当に私一人で大丈夫だから。
貴方は皆と先に行ってて?
カーヤが終わったら直ぐに追いかけるよ。」
「……本当にいいんだな?
………早く追い付いてこいよ?
ここも安全とは言えんからな。」
ザッザッ………。
ロベリア「………じゃあ行こっか?
皆に遅れないようにちゃっちゃと済ませちゃおう。」
カーヤ「うん分かった。」
二人は辺りに人がいないのを確認し誰にも見られないように茂みの奥の方へと進んでいった。
ロベリア「(なるべく早くに追いかけないとなぁ………。
置いてきぼりになったら私道わかんないし………。
でも向こうの方から皆のマナを感じるからあっちの方に行けば追い付くよね?)」
ロベリアは軽い考えで合流することを考えていた。精々カーヤが花を積む時間は一分にも満たない程度の時間だ。その程度の時間ならまだそう集団から引き離されることもないだろう。用を足すよりも追いかけることの方に時間を使いそうだ。それなら急ぎ終わらせて追い掛けねば………、
カーヤ「ママ!」
ロベリア「もう終わったの?」
カーヤ「うん!」
ロベリア「そっか。
じゃあ皆のところに戻ろ「うわああああああああああああ!!!!」!?」
カーヤが用を足して集団に合流しようとすると近くで大勢がこちらの方へと走ってきた。
ドドドドドドトドドドドドドトトドドドドッ!!!!
カーヤ「なっ、何……!?」
ロベリア「この人達は………!?」
ロベリアとカーヤの方へと向かってきた人々はどの顔にも見覚えがなかった。察するに先程の話にあったヴェノムに追われている別の村の住人達なのだろう。その住人達が雲の子を散らすようにこちらへと迫ってきて………、
ドンッ!!
ロベリア「いつッ……!」
カーヤ「ママ!?」
ロベリア「………大丈夫………。
これくらい平気だから………。」
「うわあああああああッ!!!?」「ヴェノムだぁ!!」「ヴェノムが来たぁッ!!」「逃げろおおおおおォッ!!」
別の村の住人達は統制を失いそれぞれが別の方向へと逃げていく。どうやらもうヴェノムがすぐそこまで接近してきているようだった。
ロベリア「!!
私達も逃げなきゃ……!?
カーヤ!
行くよ!!」
カーヤ「うっ、うん!!」
ロベリア「………さて、
フリューゲルの皆に早く………、
……!!?」
ロベリアはフリューゲルの里の者達のマナを探りそれを追おうとするのだが今バラバラに通りすぎていった別の村の住人達のマナがサーチしてしまいそれらが色々な方角から伝わってくる。
ロベリア「(どっ、どうしよう………!?
これじゃあどっちに向かったらいいのか分からない!!?)」
カーヤ「ママ………?」
ロベリア「!
とっ、とりあえずこっちに行こう!
こっちに逃げて行ってる人がいるからそれについていこう!」
カーヤ「うん………。」
ロベリアは一先ずどこかの集団に合流することにした。たった二人でいるよりかは誰か他の人達がいる場所の方が心強いからだ。別の村の者達に知りあいはいないがとにかく誰か他に道を知る者と一緒にいた方がマシである。なので急ぎカーヤを連れて移動を………、
ズキッ……!
ロベリア「………ッ!?」
ふと歩きだした瞬間足首に痛みを感じた。
ロベリア「(これは………さっきの………!?)」
先程走ってきた集団の誰かにぶつかり足を捻挫したようだった。
ロベリア「(………このくらいの捻挫ならファーストエイドをかければ直ぐに治るけど………。
でもそれだと治療術で溢れたマナに引き寄せられてヴェノムが寄ってくる………。
………ここは堪えてこのまま進もう!!)」
足首から感じる痛みを堪えてロベリアはカーヤを連れて先に進みだした。怪我によって歩くペースは落ちるがそれでもヴェノムに追い付かれることはないはずだ。ヴェノムは動きが緩慢で移動し続ければ捕まることはない。ロベリアはそう自分に言い聞かせて先に進むことにした………。