テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

557 / 972
ロベリア自己崩壊

ユミルの森 六年前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「嘘だッッッ!!!」

 

 

 フラットが叫びロベリアの言葉を否定する。

 

 

ロベリア「フラット………。」

 

 

フラット「君がヴェノムに感染しただなんて嘘だ!!

 何か思い違いをしているだけなんだよ!?

 君の命がそんな長くないだなんて………!!

 そんな冗談止めてくれよ!!?」

 

 

 フラットがロベリアに駆け寄ろうとする。それを察してロベリアは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「駄目ッ!!『ウインドカッター!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴオオオオオオスッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牽制するようにウインドカッターを放ちロベリアとフラットの間に一本の線を引いた境界を作った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナトル「(!?

 この威力は……!?)」

 

 

フラット「ロベリア!!

 何をするんだ!!?」

 

 

 

 

ロベリア「だから来ないでって言ってるでしょ………?

 もう一つ感染してる証拠として今のがそうだよ………。

 感染者は感染したらウイルスの作用によってマ(・)ナ(・)が(・)強(・)化(・)さ(・)れ(・)る(・)…(・)…(・)…(・)。(・)

 私の中のマナは今猛烈な勢いで別の物に変わろうとしている………。

 今はまだこうして喋っていられるけどもうじき私の意識もヴェノムに呑み込まれて無くなる………。

 

 

 ………お父さん、フラット………そしてカーヤ………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今まで有り難う。

 私は生きてて十分幸せだったわ………。

 もう私は十年前のことを払拭できた………。

 ………後は自分のことは自分でケ(・)ジ(・)メ(・)を(・)着(・)け(・)る(・)………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「マ、ママ………?」

 

 

ナトル「どうするつもりなんだロベリア………。

 お前まさか………。」

 

 

 

 

ロベリア「お父さん………カーヤをお願い。」

 

 

ナトル「………」

 

 

 ナトルは無言でカーヤのもとへ行きカーヤの手をとってロベリアから離れる。

 

 

フラット「………………待て………、

 ………待て!!

 ロベリア……!

 君はまさか自分で死ぬ気じゃ………!?」

 

 

 

 

ロベリア「………ヴェノムに感染したらこうするしかないでしょ………?

 何もせずにゾンビになるのを待って私が………私の体がフラットやお父さん、カーヤ、他の人達を襲い始めるのなんて嫌だもん………。

 だからこうするんだよ………。

 ………今から私は………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自(・)主(・)的(・)に(・)自(・)分(・)の(・)マ(・)ナ(・)を(・)全(・)て(・)出(・)し(・)き(・)る(・)………。

 ゾ(・)ン(・)ビ(・)や(・)ヴ(・)ェ(・)ノ(・)ム(・)に(・)な(・)り(・)き(・)る(・)前(・)に(・)マ(・)ナ(・)を(・)使(・)い(・)き(・)っ(・)ち(・)ゃ(・)え(・)ば(・)私(・)が(・)死(・)ん(・)だ(・)後(・)に(・)他(・)の(・)人(・)を(・)襲(・)い(・)始(・)め(・)る(・)こ(・)と(・)な(・)く(・)私(・)の(・)体(・)は(・)ウ(・)イ(・)ル(・)ス(・)の(・)飢(・)餓(・)作(・)用(・)で(・)消(・)滅(・)す(・)る(・)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「………え?

 消………滅………?」

 

 

 

 

 

 

フラット「止してくれ………。

 自分で死を選ぶなんて馬鹿げてる………。

 君は本当にそれでいいのか!!?」

 

 

 

 

 

ナトル「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「だってこうするしかないでしょ………?

 この世界でヴェノムに感染して助かった話なんて一つも聞いたことがない………。

 私がこのあと逝くのは確定なんだよ………。

 だったらせめて私は人(・)の(・)ま(・)ま(・)で(・)逝(・)き(・)た(・)い(・)ん(・)だ(・)よ(・)………。

 娘の見ている前で私が別の何かに変わるところなんて見せたくないし………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スッ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロベリアは空に手をかざして全身のマナを解き放つ体勢に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「!

 ロベリア?

 ロベリアァァァァァッ!!?」

 

 

カーヤ「ママァッ!!?

 何してるの!?

 死んじゃうよ!?

 止めてよ!!?」

 

 

 フラットとカーヤの二人はロベリアの元へと走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「……!?

 族長……!?」

 

 

カーヤ「おじいちゃん!

 ママが………!

 ママが………!?」

 

 

ナトル「………頼む二人とも………。

 ロベリアの決意を無下にするようなことはしないでくれ。

 ………これ以上ヴェノムに侵される者を増やすわけにはいかないんだ………。」

 

 

 走り出した二人をナトルが手を掴んで止める。二人はロベリアのもとへ駆け寄ることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「………有り難うお父さん………、

 私の最期のお願いを聞いてくれて………。

 ………これで私は人のまま逝ける………。

 ………人のままで………終わりを迎えることができる………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………皆この世界で必ず生き延びてね………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後ロベリアのマナが空に向けて一斉に解き放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「………ママ………?」

 

 

フラット「ロベリア………?」

 

 

ナトル「………ロベリア………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 恐る恐る三人がロベリアの名を呼ぶがロベリアから返事はなかった。フリンク族のマナ察知能力でロベリアのマナを探ろうとしたが彼女からはマナの一欠片も感じることができなかった。この反応は………ただの屍だ。マナを、心を失った屍と化したのだ。屍は………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがてその場に仰向けに倒れこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「ロベリア……!?」

 

 

ナトル「まだ近付いてはいかん!

 まだヴェノムウイルスが消失したとは限らないんだ!」

 

 

フラット「!

 ………しかし!」

 

 

 倒れたロベリアに走り出そうとしたフラットをナトルが更に強く引き留める。こういう時にロベリアのもとへ一番に走り出したかったのはナトルだったが族長としての使命があったために自分で自分を押さえ付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………と、フラットを引き留めることに一瞬気をとられてカーヤがナトルの手を振り払う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナトル「!?

 カーヤ………!?

 待て!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「ママアアアアアアッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カーヤは母親の元へと駆け付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「ママ………!

 ………!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駆け付けたカーヤはロベリアを抱き起こす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「ママ!?

 ママ………!?

 返事をして!!

 ままで!!?」

 

 

ロベリア「………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………カー…………………ヤァ…………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かろうじてロベリアは意識を保っていた。しかしその意識は途切れ勝ちで今にも消えてしまいそうだった。

 

 

カーヤ「ママ!

 起きてよ!?

 ママ!

 ママ!!」

 

 

 カーヤはロベリアの意識が途切れないように何度も揺さぶったり声をかけたりする。

 

 

ロベリア「……そんなに大声を出さなくても……聞こえてるよ………。

 ………………私の大事な大事な娘の声だもん………。

 どんなに遠く離れてたってちゃんと届くから………。」

 

 

カーヤ「ママ………!

 マ………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「………あぁ………、

 やっぱり消えちゃうみたいだね………私………。」

 

 

 ロベリアの体がだんだんと光だし、その光が大気へと溶けるように消えていく。

 

 

カーヤ「………やだ………、

 やだよぉ………!

 どうしてママが消えなくちゃいけないの!!?」

 

 

 カーヤはロベリアが消えぬように引き留めようとロ(・)ベ(・)リ(・)ア(・)の(・)体(・)に(・)し(・)が(・)み(・)つ(・)く(・)のだが、

 

 

ロベリア「…カーヤ………、

 ………ママに触れちゃ駄目なんだよ………。

 ………ママに触ったらカーヤもママみたいに………。」

 

 

 言葉ではカーヤに離れるように言うが直接カーヤを引き剥がしたりはしないロベリア。マナを全て失ったことで彼女は既に指一本動かす力すら残っていなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「ママァ………消えるなんてやだよぉ………。

 カーヤまだママと……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリア「………カーヤ…………、

 ………最後に一つだけカーヤに伝えたいことがあるの………。」

 

 

カーヤ「………伝えたいこと………?」

 

 

ロベリア「………………カーヤ………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………カーヤが生まれてきて私はよかったよ…………。

 カーヤを復讐にあてがおうとしてたなんて今思えば間違ってたって思える…………。

 …………だからカーヤは生まれてきて本当によかったと思うよ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………カーヤは自分の生きる意味を探して頑張って生きてね…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を最後にロベリアは消えた。体を光に変えて世界の輪廻の輪へと還った。これ以後ロベリアはカーヤ達の前に姿を現すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は完全に世界へとその細胞一つ残らず還元されたのだった………。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。