テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
レイディーから聞かされた話に絶望したカオスは…。
安らぎの街カストル 宿
「何なんだよ騎士って……………………………………!!」
イライラが止まらない。
この怒りを何かにぶつけたくて仕方がない。
今までの自分の人生は何だったのか?
思い返してみれば馬鹿丸出しで笑い飛ばしたくなり、その後そんな自分に絶望して泣き出し、最後にはなにも知らなかった自分にまた怒りが込み上げてくる。
感情のトライアングルが止まらない。
何が騎士道精神だ。
そんなもの虐げられている弱者が考え付く強者への願望なだけじゃないか!
本当の強者は弱者になんて気兼ねなんてしないから強者なんだろ!?
今の今まで子供のお伽噺のような話をずっと信じ続けて生きてきた自分は何なんだよ!?
きっとアローネやタレスも俺のことを陰で笑っていたに決まってる!
そんなことにも気付かずに俺は………
「畜生がッ!!畜生がぁぁぁっ!!!……………うぅぅぅぅ………アッハッハッハッッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ………。」
何だこれ。
怒っているのに涙が流れながら笑っている。
何だか楽しくなってきた。
「ハッハッハッッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッッハッハッハッハッハッハッハッハ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。」
空しい。
さっきまで感情が爆発していたのに急に冷めた。
今まで何やってたんだろうなぁ。
努力したって世界なんて救えるわけないのに。
俺一人が頑張ったところで世界は変わるなんて筈ないのに。
タレスの件どうしよっかなぁ………。
なんて言うのがいいのかなぁ………。
お前の村襲ったの俺の親戚なんだ!ゴメンね。
こんなもんでいいか。
大体親戚ってっても俺とは関係ないんだ。
タレスの村が無くなったのだって別に俺は悪くない。
戦争なんだから我慢しやがれ。
俺なんかずっと人生を我慢してきたんだ。
俺の不幸に比べりゃお前の人生なんて幸福みたいなもんだろ。
なんか言いに行くのもダルいな。
ってかこの旅もダルくなってきたぜ。
俺がアイツらと一緒にいる意味なんてもうねぇーようなもんだからここらでお別れしても………
コン、コン
「!?」
「カオス?帰ってますね。
入っても宜しいでしょうか?」
「う、うん、いいよ!」
「失礼します。」
「どうしたの!?
三人部屋だから普通に入ってくればいいのに!」
「少しカオスのことが気になって…。」
「僕の………こと?」
「実は……………少し前から帰っていたのです。」
「少し前から帰っていた?
じゃあ部屋に入ってくればいいのに。」
「その……… 部屋に入ろうとしたら外からでも聞こえるくらいの大声が中から……………。」
「………………」
「カオス、何か溜め込んでいませんか?」
「………………」
「………………」
「どうしてそう思った?」
「カオス?」
「どうして俺がそんな風に溜め込んでると思ったか聞いてるんだよ!!」ドンッ!!
「…!?」
「俺がお前を助けてからずっと俺のことを何だと思ってた!?嫌なことを嫌と言わずに何でもするお人好しだとでも思ってたか!?そんな奴がいる分けねぇだろ!!!」ガッ!
「カオス!落ち着いてくだ……」ググッ
「お前が偉そうに説教垂れてくんのも正直耳障りで仕方なかったんだ!!」
「!」
「お前はお前で俺のことを嘲笑ってたんだろ!!?」
「何のことですか!?私はカオスのことを笑ったりなどは……!」
「恩人とでも言っておけば調子に乗って自分のために動いてくれる駒みたいに見てたんだろ!?」
「一度だって貴方のことをそのようには「黙れ!!」」
「お前は俺が騎士を知らずに知ったかぶりで語っていたのを馬鹿にしていたんだろう!!!!?」
「………。」
「………。」
「カオス。」
「何だよ?」
「私は貴方のことを今日の今まで
まともに見ようとしてませんでした。」
「………眼中にも止まらねぇ奴だって言いてぇのか?」
「そうではありません。
私は貴方のことを
ずっと義兄と重ねて見ていました。」
「!!」
「私にとって義兄は頼り甲斐があって私の知らないことを何でも知っていて努力家で強くて優しいそんな理想の義兄でした。」
「………」
「私が助けを求めたとき義兄は必ず私を助けに来てくれました。
カオスはそんな義兄とよく似ています。
いえ!よく似ていました。」
「………?」
「有り難うございましたカオス。
私はカオスのことをそんな義兄に重ねて見ていてカオスなら、と知らず知らずに思っていたのかもしれません。」
「………。」
「失礼な話ですよね。
相手の目を見て話すようにと注意したりする私が一番カオスの目を見て話をしていなかったなんて…。
そうして私はカオスに義兄と同じものを求めて接していたんでしょうね……。
カオスはカオスなのに………。
レイディーさんを最低な人なんて言えませんね。
仲間に義兄の幻想を押し付ける私こそが最低な人です。」
「……………違う。」
「違いませんよ。
私はカオスに助けられておきながら貴方に私の理想を押し付けるような女なのですから。」
「違う!………僕は………!?」
「もう私に対して遠慮なんて入りませんよ。
私はカオスの全てを受け止めます。」
「お、………俺は!アローネが俺が騎士になりたかったことを知っていて騎士の本質も知らずに下らない幻想を持っている俺を馬鹿にしている「下らなくなんてありませんよ!」」
「馬鹿にだってしていません。
貴方の思い描く騎士像はとても素晴らしいものです。
世界には必要な像です。
その想いを捨てないでください。」
「けど聞いてたろあのレイディーの話を!?
俺のジジィの一族がこの国の騎士代表なんだ!
俺の想像とは完全に別の方向だ!
俺がなりたかった騎士なんてこの世にはいなかったんだよ!」
「他にいなかったから貴方は貴方の理想を諦めるのですか?」
「そうするしかないじゃないか!!」
「カオスがしたかったことは何なのですか?
世界を救いたかったのではなかったのですか?」
「救いたかったよ!!?
けど騎士は世界を救うようなものじゃなかった!」
「家系が何ですか!
騎士が何ですか!
世界を救いたいのなら世界に流されてどうするのですか!!!」
「!!」
「前例がないのならカオスが最初の騎士になればいいんですよ!
少なくとも貴方のお祖父様は貴方にその理想の騎士を目指すように仰った筈です!!」
「!」
「この国にはバルツィエの騎士の他にカオスという理想の騎士を追い求める人がいた。
それだけです!
カオスはバルツィエとは違います!
貴方はカオスという騎士なのですから!」
「…………………………………………………………………………有り難うアローネ。おかげで俺、思い出したよ。
俺のなりたかった騎士を。」