テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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心を覆うもの

リスベルン山 ??? 残り期日七十五日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァァァァァァ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナトル「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナトルの術によってカーヤの負った怪我は完全に癒えた。出血が酷かったため貧血でまだカーヤは立ち上がることはできなさそうではあったが上半身をかろうじて起こす程度にまでは回復したようだ。そしてカーヤはナトルを見詰めて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「………おじいちゃん………。」

 

 

ナトル「………何だ?」

 

 

カーヤ「………」

 

 

ナトル「………」

 

 

カーヤ「………カーヤは………生きていてよかったの………?」

 

 

ナトル「…お前が死ぬ理由など何もない………。

 お前は………彼等に死を振り撒く毒を消してもらったんだ。

 お前はやっと人に戻れた………。

 それならその拾った命はお前と彼等の物だ。

 これからはその命は自分のためにそして彼等のために使いなさい。」

 

 

カーヤ「…カーヤは………おじいちゃんが死んでほしいって思うならあのまま死んでてもよかったのに………。」

 

 

ナトル「………お前は私の言葉を忠実に守ろうとしていたんだな………。

 私がお前の前でそれを促すことを言ったから………。」

 

 

カーヤ「………うん………。」

 

 

ナトル「………無駄な苦しみを与えてしまったな………。

 ………さっきのはな………。

 …………………………、

 ………私はずっと………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………お前にお前を貶めるこのフリンク領から逃げ出してほしかったんだ………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーヤ「………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナトル「………お前を六年前に追放してしまってから私はお前が追放した先のどこかでヴェノムに呑まれて消えてしまうものだとばかり思っていた。

 あの時点ではお前がダレイオスを放浪して帰ってくるとは思いもしなかった………。

 あの事件で私は私の大切な家族二人を失ってしまい後に残されたものはフリンクの長としての勤めのみ………。

 

 

 私は………………フリンクの色に染まりきるしかなかった………。

 私の判断でその先のフリンクの情勢は変わってくる。

 私が指針を示さなければフリンクはダレイオスの他のどの部族よりも先に滅びてしまう、そう思った。

 私達フリンクは世界中のどんな部族よりも弱いのだ。

 弱い私達が生き残るには世界に対して柔軟に生きる必要があった………。

 弱いのならそれ相応の生き方をしなければならない。

 それ相応の生き方をしなければ私達フリンクはこの世界での未来はない………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………そうした考えで行動するようになってからお前が再び帰ってきた時には私は私の周りの者達と同様にお前を蔑むことしかできなくなっていたことにさっきやっと気付いた………。

 ………私はお前とロベリアを失うことによって肉体的や魔力的な強さだけでなく心までも誰よりも弱くなっていた………。

 私は臆病風に吹かれていたんだ。

 表面上は族長として正しくあろうとしていても結局は周りの顔色を伺っているだけで自分で物事を考えようとしないそんな対面でしか人と付き合えない愚かな長に………。

 ………だからお前を他の者達と一緒になって追い詰めたんだ………。

 私はお前達を失った時のような孤独に戻りたくなくて………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「…そういうことだったんだね………。」

 

 

ウインドラ「大切な人を失ってしまったが故に人との繋がりを求めたら彼には彼の大切な家族を傷付ける者達しか残ってなかったんだな………。」

 

 

ミシガン「フリンク族は皆カーヤのことを嫌っていたけど族長さんだけは周りに合わせてそうするしかなかったんだね………。」

 

 

タレス「立場というものがあるせいで自分を犠牲にする方向にしか舵をとれなかった………。

 ………結果カーヤがフリューゲルに戻ってきた後他のフリンク族達がしていたようなことを彼も一緒になってやってしまっていた………。

 …なんて虚しい人なんですかね………。」

 

 

アローネ「ナトル族長のカーヤへの想いは周囲が織り成す環境によって封殺されていた………。

 環境に適応することは大事ですがそれで彼は逆に苦しむことになったのでしょう………。

 大勢が絡んだ物事は大抵多数決によって議決される。

 少数がいくら反発したところで多数には敵わない。

 ………カーヤのことに関してはカーヤの味方はナトル族長一人だけになってしまい彼には多勢に逆らうことを放棄せざるをえずカーヤを傷付ける政策に従うしかなかった………。

 部族の長という役職から彼にはそれなりの周りの重圧もあったことでしょう。

 彼は自分で自分の気持ちを圧し殺すことを選ばされていたのです。」

 

 

カオス「…偉い人ってなんでもかんでも好きにできるわけじゃないんだね………。

 族長っていうくらいだから全部自分の思い通りの決まり事を決められると思ってたけど。」

 

 

ウインドラ「もしそんな奴が族長に選ばれても誰もそんな奴にはついてこないだろう。

 そんな奴は弾劾されて降ろされるだけだ。

 上に立つ者は必ず全体を見通してどう有益になるかを常に日頃から考えねばならない。

 それが責任ある立場というものだ。

 

 

 …例え自身を犠牲にするものであってもな。」

 

 

カオス「………大変なんだな………。

 族長とか………()()とかってのは………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

フラット「じ、冗談じゃない!!

 族長!!

 これはフリンク族全員に対する裏切り行為ですよ!!?

 そいつが何をしでかしたのかわすれたんですか!!?

 そいつはダレイオスのヴェノムの主を作り出した張本人「悪いが今は取り込み中なんだ後にしてくれ。」はうッ…!?」ドスッ!

 

 

 喚きだしたフラットをウインドラが首筋に手刀を打って気絶させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アローネ「………これからお二人はどういう道を選ぶのでしょうね………。」

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