テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 ??? 残り期日七十五日
ナトル「………これから貴殿方はどうされるご予定ですか?」
カオス「え?
えぇっと………。」
ウインドラ「このフリンク領での目的は達成されたようなものだからな。
これまでのようにヴェノムの主討伐の旅に………。
………今回は討伐ではなく無力化に成功したわけだが………。」
ミシガン「フリンク族的には次に私達にはブルカーン方面に行ってもらいたいんじゃないの?
なんかブルカーンの人達が変なのに命令されてるみたいだし。」
タレス「ここまで戻ってきた訳ですしこのままブルカーンのところに行った方が近いと思いますが。」
アローネ「スラートの方達からは順路で言えばアインワルド族の地方に向かうよう指示はされているので今のところは特にどちらに進むかはまだ………。」
ナトル「そうですか………、
………でしたら………、
貴殿方はこれまで通りの道順でアインワルド族の住まうユミルの森に向かってください。」
ミシガン「ユミルの森に?」
カオス「いいんですか?
カーヤを連れていくってなるとここの守りが手薄になってブルカーンが攻めてくるんじゃ………?」
ウインドラ「フラット殿はそれを考慮してここでの目的が果たされたらブルカーンの地方に進むよう言っていたが?」
ナトル「はい、
ここ数年でカーヤがこのフリンク領を守ってくれたお陰で幸いなことにブルカーンからの襲撃は今のところほぼ無くなりました。
いつまたブルカーンの襲撃が再開されるかは分かりませんが今はまだそこまで懸念するほどでもないでしょう。
他にもカーヤの功績によってフリンク族がヴェノムによる被害を防いでいたこともあってフリンク族には数だけは多いですからね。
私達のことは気にしないでください。」
アローネ「それで良いと仰るのなら私達はユミルの森に向かいますけど………。」
ナトル「…本来であればカーヤをバルツィエと罵り差別してきた私達がカーヤに頼ってフリューゲルの防衛を任せきりにしていたことが間違いだったのですけどね………。
自分達のことを自分達で守らずに貴殿方にお願いする立場にすらなかった。
そのことを深く反省しこれからは自分達で自分達の不始末をつけることにします。」
カオス「!
だったら洗礼の儀をしにフリューゲルに戻らないとフリンク族の人達がヴェノムが襲ってきた時に………!」
ナトル「いえ、
その申し出は有り難いですが今回は辞退させていただきますよ。
これ以上貴殿方の旅を遅延させるわけにもいきません。
貴殿方の救いを求める者達はまだ数多くいるのです。
ですからそこまで世話になるわけにはいきませんよ。
これは私達の六年ものリハビリにもなりますから。」
ナトルはカオス達の話をそういって断った。これからは自分達で自分の身を守る。そう宣言してカオス達の力を当てにしては意味がないのだと。
アローネ「…大変な道のりだと思いますよ?
長きに渡って培ってきた価値観を急に変えるというのは………。」
ナトル「そうでしょうね。
私もその周りの空気の流れに逆らえずに流されてしまった身です。
重々承知しております。
けれどもそれをどれだけ時間がかかろうとも変えていかなくてはなりません。
そうしなければフリンクはいつまでも弱小部族から脱却できません。
弱いということはそれだけで罪とはならないでしょうがそれを理由に誰かに守ってもらいそれを当たり前にしてしまうことこそが我らがカーヤに対して向き合わねばならなかったことです。
私達はカーヤを人として認めずに道具として扱っていた。
そしてカーヤはこんなフリンクに嫌気がさして出ていく………。
人として当然の感情です。
私達は罪深いことをカーヤに与えてきたのですからここらで人としての道へと軌道修正する時期が来たということです。」
タレス「…軌道修正しようとするのはいいことだとは思いますけどその考えに乗ってくれる人がフリンク族にいそうなんですか?」
ナトル「今のところはフリューゲルに後からやって来た後民から話を広げていこうと思っています。
先民………カーヤを生まれた時から知ってる者達はカーヤへの偏見が強いですから彼等を説得するのは難しいですから後民から少しずつ数を増やしていきます。
私一人でどこまでいけるかはまだ見当がつきませんがそれでもやりとげて見せます。
こういうことはカーヤの理解者が一人いるかいないかでも大分違ってくると思うので私から一人、また一人とやっていきます。」
カオス「…叶うといいですね。
その目標が。」
ナトル「えぇ、
精一杯努力して行けるところまで行ってみます。
………皆さんも、
必ずダレイオス再統一が果たせる日が来るのを心待にしております。
その時には私も微弱ながら皆さんのお力になれるよう尽力を尽くす次第です。」
………それからカオス達はアインワルド族が待つユミルの森に向けて出発する準備を始めた。一ヶ月近くかかったがそれでも精霊王マクスウェルが課した期日までまだ二ヶ月以上はある。このペースならきっと………、
ナトル「カオスさん。」
カオス「はい?」
いざユミルの森に向けて出発しようとするとナトルが話しかけてきた。
ナトル「…カーヤのことをお願いします。
貴殿方とならカーヤもやっていけるでしょう。」
カオス「…はい。
カーヤのことは俺達に任せてください。」
ナトル「えぇ、
どうかあの子を大事にしてやってください………。
………それともう一つだけ忠告と言いますか………。
…これは私達の失敗談によるところなのですが………。」
カオス「?
何ですか?」
ナトル「……わざわざカーヤのために動いてくださった貴殿方にこれはあまり関係ないとは思いますけども………、
…貴殿方は決して………、
………そんなのは私達だけで沢山です。」