テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
リスベルン山 麓 夜 残り期日七十五日
あれからカオス達はナトルと気絶したフラットと別れて次なる目的地アインワルド族の住むと言われるユミルの森を目指していた。当然カーヤも一緒で今は彼女はアローネ達の所で一足早くに就寝していた。
カオス「………」
カオスは一人他の皆が眠る中、ナトルに最期に忠告されたことについて考え事をしていた。
ウインドラ「眠れないのかカオス。」
カオス「!
………ウインドラ………。
………うん。」
ウインドラ「何か悩みごとか?
………今回この地方では色々あったからな。
そんなに思い詰めてしまうようなことも数々あるとは思うが休める時に休んでおくのも体調管理の一貫だぞ。」
カオス「それはそうなんだけどね。
ちょっと………どうしても自分じゃ解決できないことみたいでね。」
ウインドラ「………カーヤのことか?
今頃になってカーヤを連れてきたのが間違いだった………。
そう思っているのか?」
カオス「…うぅん、
カーヤを連れてきたのは間違ってなんかなかったと思うよ。
………俺が考えてたのは最後にナトルさんが言ってたことの方なんだけど………。」
ウインドラ「あれか………。
“立ち向かうべき相手を間違えるな”だったか………?
………確かに考えさせられる一言だったな。
ある意味この世界での真理に基づくことかもしれん。」
カオス「世界を半分回ってさぁ………。
最初ミストを出た時はおじいちゃんの家の人達がマテオで悪い評判ばかり耳に入ってきてたからショックは受けたけどそれでもそれを受け止めてバルツィエの家が悪さしてるんならそれと戦っていこうと決めてダレイオスまで来たんだけど………、
………なんか最近本当にバルツィエだけが俺達の本当に戦うべき敵なのかって疑問に思えてきて………。」
ウインドラ「…そう思う切っ掛けになったのはダインというバルツィエの中にも決して悪ではなく話せば分かってもらえそうな奴が現れたからだろう?」
カオス「………うん、
………そして………。」
ウインドラ「このフリンク領での彼等のような弱いこと、被害者である立場を理由にそのバルツィエの血を持つカーヤを酷く扱う者達が出てきた………。
俺の目からもバルツィエだからといって完全に悪ではないということも分かるしバルツィエと敵対して俺達に与する者達だからといって絶対に正義だとは断定できん。
俺でさえも今回のことで俺達の
カオス「………」
ウインドラ「マテオで横暴を振るうバルツィエの弊害がここで発生していたと一言で片付けられればよかったんだがそれを踏まえてもここの………フリンク族達は最低の言葉に尽きるな。
自分達が受けた痛みを与えた本人ではなく別の………全く他人という訳でもないがカーヤに与えていた………。
人とは誰かが憎いというだけでこうも醜くなれるものなんだな………。」
カオス「俺達って何のためにバルツィエを倒そうとしてるのかな………。
バルツィエがいなくなれば世界は平和になる。
そう信じてここまで頑張ってきたけど………、
………もしバルツィエがいなくなったら世界はどう変わるんだ?」
ウインドラ「………」
カオス「…なんかこのままバルツィエと戦ってバルツィエと勝っても平和になんてならない気がする………。
それどころかただ世界がフリンク族の人達みたいに憎い人達に憎しみをぶつけるだけの「カオス。」」
ウインドラ「その先は言うな。
俺も分かってる。
世界中の人々から嫌われるバルツィエを倒したところで世界は平和になどなりはしない。
そんなことはな。」
カオス「ウインドラ………。」
ウインドラ「だがそれでも世界の状勢的にバルツィエが今このデリス=カーラーンで最も強い軍事力を持つことは確かだ。
バルツィエが最終的に世界を掌握してしまえばあのラーゲッツのような輩がここみたいな憎しみの連鎖を増やしていくことは間違いないんだ。
ダインやカーヤのようなバルツィエはまだまだ少数の限りなんだ。」
カオス「………」
ウインドラ「俺達は戦争のためにダレイオスに再び国として立ち上がってもらおうとは思っている。
バルツィエに威嚇、対抗できるだけの頭数だけは揃えなければならない。
戦争とは結局数がものを言う世界だからな。
…しかし何も戦って倒すだけが戦争じゃない。
相手に脅威を抱かせて突き出した矛を収めさせるのも戦争終結の一つでもある。」
カオス「矛を収めさせる?
そんなことができるのか?」
ウインドラ「要は今のダレイオスにはマテオと終戦を結ぶ機関がない状態なんだ。
ヴェノムの主騒ぎでバラバラになってしまったダレイオスの部族達がもう一度一国家としてマテオに対等に認められてその上でマテオよりも軍力が上なんだと示すことができればマテオもそうダレイオスに手出しするようなこともないだろう。
奴等も自分達よりも強い相手に逆らおうなんてそんな愚かな連中じゃないはずだ。」
カオス「!!
じゃあダイン達と戦わなくてもいい道があるんだな!?」
ウインドラ「とは言っても俺達の働きとバルツィエ達次第なんだがな。
奴等が大人しく引き下がってくれないと話にならない。」
カオス「………そっかぁ………。」
ウインドラ「まぁそこまで非現実的な話でもないんだがな。
こういう可能性もなきにしもあらずだ。
………俺も戦わなくていいならそれでいいと思う。
ダリントン隊長達の仇はとってやりたいとは思うが欲をかいてまた新たな戦争の被害者が出て世界が悪い流れになってしまうことも考えられる。
…………隊長達を失った時は俺こそ復讐にとりつかれていたんだがな。
復讐なんかよりも今を生きている人達のことを考えなくてはなと俺も思うようになったんだ。」
カオス「そうだよね。
今を生きる人達がどうやったら生きやすくなる世界になれるかを俺達は探していたんだよね。」
ウインドラ「…始めの話に戻すが立ち向かうべき相手はバルツィエだ。
現状での俺達はヴェノムの主になるがこれはただの途中経過の話に過ぎん。
ヴェノムの主は………カーヤが発端だったがこれも辿っていけば
アローネが言うにはアインスの頃が発端だったようだがそれがどこかで残ってて地上に溢れでた。
そう解釈するしかないだろう。」
カオス「俺達の敵はバルツィエただ一つ。
けど殲滅が目的じゃない。」
ウインドラ「そうだ。
俺達はあくまでも
それだけを目指して突き進んでいこう。」
カオス「それが分かれば何とかこの先も頑張っていけそうだよ。」
ウインドラ「その調子でヴェノムの主を討伐しきってこの戦争を終わりにしよう。」
カオス「あぁ!」
考え事から解放されたカオスは体を休ませるべくアローネ達のところへと向かった。
ウインドラ「…本当に何でヴェノムは百年前に唐突に現れたんだろうな。
マテオとダレイオスがアルバさんの活躍で漸く調停が結ばれようとしていた時に………。」