テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしている。

 レイディーの話を聞いて絶望したカオスはアローネに諭され憧れた騎士の有り様を思い出す。


変わらない仲

安らぎの街カストル 宿

 

 

 

「さっきはゴメンアローネ。」

 

「いいのですカオス。

 私こそカオスに義兄の陰を押し付けていました。

 私こそ謝罪します。」

 

「アローネは悪くないよ。

 手を出しちゃったのは僕だから…。」

 

「それでもカオスを追い詰めていたことに変わりはありません。

 カオスのその心の痛みに気付いてあげられずにずっと貴方をここまで連れてきました。

 私の方が悪いのです。」

 

「僕は勝手についてきただけだよ。

 本当は只あの村から逃げ出したかっただけなんだ。

 そうすれば嫌なことを続けないで済むしアローネを守る騎士にでもなれると思って…。」

 

「貴方はもう立派な騎士の心をお持ちです。

 胸を張っていいのですよ。」

 

「僕は何もしてないよ。

 アローネの側にいただけ。」

 

「今私がこうしてここにあるということはカオスのおかげです。

 貴方が私を守ってくれたから。」

 

「僕は別に…。」

 

「もう俺とは言わないのですか?」

 

「いやそれは………。」

 

「貴方がずっと被り続けてきたその仮面はもう私の前では被る必要はありませんよ?

 貴方は貴方です。

 礼儀正しくあることが騎士なのではありません。」

 

「………。」

 

「どうですか?」

 

「急に自分の呼び方を変えるのも恥ずかしいものだね………。」

 

「仕事とプライベートのオンオフは騎士でもつけてます。

 騎士モードは私達の仲で使わなくてもいいのです。

 いい人でも悪い人でもカオスはカオスなのですから。」

 

「そうするよ。」

 

「はい。」

 

「………俺、タレスに全部話すよ。」

 

「はい。」

 

「俺の家のことも………。

 俺達の置かれている状況も。」

 

「そうですね。

 仲間の間で秘密ごとはない方がいいでしょう。」

 

「タレス離れていかないかな?」

 

「そうなっても………私はカオスの側にいます。

 どんなときも…。」

 

「アローネ…。」

 

「貴方の罪は私の罪ですから。」

 

「有り難う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 宿カオス部屋前

 

 

 

「随分と恥ずかしい会話してんなぁ。

 まるで結婚式の誓いを聞いてる気分だぜ。

 誰かに聞かれたらアタシだったらダレイオスまで逃げてるな。」

 

「だったらそのままダレイオスに逃げてもいいんですよ?」

 

「アタシがあの立場ならな。

 幸いなことに今は聞いてる立場だ。

 アイツらが逃げねぇように見張ってなよ?」

 

「カオスさん達は逃げませんよ。

 レイディーさんと違って。」

 

「ははッ言うねぇ。

 生意気なガキだ。」

 

「レイディーさんほどではないです。」

 

「アタシが生意気ってか?

 それもそうだな。」

 

「カオスさんがバルツィエ……。」

 

「どうすんだお前?

 お前の村を潰した仇の家のもんが目の前どころかずっと隣ににいたんだぜ?

 騙され続けてきたと思わねぇか?」

 

「カオスさん達はボクを騙してなんていません。

 お互いに事情を知らなかっただけですよ。」

 

「冷めたガキだなぁ。

 暴れだしたりしたいと思わねぇのか?」

 

「カオスさんはあの家とは関係ありません。

 ボクの村を襲ったバルツィエとはカオスさんは血筋がおなじだったとしても無縁ですから。」

 

「大人びてんなぁお前。」

 

「レイディーさんは子供っぽいですね。」

 

「やっぱお前ガキだわ。」

 

「レイディーさんに対して憎しみをぶつけてもいいんですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 宿

 

 

 

「そういえばアローネは自由時間にしてたけど何か見て回った?」

 

「はい、服の洗濯をしてから少々買い物を。」

 

「何買ったの?」

 

「秘密です。」

 

「ふ~ん?」

 

「カオスは?」

 

「俺?」

 

「カオスは何か買いたいものはないのですか?」

 

「買いたいものかぁ…。

 特に何か欲しいものは思い付かないなぁ。」

 

「それでは一緒に見てまわりませんか?

 タレスが帰ってくるまで時間もありますし。」

 

「アローネと?

 けどアローネもう買い物は終わったんじゃ…。」

 

「私はもう済ませて来ました。」

 

「何買ったの?」

 

「ここに来るまでに買い物が出来ませんでしたからね。

 女性には必需品の道具を取り揃えました。」

 

「あぁ、これって化粧道具?」

 

「はい、カオスに出会ってからは最低限のメイクしか出来ませんでしたので。」

 

「ミシガンも村ではいろいろ顔に塗ってたなぁ。

 いい香りとかも漂ってて。」

 

「カオスもお化粧しますか? 」

 

「僕………俺はいいよ。」

 

「カオスならそのもう少しで肩に届きそうな長い髪があるのですから綺麗様変りしますよ?」

 

「これは自分で定期的に切ってるからとくに伸ばしてる訳じゃないんだ。

 旅に出てから伸びたから後ちょっと伸びたら切るかな。」

 

「勿体無いですね。」

 

「そうかな。」

 

「そうですよ。

 なんなら私が後でカオスにメイクしてあげます。」

 

「いや遠慮しておくよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 商店街

 

 

 

「たくさん店があるだけあって売ってるものは全部違うんだねぇ。」

 

「同じものを扱っていたらお店が一つあれば十分ですよ。」

 

「そっか。

 それもそうだね。」

 

「カオスは何か気になるものでもあります?」

 

「気になるものねぇ……

 何があるのかまだ把握できてないから分からないよ。」

 

「あそこのお店はどうですか?

 昨日カオスが言っていた剣がありますよ?」

 

「剣かぁ………

 僕には木刀があるからなぁ。」

 

「試しに使ってみてはどうですか?

 木刀よりも切れ味はあると思いますよ?」

 

「いや、鉄の剣ってなんだか重そうだし振りが遅くなりそうだよ。

 それに俺の木刀はマナで強くしてるからあんまり関係ないよ。」

 

「カオスは実用性重視なんですね。」

 

「流石に必要ないものは持っててもねぇ。」

 

「では装飾などはいかがですか?」

 

「装飾って?」

 

「木刀を使い続けるのでしたらその木刀に改造を施して性能を強化するのですよ。

 先程タレスもあのお店でお持ちの鎖鎌に火の属性を付加して切れ味をあげてもらってましたよ。」

 

「そんなこと出来るんだねぇ。

 お金だけで出来そう?」

 

「お金の他に素材も必要みたいですよ?

 ここに来るまでにタレスはモンスターから剥ぎ取りをしていましたので。」

 

「火属性かぁ。

 タレスは何で火属性にしたんだろう?」

 

「それはレイディーさんが………」

 

「あぁ、氷だからか…。」

 

「レイディーさんも明明後日には別れるのですけどね。」

 

「まぁそれでもパーティに多く属性を使える人が増えるのは助かるけどね。」

 

「カオスが前衛、タレスが前衛の地と火、私が後衛の風とその他。」

 

「俺だけ無属性ってのも悪い気がするなぁ。」

 

「カオスは一番多く戦っているのでいいのですよ。

 私達はカオスのお手伝いのようなものですからそれで対等でしょう。」

 

「俺も何か木刀につけようかなぁ…。

 氷とか。」

 

「氷ですか。

 何故氷に?」

 

「レイディーさんの氷の力を見たら敵を足止めしてたでしょ?

 それを見てあれなら皆を効率的に守れんじゃないかなぁって。」

 

「カオスはいつも人のことばかり気にしてますね。」

 

「戦闘に関係することなんだからそれを意識しないとね。」

 

「カオスらしいですね。」

 

「僕は…俺だからね。」

 

「何ですか、それ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 宿 夜

 

 

 

「「ただいま」」

 

「お帰りなさい、有意義な時間を過ごせたようですね。」

 

「あぁ、おかげでな。」

 

「?」

 

「タレス、話があるんだ。」

 

「何でしょう?」

 

「実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうなのですね、分かりました。」

 

「……何も言わないのか?」

 

「カオスさんのお祖父さんがバルツィエだったのは驚きましたが時系列的にボクの村を襲った人達とは別の人でしょう。

 それならボクからカオスさんに対して言うことは何もありません。

 これからも旅にご同行させてください。」

 

「けど僕、………俺はずっとタレスに嘘をついて………。」

 

「嘘?

 何も嘘をつかれたとは思いませんが…?」

 

「俺はバルツィエだって言わなかったぞ?」

 

「最初の出会いがあれでしたからあの時はボクの方がカオスさん達に対して謝らなければならない立場です。

 過ぎてしまったことですからしょうがないですよ。

 それにフルネームでの自己紹介なんてこんな仲になるって分かってない限りそうそうしませんしね。」

 

「そういうものなのかな?」

 

「ボクは一緒にいたサハーン一味の人達の名字はいっさい知りませんよ?

 皆名前だけで呼びあってましたし。」

 

「そういうものなんだ…。」

 

「それに…」

 

「それに?」

 

「ボクの村を襲ったのはバルツィエでしたが、ボクの喉が治る切っ掛けはカオスさん達ですからね。」

 

「タレス…!」

 

「足を引っ張ることもあるかもしれませんがこれからも宜しくお願いします。」

 

「あぁ!こちらこそだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかったですねカオス。」

 

「あぁ!アローネのおかげだよ。」

 

「違いますよ、カオスが正直者なだけです。」

 

「いや、アローネがいなかったらとても言い出せなかったよ。」

 

「それでもお話出来たのですからカオスの行いの成果です。」

 

「ボクもカオスさんがカオスさんでよかったです。」

 

「タレス?」

 

「カオスさんはバルツィエでもいいバルツィエですから。」

 

「………有り難う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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