テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
アインワルド族の住む村アルター クララ邸 夜 残り期日七十三日
カオス「その精霊を受け入れられる器というものの解消方法とかはあるんですか?
その………薬とか………。」
クララやケニアがどうにも代々巫女が精霊との契約によって寿命を極端に縮めていることを深く悩んでいるようだったので興味本意にカオスは訊いてみる。巫女のことは先程知ったばかりだが昔後天性魔力欠損症を患っていた時の自分と重なって見えて何か自分に出来ることがあれば手を貸してあげたいと思うカオスだが、
ケニア「………残念ながら器については生まれた瞬間から既にその容量が決まっているようでクララの代ではどうすることもできないのです………。」
ケニアはクララが去っていった部屋を暗い表情で眺めながらそう言う。
アローネ「ではクララさんは………。」
ケニア「…代々巫女が少しでも長く生きられるよう
私達は巫女を中心として生活をしているため子供を作るのも皆同時期でして村で生まれる男児が不足するようなことにはなりませんがそれで選び抜かれた夫との子でも精々巫女の最長寿命を数ヵ月から一年程度更新するのがやっとですね。
………ですからクララも二十歳を迎えてしまいますし彼女が生きられる時間ももう後僅かにしか………。」
ミシガン「そんな………。」
タレス「その時が来たらクララさんが外の巫女達のように………。」
ケニア「………石化してしまうのでしょうね。
あの子の父親としてはなんとしてもそれをどうにかしたいと思いますがこればっかりはどうにも………。」
ウインドラ「………」
マクベル「…ずっとアインワルド族の巫女様が交代するのが早いのと毎回巫女様が
俺っち達も昔から気になってたでやんす。」
ケニア「この村で巫女に生まれた者は重大な使命を負うのと同時に普通に生きられる時間が必然的に少なくなります。
ですので私達はそんな彼女達を思い限られた時間でできるだけのことをさせてあげたく地位も村で最上位のものを与えております。
彼女達は人としての幸せをまともに桜花することもなく歴史に名を刻んでいくだけの人生ですから………。」
淡々と巫女の事実を語るケニアだが彼の表情からはそんな実情をどうにかしたいと思う気持ちが伝わってくる。
ケニア「………………もし、
………今のクララの代では彼女を救ってあげることは叶いませんがもし次の“
すぐにでもその方を巫女の婿養子として迎え入れたいのですけどね………。」チラッ………
カオス「…………………………………………………………
…………………!?」
ケニアは意味ありげな視線をカオスに送る。
ウインドラ「…!
まさかカオスを狙っているのか………!?
カオスにクララ殿と結婚させてアインワルドに引き入れようとしているんじゃないだろうな!?」
ミシガン「な、なんでカオスがこんな今日あったばかりの人と結婚しなくちゃならないの!?」
ケニア「ハハハ、
誤解ですよ。
私も本気でカオス様を婿にと、考えている訳ではありませんよ。
クララにはクララの使命があるようにカオス様にもカオス様の使命がありますでしょうから。
………ですがカオス様にはクララと
婿の選別としては申し分ないほどの………。
どうですか?
カオス様。
ほんのちょっとした冗談みたいな話ではあったのですがカオス様さえよければ私達アインワルドは貴方様を歓迎しますよ?
貴方様の使命、ダレイオス再統一が果たされマテオとの決着がついた暁に貴方様が
カオス「………俺は………。」
………正直自分が歓迎される理由が次代の優れた巫女の子供を作るためというのは微妙だがまだ確定でないにしても自分にしかできない、自分が必要だと言われて悪い気はしない………。
それどころか少し嬉しいと感じている自分がいる………。
ここで暮らすとしたらクララとの結婚は強制になるだろうがそれでも自分が誰かの役に立つのであればその期待には応えてあげたい………。
………それに伝説の大樹、世界樹カーラーンを守るというのは大変な名誉なことではないのか?
昔自分は大好きな祖父のように将来は誰かを守る仕事に就きたいと思っていた。
警備隊でも騎士でもなんでもいいから自分は誰かを守ってその誰かにお礼を言われてそうやってなんとなく過ごせていけたらな、と空想に耽っていた時期があった………。
それが世界樹ともなればある意味世界中の人々を守ることになるのではないか?
………だったら俺は………、
アローネ「駄目です。」
カオス「……アローネ………?」
アローネ「すみませんがカオスが戦後ここへ住むことはありません。
カオスは私と共にカーラーン教会にお世話になる予定がありますから。」
中々返事をしないカオスの代わりにアローネがケニアの提案をあっさり断る。
ケニア「………そうでしたか………。
それは残念です。
カーラーン教会で何をなされるかは詮索はしませんがそういうことでしたら私も引き下がるしかありませんね………。」
ケニアはアローネに断られてすんなりと引いた。
カオス「………アローネ。」
アローネ「………絶対に駄目ですよ。
その気もないのに無意味に話を引き伸ばしたりなどしますと相手に期待させてしまいます。
期待に応えられないのであればちゃんと断るべきです。
…カオスは仰ってくださったじゃないですか。
私と一緒にウルゴスの同胞を探してくれると。
忘れてしまったのですか?」
カオス「………そうだったね。
ごめん。」
ウインドラ「どうしたカオス。
何故すぐに断らなかったんだ。」
カオス「ちょっと………結婚なんて話いきなりだったから俺のことを言われてるのか実感が持てなかったんだよ。」
ミシガン「あぁー、まぁねぇ………。
今日来たのにいきなり結婚だなんて言われても困るよねぇ。」
タレス「ケニアさんもそんな本気にしてる訳じゃなさそうなので気軽に断っても問題無さそうでしたよ?」
カオス「………分かってるよ。
俺もそうなんじゃないかと思ってたし………。」
………本当に………、
どうして俺はさっき………、
すぐ断れなかったんだろう………。