テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 騎士を目指す少年カオスは日課の畑仕事中ミシガンと交流を深めていたがザックによってその場から追い出されてしまう。

 その後ザックの日頃の絡みをなんとかしたいと思うカオスはザックに決闘を挑むのだった。


敗北の糧に得た経験

「おい出来損ない何のつもりだよ!決闘ってよぉ!」

 

 

 

 

 

 日課の畑仕事をザックと一緒に追い出された僕はザックに決闘を挑む。

 

 

 

 

 

「何のつもりかって?いい加減下らないお前とのじゃれあいを終わらせるつもりだよ。」

 

 毎度毎度集団リンチ食らうこっちの身にもなってみろ!あんなもん1回でいいんだよ1回で!頻繁にはいらん!

 

「それで受けるのか受けないのか?」

 

「…グッ、クハハハハハァ!お前今までどんだけ俺らにやられてきたと思ってんだよ?」

 

「……」

 

「まさか毎日やられたことを寝て起きたら忘れてんじゃないだろうなぁw今までファイヤーボール一発あたっただけで終わるだけのお前が何でこのタイミングで決闘なんだよw!?」

 

「それは今日が色々と都合が良いからかな。」

 

「ハァ?何がいいってんだぁ?」

 

「で?」

 

「どうせ決闘っていっても魔術なしとかそんなアホなこ「ありだよ。」。」

 

「決闘始まったら相手を魔術でもなんでもいいから攻撃して戦闘続行不可能にすること。時間はもうすぐ日も暮れるから10分でいいかな。いつもお前が僕にやってることだ簡単だろ?」

 

「………いいのかよ?魔術が使えないお前じゃぁそのルールだと不利にしかおもえねぇぞ。」

 

「僕から提案したのにルールを翻す訳ないだろ?騎士道精神に反する。」

 

「何か企んでんのか?そこら辺にでも落とし穴掘ってるとかか?」

 

「今日この場に来るかどうかも分からないのにそんなもの用意できる訳ないだろう?それに魔術を使わずに直接叩きに行く僕の方がそういった罠に引っ掛かりやすいと思うけど?」

 

 疑り深いなぁ、それもそうか。

 今までカモにしてたオモチャが自信満々に刃向かってくるんだもんなぁ。

 何かないかと不審に思っても当然か。

 特にタネも仕掛けもないんだが。

 

「ハッキリしろよ。ミシガンが飽きて帰っちゃうぞいいのか?」

 

「!」

 

 今この場には仕事場を追い出された僕達の他に村長の娘さんのミシガンが来ている。

 最近ウインドラを通じて距離が縮まってたんだが今日はザックの横槍でオドオドしっぱなしだ。そんな仕草も天使のようだ。

 

 さっきもケンカの空気を感じて震えてたんだけども会話だけしかしない僕達を見て安心したのかハシっこの方で小さな虫を追いかけ回して遊んでいる。……スゲーなあの幼女。

 

 

 

 

 

「………分かったよ、受けてやるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 ………あっごめん何だって!?今ミシガンウォッチングで忙しいんだけど!何の話だっけ?あらザックいたの。

 

 そうだ決闘だすっかり忘れてたわ。コイツ考え込むの長いからつい余所に気が行ってたわ。

 だってミシガン可愛いんだもの。全くミシガンのせっ……いやミシガンのおかげで僕は今日前に進めるんだ有り難うミシガン!

 

「そうか、じゃぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんとにこんなんでいいのかよ!」

 

 僕達は決闘のため2人とも河原の水を横にしてお互いの距離は30メートルくらいに空けている。

 

「あぁ、問題ない!!」

 

 距離があるからいちいち大声で返事をしないといけない。

 

「お前のそれなんだよ!鉈や桑じゃなくていいのかぁ!」

 

 ザックが僕の持っている得物に疑問を感じているようだ。

 

 それもそうだろう。僕は角・材・を・2・つ・装・備・し・て・い・る・。・

 

「いいに決まってんだろ!分かりきったこと聞くんじゃねぇ!」

 

 特にこれといった特徴のない角材。強いて言うなら家などの建物を組むときに使われてた木材の廃棄だ。探せばもっとでてくる。

 

「ますます分からねぇなぁ!勝負捨ててんのかぁ!鉄の武器の方が強ぇだろぉ!!」

 

「それ使ったらお前死んじまうかもしれねぇじゃねぇかぁ!仮にも騎士目指してる僕がぁお前みたいなやつなんかでも一応王国民だから殺したりして捕まりたくねぇよぉ!」

 

 ハァハァ、あいつどんだけ質問してくるんだよ。大声で返事する身にもなれ。

 

 

 

 

 

 

 

「あぁああのぅ!準備ィいいィ?」プルプル

 

 僕達が質疑応答してると審判役を頼んだミシガンが確認をとる。レディーを待たせちゃいけないな。

 

「ミシガンちゃ~ん!こっちは準備OKだよぉ!」ニコッ

 

「おッ!俺も問題ないよ~!始めて大丈夫だよ~!」キラキラ

 

 コイツゥ、今ミシガンに色目使いやがったな?やっぱり包丁持ってくるべきだった!!

 

 

 

「それじゃぁ「ああっと!ちょっと待ってミシガンちゃんもひとつ忘れてた。ゴメンねぇ」。」

 

 いっけねぇ、勝った後のこと決め忘れてた。後で言っても突っぱねられそうだから先に約束させないと!

 

「おい、ザック!この決闘僕が負けたらサンドバッグでも何でも好きにしていいけど勝ったら金輪際僕に関わるなよ!!後ミシガンちゃんにもッ!」キッ

 

「あ、ハァァ!?お前は分かるが何でミシ「えぇい!うるさぁい!何でもかんでも質問すんなよどうなんだ!」……!」

 

 暫くザックは考えてたようだが顔をあげて

 

 

 

「まぁ、お前が俺様に勝つなんざ都合のいいマグレでも起こらない限り無理だがな。」

 

「僕を相手にしてマグレがあるんじゃぁお前も大したことないんじゃないか?」

 

「」ピキッ!

 

 ほう、どうやらあちらさんに火が付いたようだ。

 

「いいぜ!その条件で!始めてくれ!」

 

「ミシガンちゃん!頼むよ~。」サワヤカ~

 

「はぉ~い。」

 

 可愛いお返事テンション上がるぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではぁ、両者ァ、………えっとぉ、何だっけ?」

 

「両者ともに己が手に待つ剣に誇りと覚悟を乗せて戦うことを大樹カーラーンに誓え」コソコソッ

 

「両者ァ、ともに斧が手に持つ件に埃と覚悟をのせて叩くことを大樹カーラーン近ェ!」カッ!

 

 

 ゴメンねミシガン、【騎士の決闘の誓い】長すぎたよね。でも可愛いから大丈夫だよ!とりあえず、

 

「誓います!」 

 

「ソナタはァ?」ジー

 

「ち、誓います?」

 

 悪いなぁ、ザック!色々と騎士について吹き込みすぎたよ!でもいいもん見れたから満足だろ?

 

「それでは構えェ!」ノリノリ

 

「」グッ

 

「」ジリッ

 

「……はじめ?」クビカクッ?

 

 天使のコールで決闘が始まる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファイヤーボール!」

 

 開戦直後ザックからの無詠唱で火の魔術ファイヤーボールが飛んでくる。村でガキ大将やってるだけのことはありそれなりに速い火球が飛んでくる。だが、

 

「ッよっと!」

 

 こんな開けた場所で10メートル以上も離れた距離からの遠距離魔術など本の少し横にずれるだけでかわせる。こんなのキャッチボールで飛んでくるボールの方がまだ早いだろう。所詮は子供の魔力程度だ。

 

「へへーん、このくらい楽「アクアエッジ!!」うぉっとぉ。」

 

 避けたところに今度は水の魔術アクアエッジの刃が迫る。一発避けたら次が来る当然だ!それも地面にしゃがみこんでかわす。今度は少し危なかった。

 

「ストーンブラスト!!」

 

「!!」

 

 今しがたしゃがみこんだ地面が揺れだし僕の立つ位置を中心にして爆発する。

 

 僕は上空に放り出される。

 

「ハッハーァ!!一丁上がりィィー!!これで俺の「まだだ!」!?」

 

「いつもこんなくらいじゃぁ終わらないだろ?」クルッシュタッ

 

 僕は空中で身を翻す技法リカバリングで吹き飛びながらも体勢を立て直す。

 

「言っとくけどおじいちゃんだけじゃなくお前らのおかげで体の頑強さには自信あるんだ!1発当てたくらいで勝ったと思わない方がいいぞ!」

 

「ハッ!そうみたいだな有り難く思えよ!だけど状況的にはお前がただ攻撃食らって耐えただけじゃねぇか!これからお前に何が「10発!」!」

 

「魔術を使ったことは覚えてる限りないけど魔術を使うと生命力のマナを消費することは知識として知っている。だから当然お前が1日に使える魔術回数にも限界がある。」

 

「!!」

 

 ザックは気付く。僕の狙いがなんなのか。

 

「僕はお前が1日に10発以上魔術を放つところを見たことがない。」

 

 いつもオモチャにされている僕だからこそわかる。コイツはいつも5発目以降は苦しそうにする。恐らくマナが少なくて枯渇仕掛けるのだろう。だから8発目あたりからは子分に任せる。

 

「魔術さえなければお前は常日頃体だけを鍛えてる僕には敵わない。今日はあと7回かな?」

 

 そういえば畑でも最後にファイヤーボールを撃ってたな。……残り6回撃たせればコイツは魔力が使えなくなる。

 

「それがなんだ!お前だってたまに耐える程度でそこまで魔力耐性高くねぇんだろ!後2発もいれりゃ確実にお前は終わりなんだよ。」

 

 その通りだ。僕は今までコイツらとのケンカでま・と・も・に・食・ら・っ・た・魔・術・で・2・回・ま・で・し・か・耐・え・た・こ・と・が・な・い・。・

 

 さっきのやりとりそのままであとアイツが6回魔術を使えるならギリギリ僕はザックに負けてしまう。いや、10回というのも僕が日頃観察してこのくらいが限界だろうと大雑把に感じた予想だ。もし11回目があればキツイかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん?そうなのかなぁ?」

 

 

 

 

 

 

「……お前理解出来なかったのか?」

 

 ザックがバカにしたように聞いてくる。

 

「理解はしてるぞ。ただそれがなんでこの勝負の決め手になるかがサッパリだ。」

 

「痩せ我慢してっけど本当は結構効いてるんだろ?足下ふらついてるぞ?今すぐ楽にしてやろうか?」

 

 

 

 ……見抜かれてたか、長話して体力回復の時間を稼ぐチャンスだったんだけどなぁ。仕方ない。

 

「そっかぁ、じゃあ一思いにやってくれ。」

 

「結局こうなるんだろうがよぉ!いったい何が狙いの決闘だったんだぁ!ファイヤーボールゥ!」

 

 

 また火の魔術が飛んでくる。今度は

 

 

「」クルッ、シュタッ!!

 

 

 火の魔球を横にかわしながらザックに走り出す。当初の予定通りザックを直接叩きに行く。

 

「!?」

 

 ザックは驚いた表情を見せる。魔術を全てかわしてマナが枯渇してから攻めてくると思ってたようだ。

 

「誰も魔術切れまで待つと言ってないけど!!」ダダダッ

 

 ザックまで一直線!後10メートル圏内に入る。

 

「!!調子に乗るなァ!ストーンブラスト!!」バッ

 

 先程の地の魔術を発動させる。だがその魔術は…。

 

 

 

 走る僕の後方で地を爆発させるだけで終わる。

 

「!???クソガッ」ガッ!!

 

 そう魔術にも特性がある。火の魔術ファイヤーボール、水の魔術アクアエッジのように術者から直接放たれる魔術があれば術の対象の回りから発生させる魔術もある。今回は後者の方で地の魔術ストーンブラストは対象のいる地面に魔術をかけるものだ。

 

 魔術は物理攻撃と比べて遥かに威力が高いがが対処するのは案外容易い。

 

 そう敵から直線的にくるファイヤーボール等は左右に、そしてストーンブラストのようにこちらをマーキングして放つだけの魔術は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………ただどの方向にでも動くだけでかわせるのだ。

 

 

 

 

 

 

「ウインドカッター!!ファイヤーボール!!アクアエッジィ!」

 

 次々と魔術を避けながら接近してくる僕に対してザックはただ魔術を放つことだけしかしない。ってかバリエーションすげェなぁ。いつもファイヤーボールしか使ってないからそれだけなのかと思ってたぜ。でもこれで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザックとの距離、2メートル。手には角材を持ち、

 

「ほら、どうする?後1発くらい撃てるんじゃないか?」

 

「………!!」グググッ!

 

 僕に角材を突き付けられながらザックは苦虫を噛み潰す表情だ。

 

「こんな筈じゃなかったか?いつもこの逆だもんなぁ。どうしてこうなると思う?」

 

「てめぇ、…普段は手加減してたって言うのかよ!!」ゴホッ

 

 ザックが苦しそうにそう言ってくる。マナが限界近いのだろう。それに対して僕は、

 

「んな訳ないだろ?仕事も稽古もお前らとのいざこざも常に全力だよ!どれ一つ手を抜いたこともないし隠れて特訓してるわけでもない。」

 

「じゃぁ何で俺は今魔術を1つも使えない能無しでいじめられッ子なお前ごときにッィ!」ハァァッ!!

 

 

 

 

 

「単純な話だよ」

 

「……?」ハァハァ…

 

「お前が今ようやく誰かと本気でケンカをした素人だからさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺がケンカをしたことない素人だとおっ!?じゃあ、普段のてめぇとのアレは何だってんだ!!」ォッホ!!

 

 咳き込みながらも反論してくるザック。けどそんなものは決まってる。

 

「ケンカだね。」

 

「じゃあお前がいう話が「僕にとってはケンカだけど、お前がやってたのはケンカじゃなくて弱いモノイジメだろ?」!!?」

 

「常に僕はお前達に1人全力で立ち向かっていった。けどお前達からしたら孤独性で魔術を使えない上に畑仕事中に鉈や桑を振り回すおかしなやつにでも見えたんだろうな。はぐれモノが1匹いるからちょっとちょっかいかけてみようぜ、くらいの浅はかな考えから始まったんだろう!」

 

「…。」フゥフゥ…

 

「そしてそれから僕に子分達と一緒になって遊び感覚でからかいに来たなぁ。それも毎日と言っていいほど。気付かなかったか?お前らの無茶な遊びに誰も大人達が止めに入らないことを?別に大人達はお前らが恐いとかじゃねぇぞ?」

 

「はぁ?んなもんおめぇが大人達からもハブ「僕が修行の相手をしてもらってるって言ってたからだよ!」」

 

 いちいち期待通りのことを言ってくるのでついつい喋ってる途中で自分のセリフを被せてしまう。

 

「基本的に暇なときは僕を虐めるくらいしかしない連中どもだ。いつもは集団で向かってくるから勝てる訳がなかったけどバラけさせてみると案外こんなもんなんだな。そのお山のトップがお前だよザック。」

 

「…」フゥ…

 

「確実に自分よりも格下で弱くて勝てるやつしか相手に出来ないんだろ?プライドは高いけど実力は精々平均前後くらいしかないから自分より弱い連中集めて偉ぶってアピールしてないと落ち着かねぇんだろ?」

 

「……」フゥ…

 

「今日のこの結果も日頃お前がどれだけ不真面目な奴か顕著に出るな。ウインドラなんかは僕につき合っていろんなことしてるからその差が「結果ッてなんだ!」る。…」

 

 僕が喋ってるときに被せてきた。さっきの仕返しか?何をいまさら。

 

「まさかもう勝った気でいるのか?」フッ…

 

 ここに来てさっきまでの慌てようから急に不敵な態度をとるザック。

 

「…もう次の1手で決まりそうなんだけど。」

 

「俺がここからもう脱せないと思ってんのか?」

 

「強がるなよ、この距離でもお前の下手な魔術は避けられるぞ?第1魔力もそろそろ限界だろ?ここで降参するなら怪我しなくて済むぞ?」

 

「そうなのか?それじゃぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

避けてみろよォッ!!!アイシクルゥッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突に僕の体が凍った。

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