テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
林道エサーリでクエストを終わらせた三人はカストルの酒場で奥義書を渡される。
それはかつてカオスが使用していた奥義書の続編であった。
安らぎの街カストル 酒場 夜
「報告終わったよ。
明日の昼には確認して貰えるってさ。」
「そうですか。
それにしても長く掛かっていましたが何を話し込んでいたのですか?」
「ちょっとね、そうだタレス。
この後また特訓しない?」
「えぇ、いいですが…?」
「よし、じゃあ外に行こうか!」
「分かりました。」
「カオス?
もう行かれるのですか?」
ルルカ街道 夜
「では手合わせいたしましょう。」
「よし!全力で来い!」
「魔神剣・双牙!!」ザシュッ!ザシュッ!
「!?……魔神剣の二連撃!?
槍波とは違う!?」バッ
「やっぱり動かれるね!氷魔神剣!!」ザシュッ!
「当たりません!!それ!!」タッタッタッ、ヒュッ!
「こっちもパターンはお見通しだよ!」カンッ!
「今です!孤!「(孤月閃か!!)」」ヒュッ
「円閃牙!!」ブンブンブンッ!
「うおっと!?」カンッカンッカンッ
「グレイブ!!」ドガァッ!
「こんなもの!効かないよ!剛魔神剣!!」バキィィンッ!!
「!二つ目の新技!?グッ!」ガガガッ
「決まりだね!」
「またボクの負けのようですね。」
「タレスとやると楽しいなぁ。
動き方が参考に出来るよ。」
「それはボクも同じです。
カオスさんは強いですからね。」
「それほどでも。」
「しかしカオスさん、今の手合いの中で新しい技を二つも使ってましたね。」
「タレスも使ってたじゃないか。
孤月閃が来ると思って驚いたぞ。」
「ボクの技は単純なものですよ。
初動は同じで鎖の中間値点を掴むだけで鎌が円上に振り回しているだけですから。」
「なるほど、それで孤月閃の連撃のような技になるんだね。」
「一人で連携する場合は連撃も入れないといけないと思いまして。
それでカオスさんの新技はどうなさったんですか?
技名も既にあるようですし。」
「実はさ、さっき酒場で店員さんから懐かしい本のシリーズ物を見せてもらってさ。
この本の続きなんだけど。」
「バルツィエ流剣術指南書魔神剣?
これって………バルツィエの奥義書ですか?
どうしてカオスさんが?」
「おじいちゃんがいなくなったときに部屋で見つけたんだよ。
おじいちゃんの形見のようなものだね。
これには魔神剣しか書いてないんだけど、店員さんから見せてもらった本には接近専用の魔神剣と遠距離用の魔神剣の次の段階の技が載ってあったんだ。」
「載ってあったって………それをもう使えるようになったんですか!?」
「魔神剣はもうマナを消費しなくても出せるくらいには馴染んでるからね。
その次の魔神剣を使ってみるのなんて楽だったよ。
技もそんなに難しいモーションじゃないしさ。」
「ですがカオスさんが読んでいたのはほんの五分くらいでしたよね。
受け付けのときでしょう?」
「そうだけど、魔神剣なら楽勝だよこれくらい。」
「その奥義書はどうしてギルドにあったのですか?」
「あぁ、あれおじいちゃんが昔置いていったやつだったよ。」
「カオスさんのお祖父さんがあのギルドに?」
「話を聞く限りおじいちゃんも昔ギルドでクエスト請けに来てたことがあったみたいでね。
その時の忘れ物だって。」
「ではその奥義書はカオスさんが引き継ぐのが正しいのではないですか?」
「どうして?」
「その本はアルバートさんの形見なんでしょう?
だったらカオスさんが受け取るのが筋だと思いますよ。」
「あぁ、別にいいんだよ。
あの本はあそこにあったままで。」
「形見の一つじゃないんですか?」
「あの本のことはもう全部学んだよ。
俺が独占したところで俺以外読まないだろ?
本は誰かに読まれるためにあるものなんだから。
あの本が誰かのためになるんならあのギルドにあったままでいい。
それに俺がアルバート=ディラン・バルツィエの孫だって証明出来ないしね。」
「カオスさん………。」
「俺にはこの二つの技とクエスト代だけで満足だ。
これ以上は貰いすぎだよ。」
「クエスト代と言ってもヴェノムの案件は普通なら騎士団の相場が正しいんですよ?
ワクチン代が高いと言うのは本当の話ですから、もっと貰ってもいい筈ですが。」
「別に俺はお金持ちになりたくて旅をしているんじゃないんだ。
いつかはミストにも戻るし、そうなるとお金なんて必要ないんだよ。
世界が経済で回っているのなら無駄に持ってても必要ないし。」
「ミストに?
でもカオスさんは指命手配されたんじゃ?」
「あぁ、そうだよ?
だからアローネの旅を終わらせてから殺生石をどうにかしたら罪を償ってからミストに戻るんだ。」
「!!」
「指命手配の犯罪者のままじゃあミストに迷惑がかかるからね。
一旦手配書を取り下げてもらうには捕まって罪を償うのが手っ取り早いだろ?」
「カオスさんは牢獄に入るおつもりなんですか!?」
「そうだね。
罪を犯したのならそれがルールらしいからね。」
「カオスさん、でもそれは…。」
「ルールを知らなかったとかそんなのは関係ないんだ。
破ってしまったならそこから学んで次に繋げていかないと。」
「牢獄に入れられたら簡単には出られませんよ!?
毎日ずっと同じ空間に閉じ込められて誰とも会えず地獄のような生活になるんですよ!?」
「覚悟してるよ…。
地獄がその程度ならなんとかやっていけるさ。
そんなのはもうこの十年でやってきたことだ。」
「カオスさんが牢獄に入ったらボクは………ボクはどうすればいいんですか!?」
「タレスは………ダレイオスに返すさ。」
「え?」
「ダレイオスに故郷があるんだろ?」
「故郷はもう………。」
「そっか、悪いね。
でもこのままマテオに居続けるよりかはずっと安全に暮らせるだろ?
タレスはマテオの人じゃない、ダレイオスの人なんだから。」
「ダメです………。」
「タレス?」
「ボクはカオスさんとアローネさんの助けになれるためにご一緒しているんです!
そんな形で終わるのはダメです!」
「………じゃあタレスはどうしたいんだ?」
「アローネさんのウルゴスは必ずや見つけ出しましょう!
そしてカオスさんが捕まると言うのならボクも一緒に捕まります!
そうです!自主します!」
「おいおい、タレスは何もしてないだろ?」
「いいえ!しました!
サハーンの盗賊団に入って沢山悪いこともしました!
ボクだって立派な犯罪者です!」
「胸を張って言うようなことじゃないだろう…。」
「その犯罪者のお頭が捕まると言うのならボクも捕まります!」
「犯罪者のお頭?」
「カオスさんです!カオスさんが捕まるときはボクも捕まりますよ!」
「タレスを巻き込むつもりはないんだけどなぁ。」
「もう関係者です!
カオスさんはボクにとってお兄ちゃんのような人ですから。」
「お兄ちゃん………。」
「否定はしなくてもいいですよ。
ボクが勝手にそう思っているだけですから。」
「そっか。」
「決まりですね!
ボクはお頭にずっと着いていきます!」
「お頭は止めてほしいなぁ…。」
「ではお兄ちゃんですか?」
「それもいいけど今まで通りで頼むよ。」
「はい!」
「さて今日はもう宿に帰ろっか?
明日もまた疲れるだろうから。」
「そうですね。
今日はこのくらいにしときましょう。」
「お兄ちゃん………か、いいな。」