テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
アインワルド族の住む村アルター 夜 残り期日五十五日
カオス「………本当に時間が一番の敵になるなんてなぁ………。
ここに来るまでは時間なんてそんなに気にする程のことじゃないと思ってたのに………。」
ヴェノムの主討伐の旅が始まって数ヵ月。ここまでは九体いるとされたヴェノムの主を順調に短期間で倒してこれた。ブルータル、クラーケンの二体は遭遇したその日に討伐しジャバウォックはいつの間にかレイディーによって倒されていた。続くビッグフロスター、グリフォン、カイメラはこれらの討伐に四十日をかけたが三体をウィンドブリズ山で同時に倒すことができ何とか遅れを取り戻すどころか幾分の余裕が生まれた。そしてヴェノムの主の生みの親フェニックス=カーヤもその力を封じフリンク族のヴェノムの主はこれ以上誕生することもなくなり一応の新たなヴェノムの主が出現する可能性は消えた。この時点で残りヴェノムの主はアインワルドのアンセスターセンチュリオンとブルカーンのレッドドラゴンの二体を残し残り時間は七十日と少し。トータル的にヴェノムの主一体倒すのにカオス達がかける時間は
しかしラタトスク曰くここでアンセスターセンチュリオンを再誕させないようにトレントを狩り尽くす見込みは残り期間五十五日の現時点から一ヶ月半。一ヶ月半=四十五日とシンプルに考えればトレント達を全て倒し終る頃には残り期日は十日………。カオス達はレッドドラゴンは確実に倒せる相手と見定めて考えている。カイメラの時にレッドドラゴンとは一度カイメラの変身形態の一つとして戦った。実力も上がってきたカオス達なら逆にカイメラのような強力な魔術耐性が無いであろう劣化レッドドラゴンならば倒しきることは必然だ。時間さえあればレッドドラゴンは倒せる。時間さえあれば………。
その時間が無いのだ。
カオス「(………もっといい方法を考えないとこのままじゃ不味い………。
アローネの作戦は誰も傷付かずにトレントを倒せるいい作戦だったけどあの方法のままだとどうしても時間が足りなくなってくる。
森でその場から離れにくいトレント達をもっと多く一ヶ所に集めて………。)」
クララ「カオス様?」
カオス「!
クララさん。」
クララ「いかがなされましたか?
何やら難しいお顔をしておられましたが………?」
カオスがまた一人でいるところにクララがやって来る。この人は何かと自分のことを気にかけてくる。村の長としてカオス達来客者の同行が気になるのだろう。そしてその来客の中で代表みたいなものが自分なのだからそれもそうなるのだろうが………。
クララ「……何やらカオス様方はトレントを殲滅するのにかける期間が懸念されているようですね。
なにか他にお急ぎのご予定が?」
カオス「そういう訳じゃないんですけど………。
アインワルドの人達にも早くこの森を安全に出歩けるようにしてあげたくて………。」
嘘は言っていない。それもカオスが親しくしてもらったアインワルドの者達に対する感想だ。ただカオス達にはそんなことよりももっと大きな急用があるがそれを喋る訳にはいかなかった。故にここは真実を他の事実で被せて隠した。
クララ「そうですか………。
それは誠に有り難きことです。
ですがあまり思い詰めなくてもよいのですよ?
アンセスターセンチュリオンが現れてからもう六年にもなりますが私達はそこまで不自由している訳ではありません。
私達にとっては世界樹カーラーンを何者にも知られずにひっそりと守り通していくことが使命ですからそういう点に関しては今の現状は特に困っている状況でもないのです。
トレント達は巫女の結界で、その他の者達はトレントによってこのアルターが阻まれていますから。
ですからカオス様にはごゆるりとトレント達の討伐をお願いします。
それこそ一ヶ月半と言わずに二ヶ月、三ヶ月………一年以上かけてしまっても私達に文句などありません。
それどころかカオス様がその分長くアルターにいてくださるなら私は………。」
カオス「………」
またあの時と同じ雰囲気になりつつあった。数日前のクララの視線はカオスに何かを求めているようなそんな眼をしている。一度断りはしたがあの例の結婚の話はもしや本気のつもりなのか。カオスは段々初日にケニアと話していたことをクララが冗談でかんがえているようには思えなくなっていた。
カオス「(……クララさんは悪い人じゃない………。
どっちかと言うととてもいい人だ。
初めて会った時から何故かそこまで距離を感じない………。
………多分
話し方もそれなりに責任ある立場にあること似ててまるでアローネと話しているみたいだ。
アローネは………どうなんだろう?
俺がもしクララさんの話を真に受けて結婚なんかしたら………、
………だけどそれだと俺はこのアルターに住むことになるよな?
それだと俺はアローネと一緒にカーラーン教会には………。
………………いやいやまだ俺達にはヴェノムの主を早く倒しきってしまわないと世界が………。
………世界がマクスウェルに破壊し尽くされる心配がなくなったらその後は………?
アローネとの関係は結局最初から最後まで
全てが終わった後は戦いも無くなって平和な世界になる。
そうなった時戦うこと以外に何の長所もない俺がカーラーン教会にアローネと一緒に身を寄せてもいいのかな………?
俺なんががアローネの同胞探しに何の役に立つんだ?
…俺一人いよういまいがでアローネの同胞探しには何の影響も無いと思う………。
無駄に穀潰しが一人増えるよりかは俺なんかいない方がカーラーン教会は正常にアローネと同胞探しが出来るんじゃないか?
それだったらここでアインワルドの人達と一緒に世界樹カーラーンを守っていくことの方が有意義なんじゃないかな………?
守る………誰かと戦うってことなら俺も自分の力を使うことができるしアインワルドの御子も誰か強い器を持った巫女の相手を探しているみたいだしそれなら俺が………、
だけどアローネが………。
………どうして俺はこんなにアローネのことが気になるんだ………?
アローネには他に好きな人がいるのに俺はどうして………。)」