テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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旅路の終わりには…

アインワルド族の住む村アルター 夜 残り期日五十五日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラタトスク『なぁ、おい。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……!?」ビクッ!

 

 

 突然クララからクララ本人とは別の声が発せられる。ラタトスクだ。

 

 

ラタトスク『…お前に聞きたいことがあるんだがいいか?』

 

 

カオス「な、何ですか………?」

 

 

 クララの顔で全く違う口調で話し出すのでどう返事を返せばいいのか迷い無難な受け答えしかできなかった。どうも精霊は苦手だ。

 

 

ラタトスク『お前………、

 ここに来てから気にしてる様子もなかったからお前にとっては()()が当たり前なんだろうと思って俺も訊かなかったんだが………、

 お前のそれはどうなってるんだ?』

 

 

カオス「そ、それ?

 それって何のことですか?」

 

 

 

 

 

 

ラタトスク『お前のその体質のことだよ。

 お前の中にいるマクスウェルって野郎は何でそんなに…、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マナをかき集めてるんだよ?』

 

 

カオス「!」

 

 

 ラタトスクがカオスに指摘したことは以前にカオスがセレンシーアインでアローネに話したことであった。精霊マクスウェルはシーモス海道での出現から始まりカオスの中に潜みながら周囲のマナを吸収しだした。カオスの中に憑依するまではミスト村の殺生石の中で自らに触れし者のみのマナを吸収していたのだが現在は空中に漂う無数のマナを吸いとり続けている。同じ精霊種なだけあってラタトスクはマクスウェルのマナ吸引に気付いたようだが、

 

 

ラタトスク『そいつがそれをやってるのはここに来てからじゃないよな?

 ミーア族の奴等の話では数ヵ月前にトリアナスでそいつがあの流星群を降らせてたようじゃねぇか。

 俺達もあの時のことは知ってる。

 

 

 そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

 

カオス「……!?」

 

 

 流石に精霊だけあって知られていた。クララにはマクスウェルがミストにいた時からその存在を知られていた。千里眼とも呼べるその力の源はラタトスクだ。ならばラタトスクにも当然同じ様にマクスウェルがどこで何をしていたか探ることができるのだろうが………、

 

 

ラタトスク『ここに来て他と違って違和感を感じなかったか?

 ここには無限にマナを生み出す世界樹カーラーンがある。

 この村のマナの濃度は他の場所の数倍はあるんだ。

 それなのにお前とお前の中のそいつはここのマナすらも御構い無しに吸い込んでいってる………。

 ………お前………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなにマナを集めて体が耐えられるのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラタトスク『…そいつが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()俺でも分かる。

 そのためにマナを集めてるんだろうからな。

 だがそれよりも俺はお前の体の方が疑問だぜ。

 よくそんな人の体でそこまでマナを収められるな?

 アインワルドの巫女でもそんなマナを一度に吸い込んだら途端に石化してるだろうぜ。』

 

 

カオス「それは………。」

 

 

 自分ですら何故こんな体質なのかは分からない。自分はミストの村でミストの住人として普通に生まれてきただけなのだ。親族は祖父だけで祖父の家柄は昔カタスティアから過去の遺産を受け取りそれを悪用して自分達のマナを強化した。ツグルフルフがそれに関係しているということぐらいしかカオスは知らないのだ。カーヤの話を聞く限りではそれはもう遺伝子レベルでそういうことになっている。バルツィエは他のエルフ達よりも遥かにマナを内包できるということなのだろう。

 

 

クララ「ラタトスク!

 カオス様が困っているではないですか!

 不躾ですよ!」

 

 

ラタトスク『そうは言うがよ?

 俺から見てもこいつの中に溜まってるマナはそりゃもうえげつないことになってるぜ?

 まるで満杯に溢れだしそうなダムみたいになってやがる。

 いつ決壊してもおかしくないほどにな。

 このアルターに来てからそうなったのかは知らないがこいつはいつか暴発する爆弾だ。』

 

 

クララ「カオス様は爆弾などではありません!

 ()()()()()()()です!」

 

 

ラタトスク『俺は見たままの事実に触れてるだけなんだがな………。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………」

 

 

 カオスがラタトスクの質問になんと答えようか考えている内に目の前でクララとラタトスクの一人言のような会話がなされている。端から見れば珍妙な光景だが自身もこれと同じ様なことを以前にマクスウェルと交わしたことがあったので不自然に思うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 それよりもカオスはクララが自分のことを()()()()()()()と述べたことに意識が向いていた。

 

 

 仲間以外でここまで自分のことを人として見てくれた者は初めてなのではないか?カオスはミストにいた時から自分は人とは違う化け物だと思い込んでいた。それは実質的には精霊マクスウェルが自身の中に入り込んでいてその力をカオスに与えていてその力が普通のエルフ達とは一線を引くような能力があったからだ。

 

 

 人に倒せない化け物ヴェノムを倒せる。化け物を倒せるとしたらそれはその化け物を上回る化け物だけだ。ミストの住人達はカオスを化け物と呼んだ。十年前のあの日からカオスはずっとミストの住人として達から化け物として認識されている。だからカオス自身も段々と自分が化け物であると思い始め最終的に化け物として自分の中で決着していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それでもクララはカオスのことを人=エルフと言った。

 

 

 仲間達からも自分は化け物ではなく人だと説得されたこともあったが少なからず仲間達とはそのことでいざこざがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それがこのアルターでは村人全員がカオスやクララの事情に精通している。この村ではカオスのようなシャーマンは巫女一人しかいないが珍しい存在ではないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………カオスはカオスの中でアルターの存在が徐々に大きくなってきているのを感じ始めていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「(……ここでなら俺は………普通の………、

 普通のエルフとして生きていける………。

 そんな………そんな気がしてきて…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は………………。)」

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