テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしている。

 カストルでクエストを受けた三人はオリュンポス山へと赴く。

 そこでは幼いながらも強力なバルツィエの少年がヴェノムを殲滅していた。


誘拐されるアローネ

安らぎの街カストル 宿 夜

 

 

 

「今日で五日目かぁ。」

 

「旅人ともなるとそろそろ次の場所に移るべきですが…。」

 

「なんだかこの街は居心地がいいのでもう少しゆっくりしたいですねぇ。」

 

「いいんですか?

 カオスさんは殺生石の手懸かりはレイディーさんのお話である程度情報を得ましたがアローネさんのウルゴスはまだ情報どころか何の手懸かりも見つかっていませんのに。」

 

「それは………。」

 

「焦ったって仕方ないよタレス。

 カストルには多分知っている人はいないんじゃないかなぁ。」

 

「そのようですがアローネさんはあまり聞き込みに積極的ではなさそうですよ?」

 

「そうなのアローネ?」

 

「………私の推察ではこの近辺の方はお聞きしても恐らく得られる情報は何もないのではないかと思います。」

 

「どうして?」

 

「カオスとタレスが特訓をしている際は私もギルドでお話を伺ったりもしているのです。

 ですが………。」

 

「誰も知らなかったってことか………。」

 

「そのようです………。」

 

「このまま王都に行ってみてからの方がいいのかなぁ。」

 

「大きい街とは言っても王都に比べますと情報の遅れなどが生じていますからどこかでウルゴスの情報が途絶えているのかもしれませんね。」

 

「私の件に関しましてはまだそんなに急ぐ用でもありませんのでもう暫くはこのままでいいですよ。」

 

「アローネ………無理してない?」

 

「………何のことでしょうか?」

 

「気のせいだったらいいんだよ。

 それとさ、ヴェノムクエストってかなり報酬が多いから一度宿も個室に変えてもらわない?」

 

「個室ですか?」

 

「個室にしますと料金が嵩みますよ?」

 

「一日二日じゃあ、そんなに大したことないでしょ。

 最近じゃあずっと一緒に行動してるから一人になる機会も少ないしたまには俺も寝相を気にしないで寝てみたいよ。」

 

「ボクは気になりませんよ?」

 

「え!?

 俺って寝相悪かった?」

 

「カオスが言ったことではないですか。」

 

「そうなんだけど、

 今更になって言うのもなんだけど女性と同じ部屋というのもなんかいけないような気がするんだ。」

 

「夜営で何度も御一緒だったではありませんか?」

 

「アローネ、少しは気にしようよ………。」

 

「………そうですね、気分を変えてみるのもいいのかもしれません。」

 

「お二人がそれでいいのなら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオスさん。」

 

「ん?なに?」

 

「アローネさんに気を使ったんですか?」

 

「あれ?バレバレだった?」

 

「あそこまであからさまでは逆に疑われてしまいますよ?」

 

「………今度からもうちょっと上手くやってみるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 宿 深夜

 

 

 

「カオスさん!」ドンッドンッ!!

 

 

 

「………んん?どうしたのタレス。

 こんな夜更けに?」

 

 

 

「さっき起きたらドアにこんなものが!」

 

 

 

【お前達の仲間の女は預かった。

 返してほしければワクチンを持って一時間後に街の外へと来い。

 ワクチンを持って来なければ女の命はない。  漆黒の翼】

 

 

 

「これって誘拐!?」

 

 

 

「アローネさんの部屋も確認しに言ったんですけど鍵が掛かったままで、中からは物音一つしませんでした!」

 

 

 

「どうやら悪戯じゃあなさそうだな。

 ワクチンを持ってこいだって!?」

 

 

「昼間ギルドでボク達のことを盗み聞きしてた人の犯行だと思います。

 ワクチンの話しはあそこ以外ではしていませんから。」

 

 

 

「何でワクチンを催促するんだ?」

 

 

 

「ワクチンは高額で取り引きが行われます。

 この犯人はワクチンを手に入れて売るつもりなんですよ。」

 

 

 

「なるほど………、けど俺達はワクチンを持ってないぞ!?」

 

 

 

「犯人はワクチンを持ってると勘違いしているみたいですね。」

 

 

 

「クソッ!この手紙が来てからどのくらいたった!?」

 

 

 

「分かりません…。

 ボクもトイレで目が覚めたらドアに挟んであったので…。「……!!」」ダダダッ

 

 

 

「カオスさん何処に行くんですか!?」

 

 

 

「今から騎士団の駐在所に向かう!

 そこで事情を話してワクチンを借りてくるんだ!」

 

 

 

「そんなこと無理ですよ!

 ワクチンは只でさえ管理が厳しいんですから!?

 それにカオスさんとアローネさんは騎士団とは…!」

 

 

 

「人命が掛かっているんだ!!

 そんなこと言ってられないだろ!」

 

 

 

「待ってください!カオスさん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 街の外

 

 

 

「………。」

 

 

 

「クククッ…お前の仲間は手紙を読んでどうすると思う?」

 

 

 

「お姫様の為ならワクチンを持ってくるしかないよなぁ?」

 

 

 

「それともワクチン惜しさに見棄てちまうかなぁ?」

 

 

 

「そしたらどうなるんだろうなぁ?」

 

 

 

「………カオス、タレス。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安らぎの街カストル 騎士団駐在所

 

 

 

「スミマセン!!」

 

 

 

「何だ?こんな遅くにどうしたんだ?」

 

 

 

「これを見てください!!」

 

 

 

「………!」

 

 

 

「さっき俺達の宿にこの手紙があって俺達の仲間の一人がいなくなっててそれで………!」

 

 

 

「………。」

 

 

 

「仲間が誰かに連れていかれてしまって、

 犯人がワクチンを持ってこいって指示してたんですけど、ボク達ワクチンを持ってないんです!」

 

 

 

「だから!だから俺達にワクチンを貸して貰えませんか!?

 すぐ返しますから!」

 

 

 

「………」

 

 

 

「お願いします!仲間の命が掛かっているんです!

 一粒だけでいいんです!

 どうかお願いします!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目だ。」

 

 

 

「「!!?」」

 

 

 

「ど、どうして!?」

 

 

 

「フン!こんな紙切れ一枚だけじゃあとても信じられんなぁ。

 本当にその仲間が誘拐されているのかどうか怪しいものだ。」

 

 

 

「な!?俺達が嘘を付いてるって言うんですか!?」

 

 

 

「よく探したのか?

 そのうちひょっこり顔を見せるかもしれんぞ?

 散歩でもしてるんじゃないのか?」

 

 

 

「そんなわけないだろ!?

 じゃあこの手紙は何なんだよ!?」

 

 

 

「さぁな。」

 

 

 

「この…!!」

 

 

 

「それに仮にその誘拐が本当だとしてお前達に何故そのようなワクチンを持ってこいなどという手紙が届く?

 お前達はワクチンを持っているからではないのか?」

 

 

 

「!それは………。」

 

 

 

「答えられんのか?

 持っていたとしたらここに来る必要はないよな?」

 

 

 

「………使ったんでなくなったんです。」

 

 

 

「苦しい言い訳だな。

 いい加減嘘を認めたらどうだ。」

 

 

「嘘!?」

 

 

 

「お前達の装いからして冒険者だろう?

 ちょっとギルドカード見せてみろ。」

 

 

 

「そんなことしてる場「早く。」」

 

 

 

「はい………。」スッ

 

 

 

「………」スッ

 

 

 

「ふむふむ、やはりか。」

 

 

 

「何なんですか!?

 早くしてくださいよ!」

 

 

 

「どうしてこのクエストのクリア数でお前達はランク零と一なんだ?」

 

 

 

「………!?」

 

 

 

「カオスさんは………。」

 

 

 

「口が動かんなぁ。

 やましいことがあるやつの特徴そのものだぞ?

 おおかた初級のクエストをクリアするのがやっとと見える。

 他は失敗続きか?

 装備もそんな木の棒だしな。」

 

 

 

「俺達はそんなんじゃぁ………。」

 

 

 

「クエストをクリア出来ない冒険者がワクチンなんて高い薬を持ってる筈ないよなぁ。

 金持ってる訳ないし後先考えないで冒険者なんてやってるからそういう詐欺を働こうなんて考え付くんだろうなぁ。」

 

 

 

「は?俺達を詐欺師だと言いたいんですか?」

 

 

 

「他に考えられんなぁ。

 この手のやり口のパターンは決まっているんだよ。

 仮におれが直接ワクチンを持ってこの場に行って犯人にワクチンを渡したとしても裏でお前達とそいつらが繋がってたらお前らの計画通りになってしまうだろう?」

 

 

 

「………もういいです!分かりました!騎士には失望しました!

 俺達が直接ワクチンを買います!いくらですか!?」

 

 

 

「どうした?

 詐欺は初めてか?

 苦し紛れにこの場で財布を取り出してあくまで共犯じゃないアピールか?」

 

 

 

「いくらか答えてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五十万ガルドだ。」

 

 

 

「五十………!?」

 

 

 

「残念ながらこれが最低価格だ。

 払えるのか?」

 

 

 

「………なんとかギリギリだけど俺とタレスの分を足したら買える金額だ。

 買います!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪い、明後日にならないと納品されないの忘れてた。

 また明後日来てくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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