テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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どうしても一緒にいたくて

ローダーン火山 麓 夜 残り期日十九日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「ご飯作ったけど皆食べる?」

 

 

ウインドラ「ん………?

 そうか………。」

 

 

ミシガン「何作ったの?」

 

 

カオス「シチューだけど………。」

 

 

タレス「シチュー………ですか……… 。」

 

 

ミシガン「こんな蒸し暑いところでシチューって………。」

 

 

カオス「あっ……おかしかったかな………?」

 

 

ウインドラ「あまり温暖な気候の地で摂取する食物ではないな。

 結構多目に作ってるようだがこの気温と湿度では一日も持たずにいたむぞ?」

 

 

カオス「ご、ごめん………。

 俺そういうの分からなくて………。

 料理とかは普通にできるんだけど暑いとか寒いとか感じにくくて………。」

 

 

アローネ「ウィンドブリズ山でもそのようなことを仰っておりましたね。」

 

 

ミシガン「てかその腕で料理できたんだ?」

 

 

カオス「う、うん………、

 肘は動かしにくいけどまだ指の方は動くみたいだから………。」

 

 

ウインドラ「そんな無理して料理を作ることもないんだぞ?

 それくらいのことなら俺達で準備できる。

 お前はどこかめぼしい安全地帯を見つけてそこで休んでるといい。

 今はカーヤがそれらしい場所を探しているんだ。

 安静にしておけ。」

 

 

カオス「………うん………。」

 

 

 そう注意されるカオスであったがそれでもどこか落ち着かない仕草で辺りを見渡す。

 

 

タレス「………カオスさん………何をそんなにソワソワしてるんですか?」

 

 

カオス「え!?

 べっ、別にソワソワなんて俺はして「してるじゃないですか。」」

 

 

アローネ「…腕が痛むのですか?

 落ち着かないご様子なのはその石化してしまった腕に原因があるのではないですか?」

 

 

カオス「………腕は関係ないよ………。

 痛くもないし触ってみても何も感じないから………。」

 

 

ウインドラ「……こんなことを訊くと気を悪くするかもしれんが………、

 

 

 ……やはり不安なのか………?

 アインワルドの歴代の巫女達もその様に体が石化していったというしお前も………。」

 

 

 カオスの腕の石化はアルターで見てきた歴代巫女達の石像と同じだ。巫女達の石像は作り物などではなく紛れもなく元アインワルドの巫女そのものだ。彼女達は精霊が憑依することによって常人にはない力を得たのだが一つの肉体に二つの魂が宿るというアンバランスな共存状態に肉体がついていかずどういう原理なのかは定かではないが石化してしまう。

 

 

 石化は即ち死である。精霊が肉体に憑依し続ける限り石化の運命は避けられないのだが使命感の強いアインワルドの巫女達は巫女が石化する度に新たな巫女を設け精霊ラタトスクを憑依させてきた。世界の核とも呼ぶべき存在世界樹カーラーンを守るために。

 

 

 カオスの石化は殺生石の精霊マクスウェルが憑依しているために起こってしまった。人の数百倍から数万倍にも及ぶマナを蓄え続けても限界が見えなかった彼のマナの貯蓄はとうとうアルターにて限界が見えてしまった。精霊マクスウェルはダレイオスからヴェノムを排除する代わりにカオスの中から出ていくことを約束した。しかしそれが叶わなければ世界を破壊するとも言った。後残り二十日未満の間にカオス達は決着をつけなければならないのだがその前にカオスの体が無事であるかが懸念される。

 

 

 

 

 

 

カオス「……別に死ぬことは怖くないよ…。

 ずっと前から俺は自分が生きているべきなのか疑問だったし十年前のあの日にどうして自分が死ななかったのか悩んでいた時もあったし………。」

 

 

ウインドラ「お前………。」

 

 

カオス「もし俺が完全に石になったとしてもその時自分の意識がどうなるのかも不謹慎だけど興味があったりする。」

 

 

ミシガン「そんなこと………そんな普通のことのように言わないでよ………。」

 

 

カオス「本当のことだよ。

 俺は死ぬことなんか気にしてないからそんなに深く捉えないでいいから。」

 

 

タレス「いやでも………。」

 

 

カオス「…こんな話じゃなくてこれからイフリートをどうやって倒すかが重要じゃない?

 作戦を立てるなら俺がいても「誤魔化しても無駄ですよ。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アローネ「貴方のそれは本心ではありませんよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「………どうしてそう思うの?」

 

 

アローネ「ずっと貴方を見てきましたから………。

 私達に心配をかけないようにそう強がっているだけですよね?

 貴方は私達と話をする時絶対に御自身の本音を口にしないようにして上手く会話を流そうとします。

 本当は貴方も死ぬのは怖いのではありませんか?」

 

 

カオス「…怖くないって言ってるだろ?

 何を言い出すんだよアローネ。」

 

 

アローネ「正直に答えてください。

 死を恐れぬ人などいません。

 死は全ての生き物が最も忌避する究極の痛みです。

 私も自分が死ぬのは恐い。

 ここにいる皆も同じ気持ちでしょう。」

 

 

 

 

 

 

タレス「まぁ普通の感情ですよね。」

 

 

ミシガン「死んじゃったらそれで終わりだしね。」

 

 

ウインドラ「死というのはそこから先の未来が闇に閉ざされた世界だと言われている。

 永遠の闇………できることならそんな世界には行きたくないものだな。

 何百年も何千年経とうとも………。」

 

 

 

 

 

 

アローネ「これが皆の素直な感想です。

 死は誰しもが平等に持ち、叶うのであれば自分の死は限り無く遠い未来へと先伸ばしにしたいと誰もが願います。

 死を恐れることは当たり前で恥ずべきことでもありませんよ。」

 

 

カオス「………」

 

 

アローネ「………ですがカオスの心は自身の死の可能性について恐怖しているのではありませんよね?

 貴方が脅えていることは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()………、

 ………そのことが気掛かりなのではないですか?」

 

 

カオス「………俺は………そんなこと………。」

 

 

アローネ「………これだけ長く共に旅をしてきたと言うのに私の言葉は信じられませんか?

 私達は貴方がどうしたいか、それをお訊きしたいのです。

 それをお訊きしなければ私達がイフリートを倒すまでカオスをどこか安全な場所へとお連れして待機してもらうことになりますよ?」

 

 

カオス「そっ、それは………。」

 

 

アローネ「………………カオス、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠慮せず貴方の本心を私達にぶつけてください。

 私達は貴方の想いを受け止めますから………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオス「……本当は……死ぬのはとても恐い………。

 体中が石になって死ぬなんて今まで聞いたことがなかった………。

 俺がこれ以上無茶をすればどんどん体が石になっていく………。

 俺はそんなの嫌だ………………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………けどそれよりも俺は()()()()()()()()()()()()()………!

 アローネ達と旅をする前までは一人なんて普通のことだったのに今になって皆と離れるのが恐ろしくてたまらない………!!

 皆に置いていかれるって思うと体の震えが止まらないんだよ………。

 だけど俺が皆についていっても俺は戦うことなんてできないし皆の足手まといにしかならない………。

 俺は皆についていかない方がいいことは分かってるんだ………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だけどそれでも俺は皆と一緒にいたい………!!

 例え俺が石化して死ぬことになったとしても俺は皆の側に居続けたい!!

 もう一人に戻るのは嫌なんだ!!

 もう一人のあの頃に戻るのはどうしても………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アローネ「やっと気持ちを吐き出すことができましたね………。」

 

 

カオス「アローネ………、

 俺は皆についていっちゃ駄目………かな?」

 

 

アローネ「………皆はどうでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タレス「ボクは構いませんよ。

 どうにもカオスさんがいないとしっくりこないですし。」

 

 

ミシガン「カオスの珍しい我儘だからね!

 こりゃ聞いてあげないといけないでしょ!」

 

 

ウインドラ「お前がそう望むのなら俺はお前の盾となるだけだ。

 お前一人くらいいたってどうってことはないさ。」

 

 

カオス「皆……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アローネ「カオスは慎重過ぎますよ。

 親しい人と話をするときくらいはもっと自身の意見をハッキリ伝えるべきです。

 そうしないと先へと進まないことだってあるのですから………。」

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