テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ローダーン火山 麓 残り期日十日
タレス「拠点をずらすんですか?」
ミシガン「え?何で?」
シュメルツェンから戻ってきたカオス達は待機していたタレスとミシガンに駐留する場所を移動することを告げた。
ウインドラ「俺達が数日にかけてシュメルツェンへと出向いては襲撃を繰り返しているがブルカーンの連中は特に反撃を仕掛けてはこない。
………何か良からぬことを企てていそうだ。」
アローネ「連日空から魔術で刺激を与えているにも関わらず彼等に動きが無いのは不自然です。
これは私達を観察して動向を探りどこかのタイミングで手を打ってくるに違いありません。」
根拠としては弱いが邂逅から好戦的なブルカーンの様子を考えれば約十日の襲撃に対して何もしてこないのは怪しすぎる。ブルカーンが何かをするとすればそろそろだと踏んで拠点を移動することにした。
ミシガン「それで次はどの辺りに行く予定なの?」
タレス「ここから遠く離れすぎない程度の距離に移動するのであれば火山の右か左………西か東のどちらかにするべきでしょうが………。」
カオス「そのことだったらもう話は付いてるよ。
山の西側に移動することになってるんだ。」
ミシガン「西?
西の方に行くの?」
タレス「西ですか………。
地図を見る限りでは東側はリスベルン山の方角ですしそっちの方にした方がよくないですか?
西側は………。」
タレスがダレイオスの地図を見て暗い表情を浮かべる。
アローネ「…このダレイオスの旅で何度もお聞きした都市があった方面ですね………。
十六年前に突如として地図から消えてしまった都市“ゲダイアン”が………。」
十六年前ダレイオスには西と東でそれぞれ九の部族が集う巨大な都市が存在した。東にセレンシーアイン、そして西にゲダイアン。地図で確認すると両都市はダレイオスの大陸を東西に分けてセレンシーアインは中心にゲダイアンは最西端に位置する場所にある。マテオとダレイオスの大陸は二つの海に囲まれており両者が合間見える際には大陸同士がかつて繋がっていたシーモス海道のある海を通じて戦火を交えていた。もう一方の海は大陸の断崖が険しく人の渡航にも不向きで両陣営が接触することはなかった。だからゲダイアンはそうした理由から安全な立地だと思い都市が作られたのだと思われる。
その思考の隙を突かれたのかは定かではないがゲダイアンは何者かに攻撃されこの世から消えた。ゲダイアンが消滅した当初はマテオもダレイオスもそれを行ったのはお互いだと思いあっていた。マテオはダレイオスにいるとされる謎の都市伝説組織大魔導士軍団による実験、ダレイオスはバルツィエの新兵器による爆撃。いずれにしろ誰が何のためにゲダイアンを消滅させたかは分からない。カオス達はダレイオスを回る旅でゲダイアン消滅がバルツィエの内部にいる精霊の力を持つ人霊がゲダイアンを破壊したのだと推察した。カオスに憑依する精霊マクスウェルの力を目の当たりにすればそれがもっとも説得力のある解であった。瞬間的な爆砕を可能にする手段は他にも古に存在した種族ヒューマ族の化学兵器とやらが一つの意見として提示されたがそれを復元できそうな組織であるバルツィエは何の関与もしていないと言う。
カオス「曰く付きの土地近くに近付くのは気が引けるけどさ………。
それを言ったらリスベルン山にはもっと近寄れないでしょ?」
カーヤ「………」
タレス「…そういうことだったんですね。」
ミシガン「リスベルン山って言ったらフリンク領だもんね。
そりゃそっちの方に行けないよね………。」
カオスがカーヤに視線を向けたことで二人は事情を察した。カーヤにとっては最悪の思い出しかないフリンク領、その近くへ足を運ぶのは気が滅入るだろう。そのことから場所を移すなら東ではなく西だとカオス達は決定した。
タレス「ではもう移動を開始しますか?」
アローネ「いいえ、
移動は夜にしましょう。
明るい内から移動を開始しては目立ちますから。」
ウインドラ「ブルカーンに見付からないように場所を移すのだからブルカーンの目に入る時間帯に動くのは無意味だしな。
それにアローネとカーヤはレアバードの操縦で疲れているだろう。
俺も何度か魔術を撃ってマナを回復させたい。
日が落ちたら西へ向かうぞ。」
カオス達がローダーン火山の西側に向かうのは数時間後の夜の時間帯からになった。それまでは体を休めて夜に備えるようだ。
カーヤ「…カッ………カオスさん………。」
カオス「ん?
どうしたの?」
カーヤ「えっと………その………。」
カーヤは自身が感じ取ったローダーン火山の東側にいる父ラーゲッツのマナと酷似するマナを持つ何者かのことを相談しようか迷った。先程はシュメルツェンで言いそびれたがカーヤが東側に向かうのを止めたのはフリンク領の近くだからではなくその人物が東側にいるからなのだと。
カオス「………何か気になることでもあった………?」
カーヤ「………」
カーヤは伝えるべきだと思った。火山の東側に不穏な輩が出没していること………。
………しかし、
カーヤ「………これから行く火山の西側にね………?
ブルカーン族じゃない反応があるの………。
モンスターでもなくてヴェノムでもなくて………。」
カオス「ブルカーンでもモンスターでもヴェノムでもない反応………?
それって人ってこと?」
カーヤ「…うん………多分………。」
カオス「こんな火山に人か………。
何でこんなところにいるんだろ………。
他の部族の人達かな………?」
カーヤ「………分からないけど人がいることは間違いない………。」
カオス「う~ん………、
この辺りに人かぁ………。
スラート、クリティア、ミーア族がこんなところにいるわけがないし………。
フリンク族だってブルカーンと中が悪いからここには来ないだろうしなぁ………。
アインワルドだってここに来る理由が………。
………!
もしかして………!」
カーヤ「誰か知ってる人………?」
カオス「…もしかしたらなんだけどその
カーヤ「達………?」
カオス「うん、
前に俺達が会ったことがある人達なんだけどね。
確かこっちの方角に行くようなこと言ってたんだ。
だから多分その人達だよ。」
カーヤ「敵………じゃないの?」
カオス「敵?
敵なんかじゃないよ。
その人達は………、
前にカイメラを倒……………メーメーさんを助けた時に知り合った人達なんだ。
カーヤが見付けたのはその人達だと思う。」
カーヤ「………」
カオス「あの二人こんなところにまで来てたんだなぁ………。
じゃあ向こうの方に行ったら会うかな?
なんだか久しぶりだな。
最後に会ったのが三か月も前だしこの辺りで住めそうなところを探してるのかな?」
カーヤ「………知ってる人なんだ………。
………ならいいや………。」
カーヤはラーゲッツのことを口に出来なかった。カーヤは寂しがりな性格からカオス達に死んだ人物が生きているなどと発言して変に思われたくなかったのだ。
このあとラーゲッツの生存はカーヤではなく西側にいた