テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カストルでカオスとアローネの手配書が発行されることを知った三人はカストルを出ることを決めるがこのままでは捕まってしまうことを危惧する。
そこでアローネが秘策を思い付くが…。
安らぎの街カストル 宿 早朝
「お待たせしました。
朝刊ではカオスさんとアローネさんの顔写真が大々的にあげられてます。」ピラッ
「ごめんなタレス。
こんなお使いみたいなこと朝から頼んで。」
「いいんですよ、これからの旅で大事なことですし、ボクから言い出したことです。」
「………写真はやはりミストにいたとき撮られたもののようですね。」
「あの時のアローネかぁ、こうして見ると随分変わって見えるねぇ。」
「女性は日進月歩変化しているものなのです。
あの時の私とは違いますよ。」
「?
髪や顔は変わってるけど?」
「………まぁ、いいでしょう。
カオスにそういうところを期待しても仕方がありません。」
「それでアローネさんどうします?
この写真ではカオスさんだと一目で気付かれますよ?」
「やっぱり髪を切った方が………。」
「安心してください!
カオスの顔をたった一つのアイテムで変えて見せます!」
「「?」」
「これです!」
オハヨー
オースッ
キョウノニュースミタァ?
ニュース?
サイキンコノマチデミタヒトデテハイハンガイルッテ
テハイハン?
イッセンマンガルドノトウボウハンダッテ!
ホント!?コノマチニソンナヒトガイタノ!?
ソウ!シカモコノヤドニトマッテルッテ!
マジカヨ!?ダッタラヒトアツメテサァ………
ルルカ街道 北部
「何の問題なく外に出られましたね。」
「だから言ったではないですか!
私に任せれば何も心配はいらないと!」
「アローネの機転のおかげだね。」
「まさかこんな道具でこんなに印象が変わってしまうとは。」
「そうですよ!
道具一つだけでも甘く見てはいけません!
この道具だけで誰もカオスをカオスと分からなくなるのですから。」
「やり方は単純だけどそれだけでこんなにも効果があるなんてね。」
「人は意識して誰かを見ない限り人の記憶にはそうは残りませんから、あのギルドの店員さんと漆黒の翼以外の人がカオスに気付くなんてことはあり得ませんよ。」
安らぎの街カストル 宿 昨晩
「カオスの顔ならなんとかなると思いますよ?」
「アローネ?」
「何か秘策でも?」
「これです!」
「輪ゴム?」
「これをどうするのですか?」
「決まっているではないですか!
輪ゴムの使い方といえば髪を纏めることです!」
「それはそうだけど…。」
「このようなものでは流石にそこまで印象は変わらないのでは?」
「まぁ、見ていてください。
カオス、洗面台の方に行きましょう。」
「え?うん。」
「では少し頭を下げてもらえますか?」
「こう?」
「………アクアエッジ!」バシャァッ
「え!?うぼっ…!」
「やはり髪が濡れていると印象が大分変わりますね。」
「いきなり何するんだよ!?
ってかアクアエッジじゃなくて洗面台の水かけただけじゃないか!?」
「動かないでください。
こうして髪を一つに纏めて………。」
「?」
「おでこを出して後ろで髪を留めれば………ほら鏡を見てください!」
「?…………!」
ルルカ街道 北部 現在
「まさかこんな簡単な手で誰にも分からなくなるなんて思わなかったよ。」
「カオスさんが出てきたときはボクも一瞬誰か判別出来ませんでした。
オールバックで厳つい見た目になりましたね。
それまでは田舎にいそうな、髪だけ長く伸ばした人の特徴でしたのに。」
「………田舎者で悪かったな。」
「この方がカオスのお顔もはっきりしますし今度からはこのスタイルで行きましょう!」
「それで助かるなら仕方ないか。
ちょっと慣れなくて恥ずかしいし、髪が若干痛いけど。」
「今までのように髪でカーテンをつくるよりかはこちらの方がいいですよ?」
「アローネがそう言うなら………。」
「カオスさん、本当に別人ですね。」
「そう?」
「これならカオスさんをよく知る人でないと分かりませんよ。」
「そうだといいけど…。」
王都 宿
「どうだった?ウインドラ。」
「………申し訳ありません。」
「そうか…。」
「お前が帰ってこれただけでもなによりだ。
これ以上仲間を失うわけにはいかないさ。」
「あそこでは一体何があった?」
「奴等がひた隠しにする研究所にはダクトを通じて中には潜入できました。
ですがそこでは行方不明になった囚人や奴等が捕らえたと思われる手配書の犯罪者やらが大勢檻に容れられていてワクチンの研究資料は発見できず………。
それどころかあの地下にはワクチンを製造しているような施設は何処にも見当たりませんでした。」
「見当たらないだと……!?」
「あったのは多種多様に集められた生物の生態系を記した資料とそれに纏わる分布図、それから古い文献やマテオ、ダレイオスでもない何処かの国の言語で書かれた書籍本ばかりでした。
ヴェノムに関する資料は残念ながら………」
「なら奴等は一体何処で研究をしているのだ!?」
「入念に練った作が空振りとなるともう打つ手がないぞ!?」
「奴等め!
そんなものを秘密にして何がしたかったんだ!?」
「どうする?
ダリントン。」
「………その生態系の資料は記録は撮ってあるか?」
「一応スペクタクルズにデータは録っておきました。」
「何も発見できなかった以上関連性のありそうなこれだけが頼りだ。
現像して詳しく調べてくれ!」
「はい!」
「バルツィエめ!
ワクチンは一体何処から仕入れてくるんだ!?」
「それが最後に知りたいことでいいの?
ダリントン君?」
「!!?」
「やっと他の奴等も解散したね。
働き蟻が家の周りをうろうろしていたから警戒はしていたんだ。
仕事が終わったらやっぱり巣穴に帰るよね。」
「お前は!?
フェデール=フォア・バルツィエ!?」
「詰めが甘いよ。
お前達は常に一人一人に家の者から監視がついてるんだ。
下らないことを画策したところでこういう事態を招くことは頭に入れておかないと。」
「くっ………!」
「ブラムがそっちについたようだけどだからと言ってお前達が動きやすくなる訳じゃないんだよ。
暇な連中は沢山いるんだ。
そいつらけしかけりゃお前らの同行くらい手に取るように分かる。」
「最初から全て読まれていたということか…!」
「そうだね。」
「一体いつからだ?」
「お前達と俺達に境界線が引かれた時からさ。
まぁ、でもお前達はよくやった方だよ。
そこは誇ってもいいぜ。」
「手のひらで踊らされて誇るも何もないだろう!」
「フフッ、悔しいかい?
でもこれでお前達にいいアドバンテージを頂いちゃったね?
お前の駒の行動はバッチリと監視カメラにも映ってるし研究所から出て下水道から出てきたところなんて………ほら。」
「!!………何だこの映像は!?
何処から録っているんだ!?
こんな近くで録られて気付かない訳が…!?」
「よく録れてるだろ?
録られてる本人は録られてるとも知らずにねぇ。
あぁ、気にしないで。
これはお前の駒が鈍かったとかじゃないよ?
例え誰であってもこれには気付かないよ。」
「何だと言うんだ!?
オリジナルの知覚魔術でも編み出したか!?」
「これにはマナなんて使ってないよ。
使っているのは機械という鉄屑さ。」
「キカイ………?」
「教えたところで理解はしないだろうね。
そんなことより知りたいのはワクチンの製造場所だろ?」
「!」
「残念ながらお前らがいくら地上や地下を探し回ったところで見付かることはないよ。
なんせ俺達はそんなところで薬を造っていないからね。」
「………まるで空にでも製造所があるような言い方だな。」
「その通りさ。」
「!?………だとしたら「だとしたら辿り着ける?」」
「人が空を飛ぶなんて爆風にでも乗らない限り無理。
ついでに言うとそれで届くような場所にはないさ。
なんならトーディアの頂上からトラクタービームで飛ばしてあげてもいいよ?
最後のフライトになるけどね。」
「………それが俺の処刑方法か?」
「いいや?」
ドスッ
「………!?」
「この剣がお前を殺すのさ。」
「ゥ………ッ………どうして……おまえたち……は?
アルバ………。」ガタッ
「どうして…………か。
どうしてだろうね………」