テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ローダーン火山 西 夜 残り期日十日
「「「「「「「「「「ガルルルルルルル……!!!!」」」」」」」」」」
オリヘルガ「クハハハハハ!!!」
前方にはオリヘルガとワイバーン、後方にはモンスターの大群。カオス達はとうとう取り囲まれてしまった。この状況で六人全員が無事に切り抜けることは難しい。一人二人ならばなんとか逃げ出すことはできるだろうがそれでは残りの仲間が敵の手に落ちてしまうことになる。
ウインドラ「………ここはどうすべきか………。」
タレス「ワイバーンもさっきの不意打ちから回復したみたいですし空を飛んでの逃亡は難しそうですね。」
ミシガン「第一レアバードじゃ全員乗せて飛ぶことなんて無理でしょ………。
もう捕まるしかないの………?」
前後を確認しても抜け出せる隙が窺えない。確実に誰かが捕らわれてしまう未来しか見えずまともな作戦も立てられそうにないのだが………、
アローネ「………こうなってしまってはどうすることできませんね………。
『ウインドランスッ!!!』」バシュンッ!!
アローネが詠唱を必要としない魔技を発動させる。しかしアローネが放ったのはオリヘルガでもワイバーンでもモンスターの群れでもなく
バフゥゥゥゥゥゥンッ!
そんな音を立てて砂埃が舞う。夜の暗さと合間って視界がより一層遮られた。
オリヘルガ「ハンッ!
最期まで足掻くのかよッ!
潔いのが好きなんだけどなぁ!!」
煙の奥からオリヘルガがカオス達を嘲笑する。アローネが作った砂埃は端的に言って時間稼ぎにしかならない。時間を稼いだところで煙が晴れてしまえばまた元の状況に戻るだけだ。
アローネ「えぇ!
最期まで足掻かせていただきます!!
私達も大人しく捕まる訳にはいきません!!
皆!
全力で応戦してください!」
アローネが皆に指示を出す。それを聞き入れタレス達が煙幕の中から外に向かって魔技や魔術を撃ち放つ。
ウインドラ「もうこうする他無いな!!
俺達はイフリート等に食われる訳にはいかん!!」
ミシガン「回りは全部敵しかいないんだし全力でやらせてもらうよ!!」
タレス「形振り構ってられませんね!!
殺られるくらいなら殺って殺りますよ!!」
アローネの指示を受けた三人は完全に戦闘体勢に入っていた。アローネが舞い上げた砂埃が更に濃さを増す。そこら十が煙の嵐だ。
カオス「(…おっ、俺も戦わなくちゃ……!
魔術が使えなくてもモンスターぐらいなら剣で)「カオス………。」」
アローネ「カオス………カーヤ………、
よく聞いてください。
これから貴方達には………、
カオス「…………え………???」
いざ剣を鞘から引き抜こうとしたらアローネがそんなことを言い出した。横にいたカーヤも呆然としている。
カーヤ「?
………戦うんじゃないの………?」
アローネ「えぇ………戦います。
私達だけで。
貴方達二人はここから退避してください。
いいですね?」
カオス「………なっ、何で………?
何で俺達二人だけで逃げなくちゃならないんだよ………?
逃げるなら全員で「残念ながらそれは無理です。」」
アローネ「私が技を使ったのを見てオリヘルガは私達が自棄になったのだと思い込んでいる筈です。
私達は全員味方を置き去りにして逃げるような者達ではないとも錯覚していると思います。
………ですので逃げ出すならこの時しかありません。
私達がこの場を引き受けますので二人は砂煙に乗じてお逃げください。」
カオス「何で俺とカーヤの二人なんだ………?
俺なんかよりもアローネやウインドラ………、
タレスだってミシガンも………。」
アローネが選んだ人選に自分が入っていることに納得が出来ずに聞き返す。カオス自身今は六人の中でもっとも無力を感じている。これから最後のヴェノムの主イフリートに挑むのであればカーヤはともかく他のメンバーを逃がした方が後々生きるのではないか、カオスはそう思った。
しかしアローネの返答は………、
アローネ「いえ、
私や他の皆では駄目です。
私達では
今回のイフリートへはカオスの力を介した誰かが挑まなければなりません。
そうなると私達の中で最も勝率が高いのはカーヤだけです。
カーヤならカオスを援護しながら立ち回れますし二人が生き残れば世界を救うことも出来る見込みが立ちます。」
カオス「世界を救うって………!
でもその前にアローネ達が捕まったらイフリートに……!!」
アローネ「………この状況、
私の知恵では全員が無事にここを脱出する策は思い浮かびません。
それなら誰を逃げ延びさせるか………、
誰が生きていた方が世界を存続させられるか考えた結果貴方達二人しかいなかった………。
タレス、ミシガン、ウインドラを私の考えた結論に利用する形で心苦しいですがもうこれしか私には手が無いのです。
もう………長く話し込んでいる暇はありません。
行ってくださいカーヤ!
カオスを連れてこの場を去るのです!!
そして必ずやイフリートを貴方達二人の手でどうか撃ち取ってください!!」
そう言うとアローネはカオス達を掴み煙の外まで
カオス「(!!この力は………シャープネス………!?
シャープネスで腕力を上げて………!?
いつの間に………!?)」
アローネに投げ飛ばされた先はモンスターの群れの中だった。一瞬何でモンスターの中に投げ飛ばしたのか理解できなかったが………、
カーヤ「!!
カオスさん……!!」
カーヤは器用にレアバードを展開しカオスを掴んで落下する寸前で空へと飛び上がる。下ではウインドラ達とモンスターの戦いが続いている。
カオス「カーヤ………!!
皆が……!!」
カーヤ「………」
カオス「カーヤ!
皆のところへ戻って!!
このままだと皆が…!!」
カーヤはカオスの声を無視して飛翔を続けた。基本彼女はカオス達の言うことは聞いてくれるがこの場では誰の指示に従った方がよいかは自分で判断しその結果カオスよりもアローネの指示の方を優先した。カーヤはカオスを連れて荒野へと飛ぶ。
カオス「………そんな………待ってくれよ………!
このままだと皆が………皆が…………!!!」
カオスは自分の頭の中で理解はしていた。自分が戻ったとしても何の役にも立たないことを。ろくに戦闘も出来なくなった自分が舞い戻ったところでアローネの希望を袖にするだけだと言うことも。
それでも仲間を置いて逃げるしか出来ない、させてもらえない自分の無力さに歯痒い苦味を噛み締めることしか出来なかった………。
カオス「…………皆ァァァァォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
カオスは叫んだ。その叫びは下手したらオリヘルガに届きワイバーンを駆使してオリヘルガが追ってくることもあり得ただろうが幸いにも下での騒音がカオスの叫びをかき消してくれた。おかげでカオスとカーヤはオリヘルガに気付かれることなくこの場を去ることが出来た。
そしてカオス達が遠くにまで飛んでいくのを見届けたかのように砂埃は晴れてアローネ達が捕らえられるのがカオスの目には見えた………。