テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
消滅都市ゲダイアン 深夜 残り期日九日
カオス「………知ってます。
元はバルツィエが編み出した術らしいですけど俺やカーヤも使えます。」
レイディー「そうか………、
なら詳しく説明しなくても分かってるな?
今回の話にはこの共鳴が深く関わってやがる。
その共鳴のせいでブルカーン族はイフリートの命令に逆らえねぇんだよ。」
カーヤ「?
共鳴が関係あるの?」
カオスが魔術を使えるようになったのは共鳴を習得することが出来たからだ。ウィンドブリズ山でダインから教わりカイメラ、アンセスターセンチュリオン戦では大いに活躍した技術。それが何故ブルカーンがイフリートに屈することになったと言うのだろうか。
レイディー「共鳴はな。
使えればとんでもなく便利な技術だ。
これがあれば不必要に余計な破壊を生むこともなく敵味方を区別して敵だけを攻撃できたり出来る。
他にも自分に近付くモンスターの気配を察知したり人んちに侵入したりした時に家主がどこにいるのか探って出会わないようにしたりとかな。」
カオス「は、はぁ………。」
前半まではカオス達もよく利用していたことだが最後だけは同意しかねる。人の家に侵入することなど早々あったりすることだろうか。
カオス「………もしかしてレイディーさんも共鳴が使えるんですか?
前に逃亡のプロとか言ってたのはそういうことばかりしていて誰かに追われても共鳴で人がいないところを探りながら逃げられるからじゃ「そしてこの共鳴には」………。」
レイディー「………この共鳴には探り出した
お前達もブルカーンと対峙したなら聞こえてきたんじゃないか?
イフリートのテレパシーの声が。
あれも共鳴の一種だ。」
カオス「テレパシーが共鳴の一種………?」
オリヘルガに襲われた時レイディーが言うようにイフリートの声がその場にいないにも関わらず聞こえてきた。あの力がブルカーンとイフリートとどう関係するのか。
レイディー「ブルカーンの連中はイフリートに
誰一人奴の元から逃げることも出来ねぇんだ。
逃げたが最後イフリートの共鳴に引っ掛かってイフリートが出動してペロリ………っつー筋書きでブルカーンは奴の命令に従うしかなくなってる。
連中はどこにいてもイフリートの見張りの目から逃げ出せねぇ。
長期にわたってブルカーンの連中が
それほどまでにイフリートの共鳴は凶悪なんだろうさ。」
カオス「!」
カーヤ「共鳴ってそんなことまで出来るの………?
カーヤはそんか使い方知らなかった………。」
レイディー「どっちかって言うとこの能力は人が使ってるから共鳴って呼び方をしてるだけで部分的にはある特定の種が放つ
自身が発した信号波が反射して帰ってきたのを受け取って相手の位置を読み取る。
海にいるイルカはそうしてサメなんかから隠れて身を守るんだ。」
カオス「………ブルカーンの連中はイフリートに脅されて言うことを聞いてるだけなんですか………?」
レイディー「そのようだぜ。
なまじ知能を持って会話が成立しちまったからブルカーンの奴等従順になるしかなかったんだ。
逆らっても逃げても食われるしかないんならブルカーンの奴等はイフリートの駒になって生きることを選んだ。
…それでもまぁ奴に
カオス「え………?与えられた猶予ってなんですか………?」
ブルカーンがイフリートの軍門に下った経緯は判明した。そうした経緯があったのであればブルカーンも不運な目にあったと同情したがレイディーの発した最後の言葉が気になった。
レイディー「あぁ、
その話こそが猿達にはまだ時間があるっていうアタシが気付いた根拠だ。
ブルカーンの連中はイフリートに捧げるための獲物を直ぐにイフリートの元には届けない。
一度シュメルツェンまでは持っていくがそれからイフリートに食わせるのには時間をかける。」
カーヤ「何でそんなことをするの………?」
何故ブルカーンは捕らえた生物を直ぐイフリートへ差し出さないのか。カオスとカーヤは考えてはみたが答えは出なかった。
それよりもブルカーンが消えていったとは何のことだろうか。
レイディー「お前ら飯を食ったら暫くはまた飯が食えなくなるだろ?」
カオス「………は?」
カーヤ「?」
レイディー「だから飯食った直後は腹が満杯で次の飯は食えなくなるだろって訊いてんだよ!」
カオス「…えと………そんなの当然じゃないですか。
誰だってご飯の後にまたご飯なんて入らないでしょう………。」
イフリートについての話からどう転がったのか食事の話に変わった。レイディーは何を思ってこんな話に切り替えたのか………、
レイディー「イフリートも同じだよ。
奴は定期的にブルカーンの奴等に餌を持ってこさせる。
その餌は大体十日以内までに持ってこなきゃいけねぇようだ。
もし少しでも遅れたらイフリートは………、
ブルカーンの奴隷連中の中から強いマナを持った順に一人ずつ食っていく。
猶予ってのはその時間のことだ。
ブルカーンは出来る限り奴へと餌を届けようとはしているがどうしてもその時間までに持っていくことが出来ずにこの四ヶ月の間でもシュメルツェンから
全然話は変わってはいなかった。それどころかブルカーンが非常に切り詰められた状態にあることが判明する。
カオス「イフリートはブルカーンにも手を出してるんですか…!?
ブルカーンはイフリートに従ってるのに……!?」
カーヤ「何で抵抗しないの?」
レイディー「抵抗なんて無駄さ。
忘れたのか?
イフリートはヴェノムの主だぜ?
アタシやお前達みたいなヴェノムを倒す力をブルカーン族は持ってはいない。
イフリートが知能をつける前には少しは抵抗したんだろうが最後には心が折れて抵抗を止める………。
とっくの昔にブルカーン族は敗北を認めたのさ。
バルツィエの前にヴェノムには敵わない、
ましてや知能や共鳴を身に付けた変種のヴェノムになんざ手も足も出るわけねぇんだよ………。
奴等に出来るのは少しでも長く生き続けることだけだ。
奴は餌を食う度にその瞬間からまた同じく十日という時間をブルカーンに与える。
そうしたサイクルがあるから猿共が食われるタイミングは今日の夜だってことが分かる。
イフリートが最後に餌を食ったのは九日前。
また一人ブルカーンの中の誰かが奴に食われていた。
………連中も敗北は認めても生きることだけは諦められんらしい。
そんな切羽詰まった状況だから同族のためにあっちこっち行って餌をかき集めようとしてんのさ………。」