テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
消滅都市ゲダイアン 深夜 残り期日九日
レイディー「ここまで聞いてどうだ………?
ブルカーンの連中をどう思う?」
カオス「………」
ブルカーンはイフリートにただ神と信じて従っていたのではなかった。ブルカーンはイフリートに屈伏してしまったのだ。レッドドラゴンがまだ知性を身に付けるまではブルカーンも他の部族のように逃げ隠れしていたことだろう。それが知能を得て共鳴まで使えるようになってしまったレッドドラゴンが自らをイフリートと名乗りブルカーンやこの地のモンスターをその支配下に敷いてしまった。
共鳴の力は優秀だ。使えるようになってからはこの力の恩恵は見に染みるほど感じている。カーヤもこの力を使って一人でフリンク領を防衛していた。それがここではイフリートがブルカーン領の中にいるブルカーンとモンスターを共鳴の力で監視している。逃げ出せばイフリートは直ぐにでもその逃亡者を追うか、
カオス「(………ブルカーンの連中………と言ってもまともに話をしたのはオリヘルガ一人だけだけどあの様子じゃ他のブルカーン達も同じなんだろうな………。
オリヘルガから感じた印象はダレイオスの他の部族達と比べると断トツで最悪だった。
それもフリンク族の人達を越えるほど………。
なんせバルツィエみたいなことを言い出したから………。)」
先程はモンスターやヴェノムでなければあまり自分から殺生を好まないカオスでさえも仲間を奪われたことによってオリヘルガ含むブルカーンに強い殺意を抱いた。例え自身の体が完全に石になったとしても仲間を救うためにブルカーンとイフリートを葬り去ろうと決意するくらいには最悪の印象であった。
………それもレイディーの話を聞かされるまでは………、
カオス「(………………でもレイディーさんの話を聞いた今じゃそこまで強く憎むことができない………。
アローネ達を連れ去られたのにどうしてこんな………、
………きっとブルカーンがマテオの人達に似てるからだろうな………。)」
カオスは昔は弱者だった。力が弱いゆえに虐げられた生活を送ってきた。そんな生活を送ってきたカオスはいつだって弱者を虐げる強者こそが悪で自分はそんな悪を打ち倒したいと常々思ってきた。
だからこそカオスは
カオス「………俺達が倒さなくちゃいけないのは………、
ヴェノムの主であるイフリートだけです。
ブルカーンは敵だけどイフリートさえ倒してしまえば別に放っておいても構わない………。」
レイディー「何だよ?
さっきはあれだけ殺気だってたのにもうブルカーンを赦しちまったのか?
奴等はお前の仲間達をイフリートの腹に押し込もうとしてる連中だぞ?」
カオス「貴女も変わりませんね。
俺がこう返事するようにブルカーンのことを話してくれたんじゃないですか。」
レイディー「アタシはしっかりとした意思を確かめたかったんだ。
曖昧な覚悟で敵に向かっていくようじゃどんなに力のある奴でもどこかで足元を掬われる。
倒すべき標的が誰なのかはハッキリしとかねぇとな。」
カオス「………そうですね。
でもこれで漸く決心しました。
俺達の相手は始めからブルカーンじゃなくてイフリートだってことを。」
レイディー「…その通りだ。
ブルカーンの連中に世界をどうこうする気はない。
奴等は生存意欲でイフリートの命令に従ってるだけ。
イフリートさえ倒しちまえば奴等は敵じゃない。
今のところ敵だがアイツ等は放置していてもいいだろう。」
カーヤ「…でもどうするの………?
アローネさん達を助けに行くんだとしてもブルカーンが邪魔してくるでしょ?
結局はブルカーンとも戦わなくちゃいけないと思うけど………。」
明確にブルカーンがイフリートに支配されている以上はカオス達がイフリートの元へと辿り着く過程で必ずブルカーンとはぶつかる。それを突破するのは至難の業だ。それに先ずイフリートがどこにいるのやら………。
レイディー「それについてはアタシに考えがある。
アタシがここでブルカーンの様子を探っている間にシュメルツェンでイフリートが潜伏しているであろう場所の目星はついている。
イフリートが餌にありつくことが出来なかったらブルカーンの連中の誰かを代わりに食ってるって話したろ?
シュメルツェンの街の中にある建物の中で一つ何度かブルカーンの奴等が出入りしているのを確認してその後入っていった奴が二度と出てこなかった建物があった。
イフリートは恐らくその建物の奥だ。
そこに
レイディーの作戦はただの特攻だった。それもアローネ達を救出するよりも先にカオス、カーヤ、レイディーの三人だけでイフリートと戦うだけの………。
カオス「俺達だけでイフリートを倒すんですか!?」
レイディー「そうだが何か問題があるか?」
カオス「問題があるかって………!?
俺は今大した力は使えないんですよ!?
十分にモンスターとも戦うことだって出来ないし俺なんか連れて行っても足手まといじゃ………!」
レイディー「ボケが、
何のために猿がお前を優先して逃がしたと思ってんだ。
イフリートを倒すにはお前の力が必要だからに決まってんだろ。」
カオス「でも俺にできることなんて何も………。」
レイディー「あるだろうがよ。
お前に触れている間一時的にお前の力を他の奴等も使えるんだろ?
だったらその力を使わねぇ手はねぇだろうが。」
カオス「…大丈夫なんですか………?
俺一人抱えながら最強種レッドドラゴンと戦うなんて………。」
レイディー「自分で戦えなぇとなると途端に弱気だな。
………安心しろ。
お前にはこの“氷上の華”が付いてんだ。
必ず成功する。
アタシを信じろ。」
カオス「レイディーさん………。」
ここまで彼女が誰かを元気付けようとするのは珍しい。が彼女が言うと何でも上手くいきそうな気がしてくる。
レイディー「…まぁ、
イフリートのところに辿り着くまでは特に問題もないだろ………。
………懸念することがあれば
カーヤ「アイツ?」
カオス「何かあるんですか?」
レイディー「お前がさっき話してくれた話の中にも出てきたバルツィエの先見隊だよ。
その内の一人が今この火山のどっかに潜んでんだよ。」
カーヤ「!!」
カオス「先見隊が………?
ブルカーンを襲いに来たんですか?
一体どのバルーンが………?」
レイディー「聞いて驚くなよ?
そいつについてはお前も知ってる顔の筈だ。
前に
そいつが今この近くにいるんだよ。」
カオス「………………え…………………?」
レイディー「ラーゲッツのことだよ。
あの野郎
レサリナスで死んだと思ってたのにな。」