テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
消滅都市ゲダイアン 深夜 残り期日九日
レイディー「………坊やにはカストルでちょろっとはなしたことなんだが………。」
カオス「カストルで………?」
カストルでレイディーと話したことと言えばバルツィエや祖父のことについての印象が強かった。レイディーの………、
………彼女の病気の話などしていただろうか?レイディーとは彼女が病気であったことすら聞かされた覚えがない。と言うか病気であったとしても並大抵の病気なら精霊の力が回復させてしまう筈だ。昔は体が弱かったミシガンでさえも今では大抵の人よりも体が強い。ウィンドブリズ山では人一倍寒がっていたがそれでも風邪を引くようなことはなかった。それなら彼女も同様に体の病気への抵抗力はかなり高められている。それでも病気が続いているのであればどれほどの病気だというのだろうか。
レイディー「…アタシの故郷はもうどこにもねぇ。
随分と昔にヴェノムに襲われてアタシの村は壊滅した。
その時はまだバルツィエの奴等も封魔石すら作られてなくてヴェノムに対する対応が不十分だった。
それでアタシの村はマテオから無くなった。
丁度アタシはその頃はレサリナスへと移り住んでて助かった。アタシがレサリナスに移ってなかったらアタシもそんときに村の皆と一緒にこの世を去ってただろうぜ。」
今は亡き故郷を想ってかレイディーは儚げな顔を見せる。
過去が思い出になるのは誰でも淋しく思うだろう。楽しかったあの日々にはもう戻れないのだ。子供から大人になっていくに連れて人の価値観も少しずつ成長したり変わっていったりする。子供の時のように無邪気に遊んでいられた頃を思い出すとカオスも心が切なくなる。あの頃に戻りたい。例え辛い出来事があったとしても故郷を本気で嫌いになることなど誰も出来はしないのだ。それが既に無くなってしまったのであれば切なさもよりいっそう感じ………
………ているようには見えなかった。次にレイディーの顔を見た時には彼女の表情が消えていた。その顔からは人が興味を無くした時に見るような
レイディー「アタシは故郷が好きだった………。
レサリナスでも時間が取れればちょくちょく帰って親や友達なんかに会いに行ったりして大人になった後もその習慣は変わらなかった。
レサリナスに憧れて勉強を必死に頑張って王立研究院に入れた時は凄い嬉しかったがかといって故郷を完全に断ち切ることなんてできやしなかった。
いくらレサリナスがアタシの興味引かれるものが詰まっていても故郷は故郷でアタシの心が落ち着くのはレサリナスなんかじゃなく故郷の
カオス「パウラム………、
それがレイディーさんの故郷の名前なんですね………。」
レイディー「………あぁ………。」
カオス「………じゃあパウラムが無くなってレイディーさんは本当は悲しかったんじゃないですか………?
大好きだったパウラムがヴェノムに滅ぼされたからレイディーさんはヴェノムをどうにかしたいと思ってヴェノムについて研究するようになって………。」
レイディー「………うんにゃ………、
アタシはパウラムが無くなった時………
涙すら出なかった………。
悲しみすら感じることなんて出来なかった………。」
カオス「………え?」
レイディー「故郷が無くなる前にはマテオには既にヴェノムが出回ってた。
ヴェノムによって壊滅した村なんかの噂もしょっちゅうあった。
アタシはパウラムが心配で一刻も早くヴェノムをどうにかできる方法を探してパウラムを他の村みたいに壊滅しないように研究に取り組んだ。
………で間に合わずにパウラムは消えた………。
アタシはパウラムがヴェノムに攻め落とされたと聞かされて…………、
何も感じることが出来なかった………。
何も心に響かなかった。
アタシはパウラムが無くなっちまうことなんて考えもしなかったから急にパウラムが無くなったって言われても実感が持てずにいたんだと思った。
で、実際にパウラムが滅んだのを目にすれば流石のアタシも涙くらい流すんじゃないかと思って現地に行ったんだが………、
アタシはパウラムの滅びた姿を見ても何も変わることは無かった………。
アタシの心はその時にはもう
アタシの心はレサリナスで開発されたワクチンの臨床実験で人の心を失っていたんだ………。」
カオス「!………ツグルフルフの精神作用………!」
セレンシーアインでオーレッドがワクチンことツグルフルフは人の精神に大きなダメージを与えることがあると言っていた。ウィンドブリズ山でダインもそのことを肯定した。ワクチンを使用した者は何かしらの感情が抜け落ちてしまうと、
それならばレイディーは………、
レイディー「アタシはワクチンによって精神に異常を来している。
アタシが失ったとされる感情は
人や場所に対してアタシはどんなに強い結び付きがあったとしてもそれが失われた時悲しい、辛いといった感情が沸き起こることがねぇ。
アタシはアタシの大切な人達が目の前で誰かに殺されたりしたとしてもアタシはそれで悲しくなったりしねぇし殺した人物を恨んだりも出来ねぇ。
………自分がそういうことを感じられなくなるのを実感すると結構心がざわつくもんだ。
アタシは自分が本当に人なのかを疑うこともある。
すげぇ不安や焦燥感に襲われて眠れなくなる時があるんだよ。
自分が悲しむべきところで悲しめねぇってのは………。
それでストレスが溜まってずっとアタシの心は