テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブルカーン族の住む街シュメルツェン 夜 残り期日九日
オリヘルガ「(はっ、始まりやがった………。
こいつら全員を一辺に蜥蜴野郎にぶつければ蜥蜴野郎をいいところまで追い詰められそうだってのに………!)」
咄嗟に思い付いたことであったが下手なことを口にすることは出来ない。イフリートは近くでこの一部始終を見ている。オリヘルガが発言する内容もイフリートに伝わってしまう。表面上はシュメルツェンに侵入してきた賊を捕らえてイフリートの元へと連行しなくてはならないのだ。そしてオリヘルガの企みが成就し最後に生き残っていた者がイフリートでさえなければ良い。イフリートにはどうしても敵わない。が、カオスとラーゲッツのどちらかであれば多少負傷者は出てくるかもしれないが両者を打ち負かすだけの自信はある。イフリートと戦って消耗した後なら尚更だ。カオス達に関してはイフリートが倒されてしまえば敵対する意味は無くなるが仲間を捕らえてしまった手前もう和解することなど難しい。やはり三者とも最終的に敵になるのは確定次項である。
しかしラーゲッツが生き残ってしまった場合はどうなるだろうか。ラーゲッツと戦い敗れた仲間達は自分よりやや劣る程度の実力だがそれでもバルツィエを相手にしてもそう差が開くほど弱者ではない。
それだと言うのにラーゲッツはその仲間達を傷一つ付けられることなく打ち倒した。………否、傷一つ付けられることないは過剰表現であった。正確には衣類を切り裂くぐらいにはラーゲッツと善戦していた。後数センチだけ深く切り込めていればラーゲッツの体に傷を残すことが出来ていたであろう。
………しかしラーゲッツの衣類の破けは複数箇所付けられていた。それだけあるのならば一つぐらいラーゲッツの体に傷を残してもおかしくはない。と言うよりは必ずどこかに傷を負うだろう。
オリヘルガ「(治療術使いながら戦ってんのか?
高速で駆け回りながら受けた負傷を自分で………。
………!)」ジュゥゥゥ…、
ジュゥゥゥ………!!
オリヘルガの側には倒れていった仲間達が装備していた武器が落ちていた。その武器が煙を上げて
オリヘルガ「(………?
何だ?
ラーゲッツの炎に金属が耐えられずに溶けてんのか………?
それにしてはあまり武器の近くから熱気は感じられないが………。)」「オリヘルガ! 」
カオス達とラーゲッツの戦闘が開始されて両者から注意がそれた隙にブルカーンの仲間がオリヘルガに駆け寄ってきた。
「アイツ………とても恐ろしい力を持ってやがるぞ………。」
オリヘルガ「はぁ?
そんなもんバルツィエなんだから当たり前「そうじゃねぇよ!」!? 」
「お前が考えてるようなバルツィエは魔力が高くて強いって話じゃねぇ!!
そういう次元の話じゃねぇんだ!!
アイツの力はそんなのが目じゃねぇくらいおぞましい力なんだよ!?」
「あのラーゲッツはもう俺達が知ってたラーゲッツなんかじゃねぇ!
昔は今のバルツィエの現世代達の中で一番討ち取りやすそうで数人がかりで掛かりゃ俺達でもやれる奴だと思ってたが今のラーゲッツは何か違う!
ラーゲッツのくせにラーゲッツの何倍も力を付けてやがる!
アイツはもうラーゲッツなんかじゃねぇんだよ!?」
オリヘルガの仲間達が何やら気が動転しているようだった。見た目はラーゲッツだがラーゲッツではないらしい。
オリヘルガ「?
じゃあ………アイツは一体誰なんだよ………?」
「分からねぇ………。
アイツは既に
アイツはラーゲッツでもなくてエルフでもなくて………それ以外の
「アレは多分もうフェデールやアレックスなんかとは比べ物にならないくらいの悪魔に成り果てている………。」
キィイィィイインッ!!キィイイィイインッ!!
剣と剣が衝突する音が轟く。カオスとラーゲッツが剣を交える。
カオス「…生き返りはしたみたいだけど特段あれから強くなったって訳じゃないんだね。」
ラーゲッツ「テメェの方こそそんなに腕を上げてはいないようだな!」
カオス「そんなに剣を振る機会が無かっただけだよ。」
ラーゲッツ「へっ!
そうかよ!」
ガキィイイイイィィィィィィィンッ!!!
何度も何度も剣を重ねる。二人の剣が交わる度に鼓膜の奥を突き刺すような鋭い音が辺りの人々に緊張が走る。
ラーゲッツ「……」シュンッ!
カオス「!」キィイインッ!!
ラーゲッツが飛葉翻歩でカオスの背後へと回り斬りつけてくるがこれに反応して素早く弾き返す。
ラーゲッツ「………」
カオス「お前の動きは見えてるよ。
そんな飛葉翻歩じゃ目で追うのも簡単だ。
お前じゃやっぱり俺には敵わないよ。」
ユーラスやランドール、ダイン、フェデールと戦ったことがある経験からかラーゲッツの実力がどれ程のものかカオスには測ることが出来た。
噂通りラーゲッツは力やスピード任せの脳筋タイプで動きが大分先読みしやすい。そのおかげか技を使えずともカオスはラーゲッツと渡り合えた。この程度の実力なら例えハンデを負っていたとしても負けることは………、
ラーゲッツ「なぁお前…………、
前より弱くなってねぇか?」
ガキィイイイイィィィィィィィインッ!!!
カオス「(!?………しまった!)」
ラーゲッツの言葉に一瞬反応が遅れて剣を弾き飛ばされてしまった。致命的な隙を作ってしまいカオスは無防備になるがラーゲッツは追撃してこなかった。
カオス「!………くそ!」
カオスはラーゲッツが剣を止めている間に弾き飛ばされた剣を回収した。相手が今までの敵と比べて弱いということで油断したか剣を握る力を緩めてしまっていた。
ラーゲッツ「………」
カオス「………ちょっとうっかりしてたよ。
お前でもそれなりにはやれるようだね。」
ラーゲッツ「………なぁ何でお前俺と殺り合ってんのに飛葉翻歩を使わねぇんだ?」
カオス「そんなの教える訳が「魔神剣ッ!!」!」ザンッ!
質問を返す瞬間にラーゲッツが魔神剣を放ちそれを剣で斬りさき防ぐ。
ラーゲッツ「…俺の動きが見えてんだよな?
だったら今のは
何で魔神剣を使わない?」
カオス「………!」
カオスは冷や汗を流す。この状況でラーゲッツにカオスが本来の力を発揮出来ないことを知られるのは不利になる。それを隠そうと言い訳を考えるが………、
ラーゲッツ「………お前………、
今まともに俺と殺り合う力がねぇんじゃねぇのか?」
たった二度の連続したミスでカオスはラーゲッツに自身が力を失っていることを知られてしまった………。