テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブルカーンの住む街シュメルツェン 夜 残り期日九日
パキィィンッ!!!!
レイディーが放った槍がカオスとラーゲッツの二人の体を凍り付かせる。
ラーゲッツ「なっ……!?
テメェ………!?
カオスごと………俺を………。」
ラーゲッツは氷の中へと押し込められる。カオスも一緒に凍り付けにされたが………、
レイディー「………おい、
いい加減さっさと出てこいよ。
お前には
カオス「…こういう使い方が普通なんですよね………。
後ろから俺の方に魔術が飛ばしてきた時はどうするのかと思いましたけど………。
こういうことなら前もって教えておいて下さいよ。」
レイディー「ラーゲッツがいたのは完全に想定外だったからな。
即席で思い付いたことを実行に移したまでよ。
お前に魔術使うと吸収されちまうんだろ?
だったらお前に干渉しないようにした。
アタシも
アタシが共鳴を使えることをラーゲッツに知られればこうは事は上手く運ぶことはなかったさ。」
カオスがラーゲッツの足を止めた瞬間にレイディーがカオスを挟んだラーゲッツの死角から氷の術をお見舞いする。あらかじめカオスには作戦を伝えなかったのはこの作戦が一度きりの作戦であるからだ。この一度でラーゲッツを倒せなければ戦いが長引いて体力を激しく消耗してしまっていたことだろう。
レイディー「どうしてもコイツは早めにケリをつけなくちゃいけなかったんだよ。
アタシ達はこの後イフリートと対決なんだ。
ここで無駄にマナを消費してちゃイフリートの相手は………!」ピシッ!
ピシッ………!ピキキキッ………!
嫌な音がした。たった今氷の中へと封じたラーゲッツが氷を割って外に出てこようとしているのだ。
カオス「レイディーさん!!」
レイディー「チッ!
こっちは精霊の力を使ってるってのにコイツには精霊の力が通用しねぇのかよ!
ここでこんな奴の相手なんかしてられねぇぞ!」
カオス「どうするんですか!?
このままだとラーゲッツが………!」
こうして話している間にもラーゲッツを覆う氷が割れる勢いが増してきた。あとすうふんとしない内にラーゲッツは氷から解放されてしまう。
レイディー「仕方ねぇ!
坊や!
アタシにマナを寄越せ!
もう一発氷を追加して時間を稼ぐぞ!」
カオス「はい!」
カオスの手を握りレイディーへとマナを送る。マナを受け取ったレイディーはすかさずラーゲッツの氷を補強した。
レイディー「『フリーブランサー!!』」
パキィィィィィィィンッ!!!
カオス「………やったんですか………?」
レイディー「…いや………どうも駄目らしい………。
コイツのまだくたばってねぇよ。」
カオス「ここまでやってもまだ………?」
レイディー「そんだけコイツ等バルツィエの新型の性能が優れてるってこったな。
ラーゲッツはもう放ってアタシ達は進むぞ。
ラーゲッツの娘も回収しときな。」
カオス「……分かりました。
カーヤ!」
カーヤ「!
パパ!」
カーヤを呼ぶとカーヤはカオス経ちに近寄りラーゲッツを一瞥する。
カーヤ「………パパ………死んじゃったの?」
カオス「………」
レイディー「出来ればそうしたかったんだがコイツ中々しぶとくてな。
残念なことにまだ生きてやがる。」
カーヤ「…そう………なんだ………。」
ラーゲッツの生存を聞きカーヤはホッとしていた。
レイディー「…すまんがイフリートを倒したら次は全力でコイツを倒すぞ。
お前の父親だからっててかげんは出来ない相手だ。
コイツをほったらかしとくと何をしでかすか分からん。」
カーヤ「………うん………。」
レイディー「…ヴェノムの力に頼った時点でコイツ等はもう野放しには出来ねぇ。
コイツ等がこの力を利用するってんならデリス=カーラーンの全ての種の命がウイルスに脅かされることになる。
イフリートと決着を付けたらラーゲッツは屠る。
異論は無いな?」
カーヤ「………………、
………ないよ………。
カーヤのパパは………始めからカーヤのことなんて何とも思ってなかったんだから………。」
気にしていないように振る舞うカーヤだったがそれが精一杯の強がりであることがカオス達には痛いほど伝わってきた。例えどんなに人としての人格に問題がある者でもカーヤにとってはたった一人の父親なのだ。その父親と何度も衝突し最後には決着を付けねばならない。こんな時代でなければいつか一緒に暮らせる日がやってくる、そんな期待にずっと胸を膨らませていたカーヤがそう簡単にラーゲッツを処することに納得できる訳がない。
レイディー「……あいつへのフォローしっかり頼んだぜ。」
カオス「…大丈夫です。
本当の家族と一緒になることはできなくても俺達がずっとカーヤと一緒にいますから………。」
ブルカーンの住む街シュメルツェン 火精霊の祠前
オリヘルガ「………」
オリヘルガはイフリートのいる部屋への扉の前で迷っていた。扉の向こうにはイフリートがいる。イフリートに申告して街で暴れている感染者達に対処してもらう。そういう決まりがある。イフリートなら感染者を食べても何ら問題はない。イフリートのマナが上昇するだけで精神が消えることはない。街で他の仲間達を襲っている感染者達はイフリートに対応してもらおう。そう考えてここへと来たのだ。
なのにオリヘルガはその扉を開くことは出来なかった。
オリヘルガ「(………ここでコイツを呼び出してもいいのか?
コイツを外へ出せば一旦は収束に向かうだろう。
コイツがドワイトやジグルを………。
………ドワイトやジグルを………。)」
オリヘルガが躊躇しているのは感染してしまった仲間達のことがあるからだ。一度感染したら二度と元には戻れずに人としての死あるのみ。それでも彼等と過ごしてきた日々がある。イフリートに彼等を処理させれば彼等と会うことももう出来ない………。
オリヘルガ「(……あのカオスとかいう連中………ラーゲッツとぶつかっても何の変化も見られなかった………。
アイツ等は感染しないようんだな。
多分バルツィエの何か薬の力だろう。
………それがあればジグル達は元に戻るんじゃ………?)
………駄目だ!!
そんなの無理に決まってる!
アイツ等がそんな貴重な道具を分け与えたりなんかするか!
アイツ等は今もまだ俺達の敵なんたぞ!?」
ラーゲッツの襲撃で忘れていたが自分達はあのカオス達を捕まえようとしていたのだ。そんな相手に塩を送るようなことは彼等でもしないだろう。オリヘルガは意を決して扉を開くのだった。
オリヘルガ「イフリート様ッ!!
大変でございます!!
街に感染者が現れました!!」
イフリート「シッテオルワ。
スベテミテオッタゾ………。」
オリヘルガの来訪に