テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ブルカーンの住む街シュメルツェン 火精霊の祠通路 夜 残り期日九日
カオス「…レイディーさん。」
レイディー「ん?
なんだよ。」
カオス「…さっきの………、
ブルカーンが勝利をもぎ取ってきたってどういう意味ですか?」
カオスは先程レイディーがオリヘルガに言った言葉が気になり訊いてみた。ブルカーン族の歴史を遡ってもブルカーンがどこかに勝利したという話は聞いたことがなかった。ダレイオスにあった九つの部族の力関係ではブルカーンは第二位。ミーアやクリティアなどの部族よりかは戦闘能力は高かったらしいが直接戦争をしたという話はないのとスラートには一歩及ばないという印象がカオスの中にはあった。そして部族がマテオと戦うために部族が争いを止めて一つの国として立ち上げたがヴェノムの出現により離散。そこからはブルカーンはイフリートの言いなりである。これでいったいどこが勝利をし続けてきたと言うのか。
レイディー「…んだよ。
そんなことか。
………この世界じゃあな。
カオス「生きているだけで勝利………?」
レイディー「そうだ。
人は生きているだけで色んなことが出来る。
生きてさえいれば人はどんな苦難も乗り越えていけるんだ。
死んじまったらもう足掻くことすら出来ねぇんだよ。
何も出来なくなること、それが真の敗北だ。
敗北した奴はもうそいつが生きていたって証は残せねぇ。
生き続けてればその内転機が訪れることだってあるんだ。
ブロウンやカルトはもうその転機すらやってこないがブルカーンには丁度今転機が訪れようとしている。」
カオス「………」
レイディー「法も何も整備されていないこの国じゃ生きているだけで勝利者だ。
人が生きるか死ぬかの法律が無いのなら戦いが起こる度に始まる勝負の分け目はそこだ。
ブルカーンはまだ生き続けてんだろ?
だったら勝者なんだよ。」
レイディーにしてはらしくない発言をする。いつもの彼女であればどんな相手に対しても皮肉や暴言を吐き捨てていた筈だ。それがどういった風の吹き回しか項垂れたオリヘルガに励ましの言葉を送っていたのだ。
カオス「レイディーさん………、
意外と優しいんですね………。」
レイディー「急に何だよ?」
カオス「レイディーさんだったらさっきのはオリヘルガ達に罵声を浴びせていたと思ったんですけど………。」
レイディー「アタシも時と場合を選ぶんだよ。
敗けを認めて諦めた奴をいつまでも辱しめるような趣味は無い。
死体蹴りなんて何の楽しさがあるんだ?
アタシは
あんな奴をいくら殴ったって心が折れたままだろうが。」
カオス「だからあんなことを………?」
レイディー「…ブルカーンはまだ死んでねぇ。
現状飼い主のイフリートに突き放されたってんなら今のあいつ等は何だって出来るんだ。
イフリートが現れるまでは百年もヴェノムから戦い続けてきた連中だぜ?
そんな奴等が何をメソメソしてるんだっつーの。
メソメソしてる暇があったらとっとと逃げるなり何なりとしろってんだ。
まだ戦いの決着はついてねぇってのによ………。」
カオス「…じゃあ俺達が気付かせてあげないといけませんね。
イフリートと………ラーゲッツを倒して………。」
レイディー「………そうだな。」
メーメー『オイ、
ソロソロヒロマニデルヨウダゾ。』
カオスとレイディーが話をしながら歩いているとメーメーが注意を促してくる。どうやら着くようだった。
イフリートの元へ。
イフリート「マッテイタゾ。
ツヨキチカラヲモツモノヨ。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
通路の先にあった場所は噴火口から崖になっておりそこに精霊を奉るための祭壇があった。崖の下は当然溶岩だ。落ちれば一貫の終わりである。
そして祭壇手前にはレッドドラゴン………イフリートの姿があった。
レイディー「本当に人の言葉を喋れるようだな。
こいつみたいに共鳴でしか話せないのかと思ったぜ。」
イフリート「ワシヲソノヨウナコモノトイッショニスルナ。
ワシニハナニモノヲモアラガエヌチカラヲテニスルノダ。
ソヤツトドウカクニミラレテハワシノイゲンニカカワル。」
イフリートはメーメーと同じに扱われるにを嫌った。イフリートにとっては自らをとても高位に位置する存在だと認識しているようだ。
カオス「……話が出来るなら一つ聞いてほしいことがある。」
イフリート「………ナンダ?」
カオス「お前が手にした力ヴェノムはこの星の全ての生物にとって危険なんだ。
その力が世界中に広がってしまえば世界はお前以外誰もいなくなる。
お前は一人ぼっちになるんだ。
そんなの嫌だろ?」
イフリート「………ナニガイイタイ?」
カオス「その力を手放す気はないか?
その力がある限りこの星は何度も滅亡の危機に向かっていく。
お前は十分強いよ。
お前の力は俺達人が何百人も力を合わせないと勝てないぐらいに強い。
俺達人はレッドドラゴンこそがこの地上で一番強い生物だって思ってる。
………分かり会えるなら殺したくはないんだ。」
カオスは好き好んで殺生をしない。あくまでも敵となる者がいるから応戦しているだけだ。今までの主達も話し合いが出来たのであれば先ずは話し合って御互いに納得してもらった上でヴェノムの力をどうするか決めたかった。残念ながら全ての主がそうはいかずカーヤとメーメーを残して他は倒してしまったがこのレッドドラゴンとならその機会が………、
イフリート「………ナニヲタワケタコトヲ………。
ワシガソンナザレゴトニミミヲカストオモウタカ?」
カオス「………」
イフリート「キサマラヒトトイウシュハヒジョウニヒレツデジブンタチコソガセカイヲシハイシテイルトオモイコムコウマンナシュダ。
キサマノハナシニノッタトシテキサマラヒトハヘイキデタノシュヲウラギリコロス。
キサマラヒトコソガコノセカイニフヨウナシュダ。
キサマラガツクリダシタチカラコソガコノセカイヲハメツヘトミチビクキョウアクナチカラダ。
コノセカイデヒトハオノレノツミヲクイヨ。」
ガガッ…、
イフリートは腕を伸ばし側にある
イフリート「ナガイコトヒトヲスキニサセテキタ。
コレカラハワシノジダイダ。
ワシガコノセカイヲギュウジラセテモラウ。
ハムカウモノハスベテワシガスベテナギハラッテクレル。」
レイディー「交渉決裂だな。
やっぱ戦うしかないみたいだぜ坊や。」
カオス「………仕方ありませんね。
元々こうするしかなかったんですから。」
こうしてカオス、カーヤ、レイディー、メーメーの四人で最後のヴェノムの主イフリートとの決戦が始まる………。