テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ラーゲッツ「だあぁぁ!!?
俺の負けかよ!! 」
ラーゲッツは仰向けになりながら叫んだ。
フェデール「お前………前よりも弱くなったんじゃないか?」
ラーゲッツ「俺が弱くなったんじゃねぇよ!!
お前が強くなりすぎなんだ!!」
フェデールはここ数年でまた実力を上げてきた。この調子ならもう少しでアレックスに届く勢いだ。
フェデール「それにしてもラーゲッツ。
お前はもうちょっと剣の使い方を考えた方がいいぞ?
民間人相手ならまだなんとかなるがダレイオスだとそれじゃ通じない。
早々に見切られてカウンター入れられてやられちまう。
力やスピードに頼った戦い方じゃなくてもっと相手の太刀筋を呼んで自分がどう動けるか、どこに打ち込めば一本とれるかそんな工夫した戦法を身につけた方がいい。
前の検査で六番目だった俺でもダインやランドール達と張り合えるぐらいにまで上達出来たんだ。
生まれもった才能に傲るのは愚の骨頂だぞ?
そんなのは誰よりも強くなってから傲れ。」
とフェデールは剣術よりも技術を磨くことを勧めてくる。確かに今の勝負では筋力や速力ではそこまで二人に差はなかった。勝敗を決したのは太刀筋のキレだ。ラーゲッツがひたすらフェデールに斬りかかる一方でフェデールはそれを避け続けて確実な一撃を決めてくる。
ラーゲッツ「んなこと言ってもよぉ?
そんなもん感覚の問題だろ?
俺にお前みたいな観察眼や剣筋が身に付くと思うか?
お前みたいになるのにどれだけかかると思ってんだ。」
フェデール「どうだろうね………。
数年はかかるんじゃないか?
俺もここまで上達するのにそのぐらいはかかったから。」
ラーゲッツ「かぁ―ッ!
そんなにかかるのかよ!
駄目だ!
とてもそんなに長く続けられる自信ねぇよ。
今のままでも大概の奴なら魔術だけで倒せるしそんなに強くなる気も起きねぇ。
俺は今のままで十分だぜ。」
フェデール「それでいいのか?
今のレベルで落ち着いているようならいつまでもユーラス達に頭が上がれねぇぞ?
お前見返してやりたいって気持ちはないのか?」
ラーゲッツ「俺はお前みたいに気長に訓練なんかする性分じゃねぇんだよ。
強くなって特にやりたいこともねぇしな。」
フェデール「誰かに強くなった自分を見てほしいとかは?」
ラーゲッツ「俺にそんな奴はいねぇよ。
………てかお前まだそういうつもりで剣を磨いてんのか?」
フェデール「そうだが何か?」
さも当然のことようにフェデールは肯定した。フェデールはある特定の人物に自分の鍛え上げ剣術を披露したいそうだ。彼は子供の時からずっとそのことだけのために修業を積んでいる。自身を鍛えぬいてその相手を影ながら守りたい。そんな切実な想いを剣に乗せて振るってきた。
ラーゲッツ「………お前のそれ………、
フェデール「………何?」
ラーゲッツ「いい加減あの女のことは忘れろって言ってんだよ。
どうせどんなに足掻いたところでアルバート………今はアレックスか………………アレックスを越えられなきゃお前の努力が報われることはねぇ。
お前の惚れた女はそういう立場の相手だろ。
お前はもう失恋したも同然なんだ。
次の女見つけろよ。
他の女だったらそこまで頑張らなくても手軽に守れるだろうぜ。」
フェデール「…俺達は騎士だぞ。
自分の腕を磨くのは騎士の本分だ。
彼女だけが理由じゃない。
俺は強くなることを諦めたりはしないぞ。」
ラーゲッツ「いつまで当主の椅子を引き摺り続けるつもりだぁ?
もうその席は別の奴が座ってんだよ。
お前はそこに座り損ねた。
あいつの隣に座れるのはアレックス「止めろ!!」」
フェデール「………お前なんかに言われなくても分かってるんだよ。
俺はもうただの分家だ。
椅子が変わってしまったことなんてとっくに理解してる。
彼女を支える役が与えられるのは俺なんかじゃないってことはな。」
フェデールは興奮した様子でラーゲッツの言葉を遮りそう告げた。
ラーゲッツ「………じゃあどうするんだよ………?」
フェデール「どうもしない。
これまでと一緒さ。
俺はこれからも腕を磨き続ける。
磨き続けて遠くから彼女と………彼女の隣に立つアイツを脅威から救って見せる。
彼女が何事もなく生活出来るなら彼女の隣に立つのは俺じゃなくてもいい。
………
ラーゲッツ「………」
今のフェデールの発言でラーゲッツは悟った。フェデールはラーゲッツが言い聞かせる前から既に彼女のことを追うのを辞めていた。辞めていたと言うよりも始めから追ってなんていなかったのだ。フェデールは彼女の幸せだけを願いそれに尽くすことだけが生き甲斐なのだ。
ラーゲッツ「(………不器用にしか生きられない奴なんだなお前は………。
アルバートやアレックスもバルツィエの歴代の中で異例の存在だったがお前も十分異例な奴だぜ。
そこまで気負いながら生きてる奴なんてよぉ………。)」
バルツィエの家系は皆遺伝子レベルてエリートの血筋だ。本来努力をなどしなくともそれなりには世界に通用する力が将来的に身に付く。それだというのにその血に甘えずに自分を弱者のように扱う彼の姿にラーゲッツも興味が湧いてきた。
ラーゲッツ「(俺もコイツみたいに誰かを想いながら剣を振るっていたらあの時の大会でもっといい成績を残せてたのか………?
予想では俺とコイツがワーストワンとツーとなっていたあの大会でコイツは見事にユーラスとランドール、ダインをも撃ち破って見せやがった。
俺に無くてコイツにあるもの………。
それが今の俺を変える切っ掛けになるのか?
もしそうなら………俺は………。)」