テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ラーゲッツにダレイオスへの調査の任務を出したフェデールは部屋を出てからご機嫌だった。
ランドール「お?
何をそんなに嬉しそうにしてんだよ?
何か良いことでもあったのか?」
フェデール「ん?
あぁちょっとね。」
部屋を出て直ぐにランドールがフェデールを見付けて話しかけてきた。
ランドール「!
………ラーゲッツとなんかあったのか?」
フェデール「あぁ、
これからのことなんだがラーゲッツにはダレイオスに向かって貰うことになったんだ。」
ランドール「ダレイオスに?
あの魔力の事件のことか?
ラーゲッツと誰が行くんだ?」
フェデール「ラーゲッツだけだよ。」
ランドール「ラーゲッツだけ!?
そりゃまた何でだ!?」
フェデール「上の決定だよ。
今回はラーゲッツ一人だけになった。」
ランドール「ラーゲッツ一人だけ………。
そいつぁよくそんな指令が出せたもんだなぁ………。
アイツ一人で生きて帰ってこらるか分からねぇってのに………。
………お前がにやけてたのってラーゲッツをお払い箱に出来るからにやけてたのか?
お前も内心アイツのこと嫌いだったんだろ?」
ラーゲッツが単独でダレイオスに向かうことを知ってランドールが嫌な笑みを浮かべてフェデールにそう訊いてきた。ランドールはラーゲッツに負けてからはラーゲッツのことを毛嫌いしている。ランドールは事なかれ主義で何事も変わらぬままであることを望んでいるのだ。ラーゲッツに打ちのめされてからは自身より下の者が調子に乗るのを快く思っていない。
フェデール「違うよ。
俺はラーゲッツのことは気に入ってるんだ。
だから可笑しくて仕方ないんだよ。」
ランドール「は?
気に入ってるのにアイツが死地に行かせるのを認めたのかよ?」
フェデール「それも違うよ。
今度のラーゲッツのダレイオス派遣は………、
俺が上に進言したんだ。」
フェデールの考えはこうだった。バルツィエは将来的に騎士団で上位の役職に就くことは決まっている。その際同役職間での意見が対立した際に生じる命令の優先度を決めるために子供の時に先に順位を決めた。それはバルツィエに関係ない者達にも触れ回り知られている。非常時にはどのバルツィエの命令通りに動くべきなのかは決まっているのだ。
ラーゲッツのダレイオス派遣はその過去の決定を再度行うためのテストなのだ。
フェデール「単騎で危険地域での任務を引き受けて無事帰還出来たらそれはこれまでバルツィエの誰もなし得なかった初のダレイオス単独生還の前例を作ることになる。
ラーゲッツはその前例となるんだよ。
アイツの力はもう俺とそう変わらないところにまで来ている。
この任務を達成したら上は今のバルツィエの序列を見直してラーゲッツをお前達よりも上に繰り上げる機会を与えてくれるそうだよ。」
これにはランドールも驚いた。
ランドール「何ッ………!?
今までそんな話があった試しはねぇぞ!?
どうしてそこまでラーゲッツにチャンスを与えるんだよ!?
って言うか上の親父達がそんな話を認めやがったのか!?」
フェデール「俺達の世代は少し異例なことが多く起こってるからね………。
バルツィエ本家の当主が分家と入れ替わったり能力査定で低評価を受けた俺がお前達を追い抜いたりそして当主で活躍していたアルバートが失踪し次席のアレックスが昇格したりと異例尽くしだ。
今更例外が増えても大した問題じゃない。
それかこの世代は一つの
ランドール「転換期だぁ………?」
フェデール「お父上から聞いたことはないか?
バルツィエ当主がある秘密の元で他の分家を
ランドール「………確かに聞いたことはあるな。
今でも十分にうざったい民間人共もダレイオスの連中も黙らせられるくらいバルツィエは一人辺りの戦力があるってのにまだ本家の奴等は俺達に力を付けさせようとしてるって………。」
フェデール「昔のこともあって俺達バルツィエが下の者達に目を向けることは仕方ないよ。
でもいつまでも下ばかりを見てはいられない。
俺達は上を目指さなければならないんだ。
アルバートやアレックスのように一人ででもドラゴンを倒せるほどにね。」
ランドール「ドラゴンだと………?
ドラゴンなんてバルツィエが総掛かりでかかりゃ倒せねぇ相手じゃねぇだろ。
何でそんなに強くならなくちゃいけねぇんだ?」
フェデール「ドラゴンはまだ序ノ口さ。
俺達の本当の敵はドラゴンなんかよりももっと餓えの存在………………そう、
精霊だよ。」
ランドール「…………なぁ、
一つ聞くがぁ………本家の奴等は俺達に精霊と戦わせるために力を付けさせようとしていたのか?」
フェデール「そうだよ。
本家はそう考えてる。」
ランドール「精霊なんて目撃例すら無いんだぞ?
誰もその存在を確認したことが無いって言われてる奴等だ。
一説にはとてつもない力を持つ存在と語り継がれる伝説の生物とかだとか言われてるが俺は精霊がそんなに強い奴等だとは思えねぇ。
だって見たことも無いしな。」
フェデール「………」
ランドール「もし本当に精霊がいたのだとしたら今頃デリス=カーラーンの勢力図はバルツィエ一強じゃなくてその精霊一強になってるんじゃねぇか?
本家の奴等が精霊の存在を危惧してるってんなら精霊は今どこにいて何をしてるんだよ?」
フェデール「………それは言えない。
俺も精霊が何をしてるのか知らないんだ。」
フェデール「アホらしッ!
どこにいるのかどうかも分からない相手に何を微々ってんだよ本家の馬鹿共は!
そんな奴がいたら
ハァ、無駄な時間だったな!
失礼するぜ!」
ランドールはフェデールに背を向けて去っていく。フェデールの話はランドールには何一つ理解することが出来なかった。誰も見たことも無い敵を想定して戦力強化を推し進める行為に無意味さしか感じなかったのだ。
フェデール「………精霊はいるんだよ………。
ずっと遥か昔からこの世界を支配しているのは精霊なんだ。
奴が何を考え何をしようとしているのか本家にも俺にも分からない………。
だけど絶対に精霊はこの世界にとって良くないことを企んでいる………。
俺達はそれを止めなくちゃいけないんだ………。
俺達の世代がいよいよ精霊と全面対決することになるかもしれないんだから…。
俺達の後世に戦いを残したくは無いんだよ。」