テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ロベリア「どう?
お味は?」
ラーゲッツ「まぁまぁだな。」
ロベリア「そっかぁ………えへへ。」
ラーゲッツ「何でお前はまぁまぁって言われて照れてるんだよ。」
ロベリア「久し振りに料理作ったから普通に食べてもらえるだけでも嬉しくて。」
ラーゲッツ「料理っつかサンドイッチじゃねぇか。
こんなもんどうやったら味で失敗するんだよ。」
ロベリア「サンドイッチでも失敗することあるよ?
使う具材の組み合わせとかによっては酷い味になるんだから!」
ラーゲッツ「使う具材だぁ?
そんなもんそう多くはねぇだろ。
何を使えば酷い味になんてなるんだ?」
ロベリア「………果物とかニンニクとか………。」
ラーゲッツ「冒険しすぎだろ。
そんなもん入れる奴がどこに………。」
ロベリア「………」
ラーゲッツ「………ここにいやがったか。
どうしたらそんなもん入れようと思うんだ?」
ロベリア「料理ってね。
種類が沢山豊富にあるじゃない?
その分味もそれぞれ全然違う。
辛かったり甘かったりする料理もその味の感じ方って大分違う。
あと同じ料理でも料理する人が違えば味付けも変わってくる。
同じ料理なのになんか違う味に感じちゃう。
料理って可能性が無限大なんだよ。
私は私の味を作ってみたいの。」
ラーゲッツ「素人がやる定番の失敗だな。
だからって具材まで新しく挑戦してどうすんだ。
何のために先人のレシピがあるんだよ。
料理一つでも簡単に作れるものから凝ったもんまで幅広く存在する。
そういうのは料理人が長年かけて作り上げた味だ。
手軽な料理でそう新しい旨い味が出せるかよ。」
ロベリア「もう!
遊び心が無いなぁ。
そんなんで生きてて楽しいの?」
ラーゲッツ「楽しいか楽しくないかで生きちゃいねぇよ。
生まれたからには自分に与えられたレールの人生を進むだけだ。」
ロベリア「…私はそういうのが嫌。
私はどうにかして
あそこにいても自由なんて無いもん。
私は私が好きに生きられる世界に飛び立ちたいんだよ。」
ラーゲッツ「…好きに生きられるねぇ………。」
ロベリアの話は中々興味深い話ではあった。ダレイオスで生まれたエルフには生まれながらにして他の八部族と睨み会う生活が決定付けられている。同じ大陸にいても周りは敵。味方は己と同じ部族だけ。味方に囲われている分にはそこから逃げ出そうとする者がいるなど考えもしなかった。
ロベリア「………もしもっと………、
もっと早くに生まれてたら私もマテオに行けたのかな………。」
ラーゲッツ「マテオに夢見てるとこ悪いがマテオもそう大した国でもねぇぞ?
マテオでも上級層にいる俺がそう感じてるんだからマテオは糞みたいな国だ。
お前のような奴が来るところじゃねぇ。」
ロベリア「食事中にそんなこと言わないでよ。」
ラーゲッツ「俺はもう食い終わった。
休憩は終わりだ。
作業に戻らせてもらう。」
ロベリア「あっ!
ちょっ!
私はまだ………。」
ラーゲッツ「お前はまだ休んどけ。
俺と違ってまた山を登って来たんだろ?
サンドイッチも作って持ってきたようだし疲れもあるだろ。
俺はまだまだそんなに疲れは感じてねぇ。
腹も膨れたし余裕が出てきた。
お前はそこでゆっくりしてろ。」
ラーゲッツは素早く立ち上がりレアバードの周りを探し始める。あまり探すのに時間をかけてしまえばロベリアに心を開いてしまいそうになる。そんなことになるのはラーゲッツは容認出来なかった。少し一人になって敵地にて優しくされたからと言って心を開いているようでは動物と同じだ。本来の立ち位置を思い出しなるべくロベリアを自分から遠ざける。そうしなければ自分はマテオの騎士失格だ。フェデールのように出来る限りマテオの国民を守りたいと思ってはいないが一応は兵士としての勤めを果たさなければならない。
ロベリア「あ………うん。
じゃあそうするね。」
ラーゲッツ「おう。」
ラーゲッツは通信機を探すのに集中した。
王都レサリナス バルツィエ邸
ラーゲッツが通信機を探す一方でフェデールはラーゲッツの連絡が途絶えて焦っていた。
フェデール「ラーゲッツ!
ラーゲッツ!
応答しろ!!
ラーゲッツ!」
ピィー………ザザザ………。
ラーゲッツに持たせた通信機に何度も話しかけるが一行に向こうから返事が返ってこない。
フェデール「………どうしたんだラーゲッツ。
任務は終了したなら真っ直ぐ帰ればいいだけだろ。
何をしてるんだ………?」
ランドール「ラーゲッツの奴がどうかしたのかぁ?」
フェデール「!
ランドール………!」
ラーゲッツに必死になって呼び掛けているとランドールが嫌らしい笑顔を浮かべながらやって来る。
ランドール「ラーゲッツの奴しくじりやがったのか?
ダレイオスから帰って来れねぇのか?」
フェデール「…まだ連絡がつかなくなってから一日だ。
何かトラブルがあったかどうかさえも分からない。」
ランドール「そうだな。
だがもしその何かトラブルがあったんだとしたら俺の秘策を披露する機会も無くなっちまうなぁ!
ハッハハハ!」
言いたいことだけを言ってランドールは去っていった。
フェデール「(アイツ………何か知ってるのか?
ラーゲッツが突然連絡がつかなくなったことに何か関係してるんじゃないか?
………いずれにしてもラーゲッツが今どういう状態なのか分からない。
………ラーゲッツ、
アルバートのように失踪だけはしてくれるなよ。)」
リスベルン山
ピピィー………ッ………ザザザ………ゲッツ………!
ロベリア「?
何これ………?」
ラーゲッツが通信機を探す姿を眺めているとロベリアの後ろで歪なな音を鳴らせる物体が見つかる。
『………ッツ!
………おい………ラーゲッツ………!
………………どうし………だ!
応………!!』
ロベリア「………ラーゲッツ………?」
その名はダレイオスでも有名な名前だった。現バルツィエの世代の八人の内の一人。炎の使い手で荒い性格をしているが特にこれと言った活躍を停戦直前までは聞いたことが無かった。
ロベリア「………え?
これ………ツッゲーラの通信機じゃ………。」
ツッゲーラが探している通信機とはこれのことだろう。その通信機からラーゲッツの名を呼ぶ男の声。
ロベリアはツッゲーラが偽名を名乗っていることにこの時気付いた………。