テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ラーゲッツ「………この辺りには無さそうだな。
もう少し奥の方まで探した方がいいか?
おい!」
ロベリア「!」
サッ…、
ロベリアはラーゲッツに話し掛けられて咄嗟に通信機を懐に隠した。通信機を掴んだ瞬間指が触れたところが電源のボタンだったらしく電源がオフになり男の声が聞こえなくなる。
ラーゲッツ「俺はもっと奥の方探してくる!
お前はどうするよ!」
ロベリア「えっ、えっと………。
わっ、私も行く!」
ラーゲッツ「そうか………。
一応お前にも教えとくが通信機見付けたら俺に言えよ?
この辺りのどっかにある筈だからな。」
ロベリア「そっ、そうだね。
その通信機って大きさは手の大きさと同じくらいなんだよね?
色とかは何色なの?」
ラーゲッツ「色か?
色は黒だ。
そんで針………とまではいかねぇがアンテナっていう細い棒みたいなのがついてる。」
ロベリア「………そう。」
ロベリアが発見した物体はやはりツッゲーラが探している通信機のようだった。そうなるとこれを所有していたツッゲーラはラーゲッツと言うことになるが………。
ロベリア「(………何でツッゲーラは私に嘘の名前を教えたんだろ………?
ツッゲーラは本当はラーゲッツで………。
何でそれを隠すの?
バルツィエであることは隠さなかったのにラーゲッツであることだけ………。
………何か本名を隠さないといけない理由でもあるの………?
私にラーゲッツだって知られることといけないようなことがツッゲーラには………。)」
今のところは何故ラーゲッツが自分の名前を名乗らなかった意図が分からない。どうしてヴェノムが出現した辺りで出生した新参のバルツィエだと嘘をついたのかも。一先ずは自分が通信機を発見したこととラーゲッツの嘘に気付いていない体を装いラーゲッツに接することにした。
……………………………………………………………………
ラーゲッツ「………見つからねぇなぁ………。
どっか見落としてたか………?」
ロベリア「そうだねぇ………。」
ラーゲッツ「電源は落としてなかった筈だから近くにあれば音で気付きそうなもんなんだがなぁ………。
どこに落ちてんだ?」
ロベリア「………ラ………ツッゲーラがこうしてダレイオスに留まってたら家族も心配するよね?」
ラーゲッツ「………どうだかな。
親父は俺のことに興味ねぇようだし俺のことを心配するとしたらフェ………上司くらいなもんだ。」
ロベリア「上司?」
ラーゲッツ「フェデール騎士団長………。
名前くらいは聞いたことくらいはあんだろ?
八十年前にヴェノムが出現した直後に当時騎士団長だったアルバート………おじさんが失踪して代理で騎士団長に上がったんだ。
その頃辺りからマテオはダレイオスとは国交が少なくなったからフェデールおじさんが騎士団長に上がったことも知らないんじゃねぇか?」
うっかり呼び捨てにしようものならフェデール達との関係が近い間柄だと疑われると思いフェデール達を一つ上の世代だと誤認させるようにおじさんと呼んだ。
ロベリア「フェデール………。
うん聞いたことあるよ。
確かその世代ってフェデールとアルバートの他六人いるよね。
アルバートの弟のアレックスとダイン、ランドール、グライド、ユーラス………ラーゲッツって………。」
ラーゲッツ「………あぁ、
そうだな。」
ロベリアが告げた同世代の仲間達の名前の順はやはり階級順だった。ダレイオスでもそういう覚えられ方をしているのだろう。力の序列で自分の名は最下位なのだ。
ロベリア「………ツッゲーラは誰の子供なの?」
ラーゲッツ「!
俺か………?」
ロベリア「そう、
私が知ってる世代のバルツィエの後に生まれたんならツッゲーラは七人の誰かの子供なんでしょ?
誰の子供なの?」
ラーゲッツ「そいつは………。」
今の七人のバルツィエには子供はいない。最近アレックスが上の者達から急かされて作るという話は出てきているがまだそれ以外は独身だ。ラーゲッツは誰の子供という設定にしようか迷い出した答えは………、
ラーゲッツ「………俺は………、
グライド父さんの子だ。」
先日グライドが一般の女性と恋仲になったという話を思い出し無難にグライドの子供と言うことにした。
ロベリア「グライド………?」
ラーゲッツ「おう、
俺の親父はグライドだ。
それがどうかしたか?」
ロベリア「グライド………、
………うん、そうなんだ。
グライドが誰かと結婚してツッゲーラが生まれたんだね。」
ラーゲッツ「………こういうことはあまりダレイオスの奴に教えていいことじゃねぇんだがな。
お前も他の奴に言うなよ?
無論俺とここで会ったこともな。」
ロベリア「うん………。」
ラーゲッツ「………」
ロベリア「………」
ラーゲッツ「………?
どうした?
さっきから何か様子が変だぞ?
飯食った辺りから急に静かになったな。」
ロベリア「!
そっ、そんなに変かな!?」
ラーゲッツ「大方飯食って眠くなったんだろ。
山登って疲れて飯食ったらそりゃ眠くもなるよな。
先に戻っとけよ。
俺はまだもうちょっと通信機を探してみるぜ。」
ロベリア「………そうするね。
今日は少し疲れちゃったみたいだから………。」
ロベリアはラーゲッツにそう言って去っていった。ロベリアが去った方角はラーゲッツが間借りしている山小屋とその奥の方にフリューゲルもあるのでロベリアがどちらに向かったのかは判断がつかない。
ラーゲッツ「………今日中には見付けておきたいんだがなぁ………。
どこにあるのやら………。」
ある程度その場を散策した後ラーゲッツはレアバードの不時着地点に戻ることにした。ここまで探して見付からないとなると不時着時に途中で落としたのでなくレアバードが地面に着地してから投げ出された可能性が高いと見て元の場所に戻ることにした。
……………………………………………………………………
ラーゲッツ「………!
あった!
漸く見付けたぜ。
こんなところにありやがったのか。」
ラーゲッツは昼間ロベリアにサンドイッチをご馳走になった草村の付近で光を反射する物体が視界に入り近付いて確認してみれば通信機だった。
ラーゲッツ「灯台もと暗しってな。
レアバードが落ちた付近ばかりに目を向けて自分がどうやって落下したか忘れてたぜ。
そういや地面に激突した瞬間に前の方に投げ出されてたな。
その衝撃で通信機も俺よりも前の方に飛んでってたのか。」
探すまではどこにあるのか必死になっていて頭を使う余裕すらなかったが通信機を見た途端どうして通信機がそこにあるのか納得する答えを導き出せた。
ラーゲッツ「…さぁて、
さっさとフェデールに連絡して迎えに………、
………ん?
………………何で電源がオフになってんだ?
俺電源切ってたっけなぁ………?」