テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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どちらも魔境なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーゲッツ「…まぁ落ちた時に地面にぶつかって自然に電源が落ちたんだろうな。」

 

 

 通信機が自分の手を離れたタイミングが曖昧で深く考えても理由が判明しないと思い電源が切れていた訳を追うのを止めた。

 

 

ラーゲッツ「(何にしてもこれで帰れるな………。

 こいつでフェデールに連絡してマテオに………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………マテオに………。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電源のボタンに指をかけてそこで止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーゲッツ「(………マテオに帰って………どうなるんだ………?

 俺はまたあの日々に戻るのか………?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これまでのマテオにいた日々を振り返る。マテオでは顔色を見て機嫌をとろうとしてくる部下やその他大勢と見下してくる自分よりもランドールやユーラスバルツィエの家。そんな上と下の者達との板挟みで居心地が悪い思い出しか無い。フェデールだけは自分を一人のエルフとして扱ってはくれるが彼に促されて真面目に剣を磨いてきた上がってきた腕も始めてから八十年他の誰からも認められることはなかった。しまいにはこんな危険な単独任務まで向かわされる始末。そう簡単には()()()()()()()()()と凝り固まった価値観を覆すことは出来なかった。上の世代に認めらることが無ければ延々と自分はマテオで半端な立ち位置に収まったままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーゲッツ「………俺がマテオに帰って何かいいことでもあるのかよ………。

 どうせ戻ったところで俺の居場所なんてあの修練場にしかねぇってのに………。」

 

 

 思い出されるは剣を振り続けた日々。初めてランドールに勝った時は感激して泣いたがいざ魔術を使った模擬戦をしてみるとあっさりとリベンジされてしまった。その後も剣を握り続けてはみたが触発されてランドールも修業し始める。剣術では負けてはいないが魔術だけはどうしてもランドールを越えることは出来ない。人には生まれもった才能が決まっている。自分の力ではどうあっても自分と同様に力をつけていくランドールを追い抜く未来が見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーゲッツ「………そういやこの任務の期限は半年だったな………。

 半年は俺がいなくても平気だってんなら俺がそんな直ぐに急いで帰る必要もねぇってこった………。

 

 

 ………まだ少しだけゆっくりしててもいいよな………。」

 

 

 ラーゲッツは通信機の電源のボタンからそっと指を離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ラーゲッツ「………流石にあの女は帰ってるか………。」

 

 

 通信機を持って山小屋へと戻るとロベリアの姿はなかった。あのまま彼女の家があるフェデールへと帰っていったようだ。

 

 

ラーゲッツ「(………いいよなぁ。

 戻れる家があるってのは………。)」

 

 

 ラーゲッツはレサリナスのバルツィエ邸の様子を思い浮かべる。バルツィエの家の力は大きく作られた豪邸は複数の世帯が住めるほどに広い。そこまでの豪邸を建てたのは過去に起こった事件に起因して一族を一ヶ所に留めるためだ。今ではマテオでもっとも位の高い一族となり他の街にも同じ様に豪邸を建設しそこに分けて暮らしている………、

 

 

 ………が一族は大きくなりすぎた。一族が増えればその中でさえも序列が定められ結束するために同じ家で暮らしているというのに年々険悪な空気が漂いだしている。一族が増えることは必ずしもいい方向へと進む訳ではない。階級社会で上に登り詰めることを目指してきたバルツィエは一族でも上下を気にしだし互いの立場を基準に会話をする。

 

 

 

 

 

 

 ラーゲッツはそんな家に生まれたことを憎んだこともあった。

 

 

ラーゲッツ「(このまま俺がアルバートみたいに失踪したらフェデール達はどう思うんだろうな………。

 …フェデールは大騒ぎしそうだが他の連中は気に止めることもなさそうだな。

 アルバートっつー前例がいた訳だし俺のことを気にかける奴なんてフェデールくらいなもんだ。

 そのフェデールも時間が経てば俺のことなんか忘れるだろ………。

 アルバートみたいに民衆から人気があったんでもないからなぁ………。

 むしろバルツィエの一人がいなくなって清々するんじゃねぇか?

 ………その内俺がいたことも忘れられて俺は誰の記憶からもいなくなる………。

 そうなったら………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………そうなったら………?)」

 

 

 ラーゲッツは一つの自分の道の可能性を考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーゲッツ「(………もし俺がレサリナスで死んだ扱いになって世間から忘れられたら俺は自由の身になるんじゃねぇか?

 俺がいた記憶がマテオからもダレイオスからも消えちまえば俺はラーゲッツ=ギルト・バルツィエとしてではなくただのバルツィエ………。

 

 

 ………いやもうこの際ラーゲッツって名前も捨てるべきか。

 ラーゲッツって名前を聞いただけで記憶力のある奴は俺のことを思い出す。

 ………………考えすぎか?

 いやでもそうするんだとしたら今後はラーゲッツって名前を俺の口から出すのは駄目だな。

 俺は………ツッゲーラで通すのがいいだろう。

 それで頃合いを見て俺はマテオに戻る。

 シーモスは………無理だな。

 シーモスからじゃ砦があるからマテオに帰れねぇ。

 どこか俺が静かに生活出来る場所は………どこだ?

 どこなら俺はバルツィエとしてじゃなく普通の民間人として暮らしていける………?

 マテオでの北側は完全にバルツィエの領域だ。

 かといってダレイオスじゃあハーフエルフが住める場所なんてカーラーン教会以外にはねぇ。

 カーラーン教会は………………論外だ。

 マテオとダレイオスを行き来するカーラーン教会じゃどこで俺の生存が伝わるか分かったもんじゃねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………どこかに無いのか………?

 俺のことを誰も知らない土地で普通の生活が送れるそんな理想の場所が………。)」

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